第2章 にわか雨と引き換えに…
アッシーパーク @Barefoot_park
雌の獣の皆さん、自分の足にコンプレックスを抱えたりしていませんか?でも、そのコンプレックスが逆にウケる事だってあるんですよ。ご興味がある方はぜひ、当店へ!
2回目の出勤日を迎えた。いつも通り店に着き、控え室に入って指名を待つ。出勤していたのは私を含めて3匹。私以外は初顔合わせの2匹だった。1匹は茶色の毛色のウサギ、もう1匹は三毛猫だ。
控え室のソファに腰掛け、私は2匹に軽く会釈して自己紹介を始めた。「私、サンって言います。よろしくお願いしますね。」するとウサギがニコッと笑って「わちはビィ、ドワーフウサギ族の19歳じゃけぇ、よろしくねぇ!」と返してきた。次に三毛猫が「ウチはチシャ、三毛猫族で25歳や。常勤スタッフやで。」と答えた。サンは続けて質問する。「ビィちゃんとチシャさんに聞きたいんですけど、なんでこの店で働こうと思ったんですか?」と私が質問を投げかけると、まずはビィが答えた「ここで働こう思うたのは、生活費がキツくてなぁ。副業先を探しとったら、ここに行き着いて、体験入店から入ってみたんじゃけど、バロンさんが優しそうじゃったけぇ、ここなら安心かなって思うたんよ。」
と答えた。ビィの話し方には若々しい勢いがあった。
次にチシャが答えた「この店で働こう思うたのは、前職は事務やったんやけど、単調すぎて飽きてしもてな。接客の方が性に合ってるし、バロンさんも気前ええ獣やから、ここでずっとやってるわ。」と答え、そのまま自然と世間話に切り替わったのだった。
19時半頃、ドアが開いてバロンが入ってきた。「サンさん、お客様から指名が入った。この紙に約束の場所をメモしてるから、ここに行って。」と紙を渡される。今日は他の2匹の中で私が1番最初に指名された。ビィとチシャは「サンさん、頑張ってね!」とエールを送り、私は指定された場所へと向かった。
ホテルに向かって道中を歩いていると、ポツリと雫が頭に落ちてきた。「えっ?」と空を見上げる。「天気予報では雨なんてなかったはずなのに。」と思いながら、少し焦りながら歩き出すと、まもなく雨が本格的に降り始めた。私は先がメッシュ地になっているスニーカーを履いていたのが仇となり、メッシュ部分から水が染み込み、あっという間に靴下がぐしょ濡れに。歩くたび、冷たい水がインソールまで浸透し、足裏に張り付くような不快感が広がった。ひんやりとした感覚に耐えながら、急いでホテルへと駆け足で向かった。
ホテルのエントランスに辿り着いた時には、服もズボンもびしょ濡れだった。フロントに近づき、サンが「お疲れ様です。」といいながら、入室許可証にハンコを求めると、対応したスタッフが私の姿を見て驚いた顔をした。「どうされたのですか!?ちょっと待っててください!」と急いでバックルームに走り、タオルを持ってきてくれた。「ありがとうございます。」と受け取りつつ、頭を拭きながら私はさらに頼んだ。「ビニール袋2枚とスリッパをお願いできますか?」スタッフはすぐに用意してくれた。
とりあえず、スニーカーを脱ぎ、ビニール袋を足に履いてその上からスリッパに履き替えた。スタッフが不思議そうに聞いてきた。「靴下、脱がなくていいんですか?」私は少し考え、「お客様に選択権があるので、今はこのままで…」と答えた。次にランドリー室へ向かい、靴専用の乾燥機を見つけ、濡れたスニーカーをそのまま放り込み、乾燥機に書かれた推奨時間(30分)に合わせて100円玉を3枚入れた。フロントに戻り、「乾燥機に靴を入れてあるんですけど、接客が終わるまで取りに来れないので、30分経ったら取り出して預かっててください。」と伝えると、スタッフは「かしこまりました。」と頷いてくれた。
