これが俺の視る世界
これは本当にあった話。
初めましての方、久しぶりの方、いつも俺の小説を読んでくださっている方へ。
どうも《邪餽珀磨》です。
あ、《ジャキ ハクマ》と読みます。
初めて短編小説を書かせていただきます。
文章を書くのは好きなんですが、苦手ですので、読みづらい部分があるかもしれません。
この文も穴埋めに過ぎませんので、お気になさらず・・・。
さて、最初の方に記したように、これは本当にあった話です。
俺はちょくちょく“そういうモノ”を視てしまう体質です。
ただ、修行だのなんだのに興味がないので放ったらかし状態になっています。
あ、でも去年の今頃くらいから視ないようにすることと、視るようにすることの切替が出来るようになりました。v( ̄▽ ̄)♪
無意識に視てしまうこともありますけど・・・。
しつこいようですが、これは本当にあった話です。
これを読んで、心当たりのある方は決して、無謀なことに挑戦しようなどとは考えないでください。
読者様に何かが起こっても責任は負えません。
“そういうモノ”を視たことがある方、感じたことがある方は特に!
話の中にも出てきますが、俺が《彼》と呼んでいる存在がおります。
《彼》は〜・・・あ〜・・・アレですよ、アレ。
そうそう《俺》と称していますが、作者は女性です。
改めて、ヨロシクお願いします。m(._.)m
俺がまだ中学生だった頃。
3年の夏。吹奏楽部の県大会に向けて合宿をすることになったのだ。
部長
「最終日には肝試ししない?」
部員(3年)
「いいねぇ。
思い出作りしちゃう〜?」
笑い合って話す同級生に、頭を抱えた。
合宿先に選ばれた“そこ”は小学生の宿泊学習に使われたりする施設。
池に住むブラックバスが問題になったりした場所だが、もっと問題なことで有名な場所でもある。
邪餽
「やりたきゃやれば?
俺は参加しないからね」
部員(3年)
「なんで〜?
面白そうじゃん!」
部長
「楽しまなきゃ勿体ないじゃ〜ん」
何故そこまではしゃげるのか、理由が分からない。
呆れて言葉を失った。
そこが“あること”で有名だからなのだろうが、賛成できることではない。
それが出発前の話。
初日
施設に到着してすぐ荷物運びが始まった。
各自の楽器を、練習するホールへと運ぶ。
こんな時、他の楽器が羨ましくなる。
自分の楽器が大きいと運ぶのも大変になるからだ。
因みに俺が担当していたのは、バリトンサックス。
アルトやテナーの2倍の大きさがある為、重い。
その分、人も少ない。
故に手伝ってくれる人がいない・・・(泣)。
先生
「運んだら音出ししてろよー。1度通すからなー!」
全員
「はーい!!」
各パートに分かれてセッティングを済ませると、その場が様々な音で埋め尽くされた。
クラリネット、フルート、サックス等の木管楽器の柔らかな音。
トランペット、トロンボーン、チューバ等の金管楽器の滑らかな音。
パーカッションのリズミカルな音。
後、もう1つ。
邪餽
「・・・変な音しない?」
部員2(3年)
「さぁ?
気にならないけど?」
確かにする音なのに、誰も気付いていなかった。
気にし過ぎていると先生に怒られた。
周りの部員達はクスクスと笑っていた。
俺は普段からぼーっとしている印象を受けやすい。
大抵は“そういうモノ”を見ている時なのだが、周りはそうは思いもしない。
邪餽
「なんか・・・気持ち悪い」
部員2
「え!?マジ?大丈夫?」
急に、頭痛と首が締まるような感覚が同時に起こったのだ。
大丈夫なわけないだろ!
心の中で叫んでやった。
練習ホールを出て、案内の大人に誘われながら自分の部屋に辿り着いた。
邪餽
「ありがとうごさいまし・・・・って、いねぇしっ!」
案内してくれた大人の人は既にいなくなっていた。
忙しかったのかな、なんて考えながら布団を引っ張りだして、すぐ横になった。
???
「晩御飯だって〜。
先輩〜、お〜き〜て〜」
後輩の大きな声と、体を揺さ振る力が大きくて目が覚めた。
後輩
「先輩、よくこの部屋が分かりましたね〜。ヒロコ先輩(Saxパートの子)が“すごい”って言ってましたよ〜」
邪餽
「先導してくれた人に着いてっただけだけど?」
後輩
「そんな人いました?」
邪餽
「・・・は?」
俺も後輩も首を傾げた。
後輩によれば、俺はフラフラと1人で移動していたらしいのだ。
じゃあ、あの人は・・・?
