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世界滅亡少女  作者: 岩戸 勇太
プロローグ
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プロローグ

 世界を破壊する力なんていらなかった。

 私はそう思う。この世界、地球を荒らす病原菌が多すぎる。人間は、自分達の住む世界を自分で荒らし、自分達の都合のいいように造り変えすらする。

 砂浜が埋め立てられ、人間にとって都合のいい陸地にされてしまった。

 汚水を垂れ流し、川を汚している。

 そう言われるが、私はその考えには否定的だ。

 この地球は時代が進むごとに、環境は変わり続けてきた。人間が行う行動による、世界の変化は、その長く地球が経験をしてきた変化の一つでしかない。

 世界を破壊する力とは人間を虐殺する能力であるという事。その力が自分だけに与えられたのは、不満でしかない。なぜ私なのか? 遠慮なくこの力を振るえそうな子なんて、いくらでもいるのに。

「あんたなんかにその力が与えられた理由が、本気で分からないわ……」

 こんな事を言ってくる人もいる。その事に関しては同意だ。自分にも分からない。

「まだその話ですか? 何度も説明をしたでしょう?」

 私とメシアがそう言い合っている時、ヤハウェが私たちに声をかけてきた。 私とメシアは、同時に膝を折る。

「人間は、欲にまみれた醜い生物であるのと同時に、純粋で素晴らしいものでもあるのです。それを知りもせずに、人間を殺す事は神がお許しになりません」

 メシアはそれを聞きながら、「ちっ……」と言って、舌打ちをした。

「人間の体をあなたに用意しました。この体を使って、人間の事をよく知ってきなさい。そして、その上で、人類は滅亡をさせるべきであると思ったならば、その力を使いなさい」

 そう言い、ヤハウェは、私がこれから入る体が着ている服のスカートにそれを入れた。

 見た目はただのスイッチだ。カバーなどもされていないから、指で押せば、それだけでスイッチが入ってしまう。なんかの壁にでもコツンとぶつけたら、スイッチが押されてしまいそうだ。

 私は、そのスイッチの裏側を見た。裏側に紐をくくりつけ、ちょっと押したくらいじゃスイッチが押されないように加工をしたのだ。

「ねぇ、あれがあなたとの違いですよ。敵だから、有害だから、などという理由で、命を殺してはならないのです」

 そう聞き、メシアが再度小さく舌打ちをした。

「それではノア……その体に入りなさい」

 私は、その体に入っていく。その体と同期をさせるため、その体の事を読んでいく。

 周囲が真っ暗に見える。それから、自分がまぶたを下ろしているのに気づき、まぶたを上げた。

 前しかみることができなくなる。霊体の頃は、常に周囲三百六十度が見えていたというのに、これでは不便だ。

 首を回して、ヤハウェとメシアの事を探すしかない。グルグルと首を回し、ヤハウェとメシアの事を見つけるが、優しい目をした美しい女性の姿だったヤハウェと、勝気な顔をしたメシアの姿は、今は青い色の人魂に見える。

「成功しましたね」

 今は青い人魂の姿になってしまったヤハウェはそう言う。

「それでは行ってきなさい」

 そう言われたノアは、足を動かしドアにまで歩いて行った。

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