準備が整い、エレベーターに乗って指定された部屋へと向かった。部屋のドアをノックすると、中からアカギツネの獣が出てきた。赤い毛皮に鋭い目つき。私は丁寧に挨拶した。「ご指名ありがとうございます。サンと申します。」彼は私のびしょ濡れの姿を見て、目を丸くした。「おぉ、お嬢さん、なんじゃその姿は!とりあえず中に入れぇ!」と慌てて私を部屋に招き入れた。
「お嬢さん、なんじゃそのびしょ濡れの状態は?どっかで水でもかぶったんか?」と彼が聞いてきた。私は少し恥ずかしそうに「急な雨に当たってしまいまして…足元がこんな状態で対応することになって、申し訳ありません。」と謝罪すると彼は「ほぉ、そうか…。」と頷き、窓に近づいてカーテンを開けた。外を見ると、窓ガラスに雨粒がバチバチと当たっていて、かなり強めの雨になっていた。「こりゃ確かに降っとるわ。雨の予報なんか出てたじゃけぇかな?」と呟き、カーテンを閉めて戻ってきた。
「とりあえず、お嬢さん、裸足対応でええけぇ、今すぐ靴下脱いだ方がいいけぇ、肌が荒れてしまうじゃけぇ、それに常備してある浴衣があるはずじゃけぇ、それに着替えて風呂場で干して乾燥かけた方がええぞ。」と促された。私は「はい、了解しました」と頷き、風呂場へ向かった。
風呂場に入ると、湯船の上にワイヤー式の洗濯物干しがあった。私はそれを引っ張り出してワイヤーを伸ばし、まずは靴下を脱いだ。長時間濡れた靴の中で蒸れていた足はふやけて白っぽくなり、指の間がしわしわになっていた。フロントで借りたタオルで、足を丁寧に拭いていく。足裏の冷たさと湿っぽさがタオルに吸い取られていく感触に少しホッとした。
拭き終わったタオルを何気なく鼻に近づけて嗅いでみると、強烈なニオイが襲ってきた。湿った靴下の中でこもった汗と、雨水が混ざった生臭さが混じり合い、さらに足の皮脂が発酵したような酸っぱいニュアンスが鼻を刺した。「くさっ!」と小声で呟かずにはいられなかった。靴下を湯船の縁にかけ、次に濡れた服とズボンを脱いだ。浴衣に着替え、タオルと服とズボンをワイヤーに干した。乾燥ボタンを押すと、風呂場に温風が流れ始め、私は部屋に戻った。
「お待たせしましたー。」と彼のところに戻ると、彼はニヤッと笑って言った。「おぉ、ニオうぞー、多分そのニオイはキミの足からじゃろ?」私は恥ずかしそうに「靴が濡れちゃったのでしょうがないじゃないですかー。」と返すと、彼は「ごめん、ごめん」と謝ってきた。私は気を取り直し、「早速ですが、当店の料金体系を説明しますね」と切り出した。
「指名料は2千円です。これは指名の有無に関わらず必ずかかります。要は居酒屋の『席チャージ料』みたいなものです。次に、足の対応方法ですが、靴下対応がプラス5千円、裸足対応がプラス1万円です。先ほど『裸足対応で』と申し上げましたので、1万円を頂きます―
最後に、禁止事項ですが、命令口調でサービスを促すこと、セクハラ行為全てが禁止です。万が一『禁止事項を破った』とみなされた場合は、罰金10万円と出禁となりますので、ご注意ください。」
説明が終わると、彼が「あのさ、お嬢さん、例えば1時間コース選んで、眺めとかのメニュー指定するとして、そのメニュー始める前にお話しするだけの時間もアリなんじゃろか?」と質問してきたので、私は丁寧に答えた。「眺め等のメニューは10分毎などの条件で料金が発生しますので、コース全体の時間は過ぎ去ってしまいますが、話をするだけの時間も設けることは可能です。ただ、メニューに入る時はそこから時間を測りますので、事前予告をお願いします。」