そう考えて、深く考えるのをやめた。
理由は、嫌な予感がしたからだ。
お腹も空いたし。
夕飯は、俺が大っ嫌いなカレーだった。
次の日
朝食はご飯と味噌汁と漬物。あと、牛乳。
ご飯と味噌汁は2回おかわりした。
夕飯をあまり食べなかったからかもしれない。
朝食を済ませると、朝の練習が始まった。
ヒロコ
「今日は大丈夫?
もぉ〜、昨日は1年だけだったから大変だったんだからね!」
心配の後に文句。
いや、愚痴だろうか。
1年だけって、俺が抜けただけじゃねーか。
Saxパートは3年が2人しかいない。
俺とヒロコだけだ。
彼女にはアルトとテナーに1人ずつ2年生がいるが、俺には1年生しかいない。
しかも1人。
入部してから今まで1人だった俺が指導なんてできるはずもない。
まず、何を教えればいいのかも分からんのに・・・。
邪餽
「ゴメンて。
たぶん今日は大丈夫なはずだから」
確実とは言えないが、嫌な夢を見ていないのと《彼》の姿がないのでそう思ったのだ。
《彼》とは、全身を黒いコートのようなもので覆い隠し、仮面を着けているヤツのことだ。
嫌なことに遭遇する時は大抵《彼》の姿を見ている。
あえて《彼》と言ってはいるが、正体はおそらく“死神”なんだと思っている。現在進行形で。
先生
「はい、ストップ!
1回通すぞ!準備しろ〜」
先生がタクト(指揮棒)を机に叩き付けて注意を引き付ける。
先生の1回通しは1回で済まないことが多いが、文句を言う子は1人もいなかった。
先生
「もうこんな時間か。
昼食後30分休憩。
その後、各パートで練習するように!」
全員
「はい!」
楽器をその場に置いて、昼食を食べに行く。
その途中で女の人を見た。
昨日、一緒に部屋まで連れて行ってくれたあの人。
立っている場所を見て、背筋がゾッとした。
彼女は裸足で泥塗れで服はボロボロ。
ここは2階のベランダ。
俺の背中側には廊下がある。
つまり、彼女は宙に浮いていた。
顔はボサボサの髪が掛かっていてよく見えなかった。ただ、あの服は昨日と同じ格好をしていた。
部員
「どうしたのー?」
声を掛けられて後ろを向くと、俺と同様に昼食に行こうとしていた部員がいた。
どうせ信じてくれない。
そう思って、今見たモノを忘れることにした。
ちらり、と見てみたが、彼女の姿はもう見えなくなっていた。
最終日
日に日に、首や喉に違和感を感じるようになって、遂に痣が浮かんできた。
太い紐のような物で巻かれたような変な痣だ。
原因は不明。
音を出すことには問題ない為、合宿は続いていた。
その最終日の夜。
俺は《彼》を見てしまった。
部屋の前で佇んでいる。
《彼》はこちらを向くなり、消え去っていった。
部長
「ねぇ」
邪餽
「わぁっ!!
ビックリしたぁ!!」
後ろから声を掛けられて思わず大声を出していた。
部長の方もビックリしたようで、ちょっと怒られた。
どうやら、肝試しを本当に実行させるつもりらしい。
その為に、必要なメンバーを集めているようだった。
部長
「ね、やるでしょ?
お願い!参加して〜!」
邪餽
「ダメ!
本気でダメ!他の子も誘っちゃダメ!!」
部長
「そんなこと言って、本当は恐いだけなんでしょ?」
邪餽
「恐いに決まってるだろ!
てか、恐くない方がおかしいし!
とにかくダメなんだって!
俺は忠告したからね!!」
部長は俺を誘うのを諦めた様子で、じゃあいいよ、と吐き捨てて他の部屋へ移動して行った。
そろそろ就寝時間。肝試しはしなかったらしく、ほっと胸を撫で下ろした。
俺の部屋では、1、2年が布団を敷いて3年の俺ともう1人が2段ベッドに寝るようになっていた。
因みに俺が上段である。
電気を消されても、後輩達はまだ起きていた。
最初はうるさいと思っていたが、次第に慣れてきて、ウトウトとし始めたその時だった。
苦しいっ!!