彼は少し考え、「じゃあ、2時間コースで、まず嗅ぎからスタートじゃ。お嬢さん、この先は随時指定するじゃけぇ。」と言った。私は「かしこまりました、では始めますね」とタイマーを120分に設定していると、彼が自己紹介を始めた。「俺はカルマじゃ、よろしく。お嬢さん、ベッドに寝転がってくれんか?」と指定してきたので、私はベッドに寝転がり、タイマーをスタートさせた。
カルマはベッドの端に腰掛け、私を見下ろしながらニヤリと笑った。「さぁて、お嬢さん、足並み拝見と行こうか…。」そう言うと、彼はベッドに乗り、私の両足首を掴んでグイッと下に引っ張った。私の体が少しずれて、足が彼の方に近づく。「うわっ、もう臭ってくるな…」と呟きながら、彼は私の足の裏に鼻を近づけてきた。
私の足の裏からは、雨に濡れた靴下の中で蒸れていた独特のニオイが漂っていた。湿った布の生臭さに加え、長時間スニーカーの中でこもった汗が発酵したような酸っぱさが混じる。さらに、足の指の間に溜まった微かな皮脂と靴下の繊維くずが混ざり合い、ほのかに土っぽいニュアンスを帯びた濃厚な香りが立ち上っていた。雨水で薄まったとはいえ、閉じ込められた湿気がニオイをより強く感じさせるものになっていた。
カルマは目を細め、「しかも、靴下が濡れたから靴下のゴミが指の間にびっしりと付着しとるな。この不潔感はたまらんな…。」と言いながら舌を鳴らした。私は少し焦って「舐めは禁止ですからね。」と忠告すると、彼は「分かっとるよ、お嬢さん。」と笑って答えた。
彼は私の左足を両手で持ち、鼻を足の裏にぐっと埋めた。土踏まずからかかとまで、ゆっくりと鼻を滑らせながら深く息を吸い込む。時折、「あぁ…」と気持ち良さそうな声が漏れ、私はその音にゾワッとしながらも鼻を擦った時の擽ったさに耐えきれず、足の指をクネクネ動かしてしまった。「ダメ、ダメー。指をクネクネせんといてくれ」とカルマが言い、左足の指を片手でまとめて掴むと、そのままグイッと反らし始めた。
指の間が広がり、彼の鼻がさらに深く入り込む。私は擽ったさに悶え、「うっ…!」と声を漏らしながらジタバタしてしまう。だが、指が反らされた状態で動きがロックされ、足裏の感覚が余計に敏感になる。カルマは私の反応を楽しみながら、指の付け根から爪先まで丁寧に嗅ぎ続け、時折「うーん、たまらん…」と呟いた。私は擽ったさと恥ずかしさで顔を赤らめつつ、足を動かそうともがくが、彼の手はしっかりロックを保ったままだった。
しばらくして、彼は左足のロックを外し、今度は右足に移った。同じように指を反らし、鼻を埋めて嗅ぎ続ける。私はまたしても擽ったさに耐えきれず、ベッドの上で体をよじらせながら「擽ったい…!」と小さく呟いた。カルマは私の反応を見てニヤニヤしながらも、嗅ぐ手を緩めなかった。
十分にニオイを堪能したのか、カルマは右足のロックも外し、私の足を自由にしてくれた。私は解放された足の指をクネクネ動かし、反らされていたことで一時的に血流が滞っていた部分をほぐした。すると、足がじんわりと温かくなり、冷え切っていた感覚が和らいできた。
カルマは私の足を見ながら語り始めた。「お嬢さん、濡れた靴下をずっと履いとったから、ものすごく足が冷たかったよ。鼻で触った時、氷みたいに冷えとったけぇビックリしたわ。」さらに続けて、「でも靴下をすぐ脱いだから皮膚の荒れもなかったし、若々しい足じゃったな。ニオイはなぁ、湿った靴下の中で蒸れた汗と雨水が混ざって、なんとも言えん濃厚な香りになっとった。指の間に詰まった靴下のゴミがまたええアクセントで、不潔感がたまらんかったよ。濡れたまま履き続けとったら、やがて水虫になって、お嬢さんの美しい足が台無しになるとこじゃった。もちろん、ニオイも更に強くなって商売道具として使えんくなるしな。」
私はその言葉に少し驚きつつ、「裸足対応を指名してくれてありがとうございます。」と感謝を伝えた。彼の詳しい感想にちょっと照れながらも、「確かに水虫は避けたいなぁ…。」と心の中で思った。足の冷たさが和らぐのを感じながら、私はホッとした表情で彼を見た。この時点で、タイマーは20分を過ぎていた。
カルマは意地悪そうに笑い、「やっぱ、靴下対応を選べば良かったかなぁ?濡れた靴下の不快感に耐えきれず、『靴下脱がせてください』って泣きついてくるまで焦らすのもアリじゃったかもしれんねー。」と言ってきた。私はノリで「それは勘弁してくださいよぉー。」と笑いながら返した。
ここで少し談話タイムに入った。カルマは興味津々に色々質問してきた。「お嬢さん、靴下と裸足ならどっちが好きなん?」とカルマが聞いてきた。私は即答で「裸足が好き」と返した。彼は「ほう、ええね」と頷き、次の質問。「仕事から帰ってきたら、『すぐ靴下を脱ぐタイプ』か、『風呂に入るタイミングまで履いとるタイプ』か?」私は「すぐ靴下を脱ぐタイプ」と答え、彼が「そりゃ理由があるんじゃろ?」と畳みかけてきた。「脱いだ時の解放感がたまらないんですよ。足が自由になる感じが好きで…。」と答えると、彼は「分かるわぁ、俺も脱ぐ派じゃけぇ。」と共感してきた。
続けて、「休日の外出の時、足元はどうしとるん?」と聞かれ、「遠出なら『スニーカー・靴下履き』、近場なら『クロックス・裸足履き』かな?」と答えた。カルマは「クロックス裸足はええね、通気性あって楽そうじゃ。」と笑い、「じゃあ、お嬢さんの足は臭くなりやすいタイプなん?」と核心に迫る質問。私は少し恥ずかしそうに「意外に蒸れやすいタイプだから、臭くなりやすいかも。」と正直に答えた。彼は「そりゃ今日のニオイで納得じゃ。商売道具としては最高じゃな」とニヤリとした。
質問が一段落すると、自然と世間話が始まった。「お嬢さん、普段何しとるん?この仕事以外で」とカルマが聞いてきた。私は「私、普段は事務系の仕事してるんですよ。デスクワークだから足が蒸れやすいのもあって、この副業で動けるのが嬉しいんです。」と答えた。彼は「事務かぁ、大変そうじゃな。俺はなぁ、倉庫で荷物運びしとるんよ。帰ったらすぐ靴脱いで解放感味わうのが日課なんじゃ、更に靴下なんか汗でびしょ濡れで、ニオイは本当に鼻が曲がりそうじゃ。」と話してくれた。
「倉庫って体力使うよね。私、全然運動しないから尊敬するよ。」と返すと、彼は「まぁ慣れじゃけどな。けど、最近は雨の日が多くてさ、荷物運ぶ時びしょ濡れになることもあって嫌になるわ。お嬢さんは屋内勤務じゃけど、急な雨で困ったことある?」と聞いてきた。私は笑いながら「今日がまさにそれですよ!予報出てなかったのに突然降られて、最悪でした、しかも足もニオうし…。」と返すと、カルマも「ほんま、天気予報当てにならんよな!」と大笑い。部屋に和やかな空気が流れ、タイマーが静かに進んでいった。
談話タイムが一段落したところで、カルマが目を輝かせて切り出した。「なぁ、お嬢さん、次はもしも話をしようか。」
私は少し興味を引かれ、「おっ、面白そうですね。どんな話ですか?」と返した。
カルマはニヤリと笑いながら話し始めた。「お嬢さんがスパイでさ、某組織のアジトに忍び込んだとするんよ。だが、相手の方が上手で捕まってしまったとしよう。拘束具に拘束されて、相手はお嬢さんが持っとる情報を聞き出そうとする…。」
私が話を遮って、「よくあるシチュエーションの話ですね。」と言うと、カルマはちょっと「バレたかー」みたいたな顔で、「『俺は』っつーか、こういう界隈に所属する獣達にとっちゃ、この話は鉄板なんじゃ。何でか分かるか?」と質問を投げかけてきた。
私は少し考えて、「うーん、分からないですね。どうしてなんですか?」と正直に答えた。