喉を何かで押さえ付けられているような感じがした。
じわり、じわりと締め付けられるような感覚。
閉じていた瞼を開くと、目の前には女の人がいた。
合宿初日から視ていた“あの人”。
今回はしっかりと顔が見えた。
鬱血した赤い顔。
髪や肌はカサカサで、目はカッと開いて白目になっている。
半開きの口からはヨダレが出てきていた。
女の人
「どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・」
女の人は半開きの口のままずっと“どうして”と呟いていた。
白目から涙が流れたのが見えた。
女の人
「どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうして・・・どうしてぇぇぇぇえっ!!!」
その瞬間、とても悲しいと思った。
助けを求めたくても、苦しいのと、驚きのせいで悲鳴も出すことが出来なかった。
その間にもドンドン首は締まっていく。
強い圧力が喉を集中的にかかってきている。
腕は動かせる。
そのことに気付いた俺は、枕元にあったタオルを1、2年生に投げ付けた。
手足は痺れて、最後の力を振り絞るような形になったが、うまくいった。
後輩達
「キャーーーッ!!」
ヒソヒソ話で盛り上がっていたところにモサッとした物が飛んできたのだ。
既に消灯していたのが幸いだった。
タオルだと気付かずに、夜中に騒いでくれた後輩達に感謝した。
騒ぎを聞き付けた先生がいきなり扉を開ける。
興奮していた後輩達はそれにさえ反応して悲鳴をあげた。
先生が電気を点ける。
後輩達は気が抜けたように、なんだ先生か、と溜息をついた。
俺もやっと息をつく。
明かりが点いたことで彼女の姿が消えていたからだ。
重苦しい空気がなくなったのを感じた。
もう、ここにはいない。
邪餽
「でっかい虫が出たんですよ〜。
スプレーあったら下さい」
騒ぎの原因を突き止められる前に、自らベッドを降りて頼んでみる。
先生と一緒にいた施設の役員の人が案内してくれた。
ちゃっかり、投げたタオルを拾って首に巻く。
邪餽
「すみません。
もしかして、最近ここら辺で***した人がいたんじゃないですか?」
役員
「あ、あはは・・・。
そんなことは、なかったな〜・・・はは(汗)」
返事が少し遅れた気がした。
最近ではなかったのかもしれない。
だが、***はあったのだろう、と確信した。
その後は、俺も役員の人も無言のままだった。
一応、後輩達が起きている間にゴキジェットで殺したフリを見せて寝るのを促しておいた。
安心したのか、その後すぐ後輩達の寝息が聞こえた。
次の日の朝。
洗面台で顔を洗っていると、隣にいた部員が声を掛けてきた。
部員3
「首、どうしたの?」
邪餽
「ん?」
首を指摘されて、掛けていたタオルを外すと、昨日の痣が大きくなっていた。
今度は手の形で・・・。
部員3
「なにそれ!?
どうしたの、首、首!!」
原因は分かっている為それ程驚かなかったが、他の部員達はたくさん心配してくれた。
施設を出発して学校に到着した頃には、痣はそれ程目立たなくなっていた。
あれ以来、俺はあの施設に行ったことはない。
そうそう、あの施設の場所がブラックバスや宿泊学習以外で有名な理由を言ってなかったですね。
あそこは“首吊り”の自殺名所なんです。
俺の前に現れた女の人は、たぶん首吊り自殺をしたのでしょう。
しかも、長く放置されていた可能性がある。
最後に視たあの姿は、まさに首吊りをした死体と同じ格好でしたしね。
あの時、《彼》に会っていなかったら・・・。
はたまた、あの時、金縛りにでも遭っていたなら・・・。
俺は、今もこうして生きていられたのでしょうか?
《彼》とは長い付き合いなんですが、その話はまた別の機会に、ということで・・・。
では、最後に小話を1つ。
肝試しを予定していた部長達なんですが、後にやらなかった理由を聞き出したところ、変なことが起こったそうなんです。
部屋の明かりが、点いたり、消えたり・・・。
敷いたばかりの布団から、長い髪の毛らしきモノが塊で出てきたり・・・。
本当に恐かった、と話したものは結局教えてくれませんでした。
もし、部長達が肝試しを実行していたらどうなっていたんでしょう?
まぁ、結果論ですが、
何事もなくてよかったと思っております。
この小説のタイトルの通り、俺の視ている世界は現在進行形で起こっております。
いずれは失くなってほしいと願うばかりです。
しばらくの間、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
これからも《邪餽 珀魔》をヨロシクお願い致します。m(._.)m
おわり