カルマは得意げに説明し始めた。「何でかっちゅうと、雌はほとんど知らん雄に足の裏を見せるのを嫌がる傾向があるんよ。だが、俺達みたいな界隈に所属する獣達はどうしても足の裏を見たい気持ちが高ぶってしまうんじゃ。…で、この話だと、拘束された時点で強制的に足の裏を露わにしとる状態が担保されるわけ。」
私は首をかしげて反論した。「でも、カルマさんの言い方から察するに、スパイ役の私はベッドみたいな台の上に仰向けで寝かされて拘束されてる前提ですよね?でも、拘束具って縦に設置されてる型もあると思うんですけど、その状態だと足の裏って見れないですよね?」
カルマは目を丸くして、「お嬢さん、着眼点すごいね!確かにその通りじゃ。だが、この型でも足の裏を露わにすることは可能なんよ。どうすると思う?」と聞いてきた。
「どうするんですか?」と私が返すと、彼はニヤリとして、「拘束具の下の床部分をガラス張りにすればどうじゃ?」と反論してきた。
私は「うわっ、その手もあるかー」と納得しつつも、さらに切り込んだ。「でも、果たしてスパイ役の子って裸足で活動しますかね?」
カルマは少し笑って、「俺はいつ裸足で活動しとる体で話したかな?もちろん、履物を履いた状態っちゅう体で話してるよ。」
私が「え、だったらカルマさんの理想の形にならないじゃないですか?だって靴なり靴下を履いてるんだから、足の裏は露わになってないですよね?」と切り返すと、カルマはニヤリと笑って、「お嬢さん、この話の根底はそこにあるんじゃよ」と意味深に言った。
「どういうことですか?」と私が聞き返すと、彼は楽しそうに説明を続けた。
「俺達みたいな界隈に所属しとる獣達はな、裸足にするところからメインディッシュが始まるんじゃ。」
私が「つまり?」とさらに突っ込むと、カルマは目を輝かせて語り始めた。「無理矢理嫌なことを仕掛けて、その反応を楽しみながら靴を剥ぐんよ。するとまず、靴と靴下の間に籠もったニオイが解放されて、それを吸い込む。スパイの子は『嫌だ、止めて!』って懇願するじゃろね。でも拘束されとるから言葉でしか抵抗できんけぇ、その声を無視して靴下をゆっくり脱がしにかかる。だんだんと薫ってくるニオイを感じながら興奮を高めて、一気に脱がす!スパイの子は恥ずかしがるわけ。そこで必ずこの質問を投げかけるんじゃ。『ニオイを嗅がれるか擽られるか、どっちがええ?』ってな。」
彼はそこで私を見て、「ちなみにお嬢さんならどっちを選ぶ?」と聞いてきた。
私は深く考えて、「うーん、究極の2択ですね…。蒸れたてのニオイを嗅がれちゃうのも恥ずかしいし、擽られて笑ってるところを見られるのも恥ずかしいし…」と悩みながら答えた。
カルマはニヤニヤしながら、「じゃあ、『キミの知っとる情報を吐けば無しにしよう』って言われたらどうする?」とさらに聞いてきた。
私は少し笑って、「もしかしたら、情報を吐いちゃうかもね。」と答えた。
カルマは満足そうに頷き、「そういうやりとりを想像するのが、この界隈に所属する獣達の楽しみってわけなんじゃ。」
私がちょっと呆れ気味に、「でも、それってズルくないですか?だって、組織側にとってはメリットしかないじゃないですか。こういうのが好きな獣だったら自身の欲望を満たせるし、情報を喋れば組織に有益になる。でもさ、もし喋ったとしても、どうせ嗅ぎと擽りは強制的に執行されるんでしょ?理不尽だわー。」と言うと、カルマは感心したように笑った。「お嬢さん、この界隈の事情をよう分かっとるねー。確かにその通りかもしれん。」
私はさらに、「でもさ、スパイ側からしたら最悪ですよね。情報吐いても結局やられるなら、抵抗する意味すら薄れちゃうし…。」と付け加えた。
カルマは「そりゃそうじゃけど、そこがこの話の面白いところなんよ。お嬢さんなら、スパイ役で捕まったらどう抵抗する?」と逆に聞いてきた。
私は少し考えて、「うーん、まず冷静に状況を見極めて、隙があれば拘束を解こうとするかな。でもガラス張りの床とかだったら、足の裏見られるのは諦めるしかないかも。」と答えた。
カルマは大笑いして、「お嬢さん、スパイ役似合いそうじゃね!でも俺達からしたら、その諦めた顔を見るのもご褒美なんじゃけどな」と楽しそうに言った。
私が「ひどいなぁ、カルマさん」と笑いながら返すと、彼は「まぁ、そういう想像を楽しむのがこの界隈の醍醐味ってことで」と締めくくった。
カルマは満足そうに笑いながら、「かなり長いこと話したなぁ。お嬢さん、何分くらい経った?」と私に聞いてきた。
私はベッドの横に置いたタイマーを見やり、「40分くらいですね」と答えた。
カルマは目を丸くして、「もう、そんなに経っとったか…。さてと、再開するか…。」と呟き、ニヤリと笑った。
私が「次は何をしますか?」と尋ねると、彼は楽しそうに目を細めて、「擽りにいこうか。俺の擽りは擽ったいぞぉー。」と鎌をかけてきた。
私は少し緊張しながらも、「お手柔らかにお願いしますねー。」と軽く笑って対応した。
カルマは私に背を向け、突然私の太ももにドスンと座り込んだ。彼の体重が太ももにずっしりと乗っかり、私の両足が固定されるような感覚がした。そこから彼は上から私の足の裏を見下ろすように位置取り、両手の指先を準備運動でもするかのように軽く動かした。そして、かかとから指の根元にあるふっくらとした部分――土踏まずの少し上の柔らかい肉が盛り上がったところ――に向かって、指先をウネウネと這わせ始めた。
その動きはまるで小さな虫が這うような軽さと、意図的なゆっくりさが混ざっていて、私は今まで体験したことのない擽ったさに襲われた。「あぁ!フフッ…!」と声が漏れ、思わず体がビクッと反応してしまった。指先がかかとを這い上がり、土踏まずのくぼみを通過するたびにゾワゾワとした感覚が背筋を駆け上がり、一瞬だけ快感のような痺れに変わる。でもすぐに、普段感じる擽ったさの余韻が追いかけてきて、笑いが込み上げてきた。
カルマは私の反応を見て振り向き、「お嬢さん、こういう擽り方は初めてか?」と聞いてきた。
私は息を整えながら、「何匹か対応してきましたけど、この擽ったさは感じたことないです。なんかゾワッと来て、一瞬快感に変わって、でもすぐ感じたことのある擽ったさの余韻が襲ってくる感じ。簡単に言うと、『現実逃避中に急に現実に引き戻される』ような感覚に陥りますね」と答えた。
カルマは得意げに笑い、「ヤバいじゃろ?この擽り方は効くやつと効かんのやつがおってな。お嬢さんは効く派で良かったよ。」と言い、再び擽りを再開した。今度は指先を土踏まず全体に這わせ、素早く小刻みに動かす通常の擽り方で攻めてきた。私はその馴染みのある擽ったさに耐えきれず、「ハハッ!うっ…!」と笑い声が溢れてしまった。
彼はカルマオリジナル(?)のゾワゾワ擽りと、通常の笑いを誘う擽りを交互に繰り出し、私を爆笑の渦に飲み込んでいった。オリジナル擽りでは指先が指の付け根をゆっくり這い、皮膚の表面を微妙に引っかくような感覚が全身を震わせ、通常擽りではかかとや土踏まずを素早くコチョコチョと攻め立ててくる。私は我慢できず、「きゃー!止めてぇー!」と叫んでしまった。ベッドの上で体をよじらせ、足を動かそうとするが、太ももに座られているせいで逃げ場がない。
カルマは擽りをピタリと止め、「ほぉ、ええ声じゃ」と呟くと、突然私の両足の裏に顔を近づけ、一気にニオイを嗅ぎ始めた。彼が太ももに乗っていることで、私の両足はぴったり揃えられ、自然と拘束された状態に。足を動かそうとしても彼の重さに押さえ込まれ、抵抗できない。私は鼻息が足の裏に当たるたびに、「ヒッ…フフッ!」と笑いが漏れてしまい、擽ったさと恥ずかしさで顔が熱くなった。
私の足の裏からは引き続き、雨に濡れた靴下の中で長時間蒸れた濃厚なニオイが漂っていた。湿った布のような生臭さに、汗が靴下の繊維と混ざり合った酸っぱさが重なり、さらに指の間に残った微細な靴下のゴミが土っぽいニュアンスを加えていた。ただ、裸足になっている時間が長くなっているため、脱ぎたての時と比べると少し薄まった感じがするが、浴衣に着替える前に少し汗をかいたせいで、ほのかに新鮮な汗の香りが混じり、複雑で深みのあるニオイに仕上がっていた。カルマはその香りを深く吸い込み、「んぁ…たまらん」と満足げに呟いた。
彼は鼻を土踏まずに押し当てて深呼吸し、指の間にも鼻先を差し込んで細かく嗅ぎ分けた。時折、鼻息が強めに当たると私は「クッ…!」と笑いを堪えきれず、足を震わせた。カルマは楽しそうに、「このニオイ、さっきより少し汗っぽくなってきてるな。擽った後やけぇ、ええ感じに熟成されとるわ。」とコメントしながら嗅ぎ続けた。
何度か擽りと嗅ぎの交互攻撃が繰り返され、私は笑い疲れて息を切らしていた。カルマはようやく太ももから降り、「水分補給タイムにしよう。お嬢さん、何飲む?」とホテルのサービスメニュー表を手に持って見せてきた。私はベッドにぐったりしながら、「うーん、喉乾いたなぁ…」といいながら起き上がり、メニューに目をやった。
私はメニューを見ながら、「汗かいたから『スポーツドリンク(商品名:アクウォリヌス)』で」と答えた。
カルマは「了解」と頷き、フロントの内線に繋げた。「○○○号室のカルマじゃ。『アクウォリヌス』と『スカットレモン』を頼むよ。後、扉をノックしたらそのまま前に置いといてくれ」と伝えて受話器を置いた。
このホテルは、私みたいな界隈に所属する獣達の出入りが激しい場所だ。一般的なホテルではあるけど、そういう獣達向けの特別な対応もしてくれる。例えば、飲み物を部屋の前に置いて立ち去るなんてサービスもその一つだ。
カルマが私を見て、「お嬢さん、飲み物を待っとるこの時間は止められんのよな?」と確認してきた。
私は「はい、時間を止められるのはトイレに行く時のみなんです。それ以外はコース時間内とみなされます」と説明した。
カルマは「そうか」と呟き、ソファにドカッと腰を下ろした。そして、ニヤリと笑って質問してきた。
「なぁ、お嬢さん、知らん雄に足の裏のニオイを嗅がれるのは正直どう思っとる?」
私は少し考えて、「最初は恥ずかしかったけど、自分でも意識してなかった足の裏のニオイに需要があることに驚いてます。」と答えた。
カルマは「ほぉ、「需要に驚く」って聞いたこと無い回答じゃな。」と頷き、次に「自分の足の裏がイタズラされるこの商売はどう思う?」と聞いてきた。
「意外に楽しいですよ」と即答すると、彼は「意外にってのが面白いな。で、足の裏を擽られるのは?」と続けた。
私は「最初は嫌だったけど、この仕事をしていくうちに楽しく感じるようになってきてます。」と正直に言った。
カルマは目を細めて、「その理由はなんじゃ?」と畳みかけてきた。私は笑いながら、「何も考えずに笑うことができるし、それを楽しもうとする意地悪な獣達の反応が面白いんです。」と答えた。
彼は「確かに俺、意地悪かもしれんな。」と笑い、「お嬢さんの反応見とるの楽しいわ。」と付け加えた。
雑談していると、扉から「コンコンコン」と3回のノック音が聞こえてきた。カルマが立ち上がり、扉を開けると、カートの上にトレイに載った飲み物が置いてあった。彼はそれを持ち込み、スポーツドリンクの入ったグラスをテーブルに置き、「お嬢さん、どうぞ。」と促してきた。私はベッドから降り、ソファに腰掛けてストローでアクウォリヌスを吸い始めた。冷たい液体が喉を通り、擽りで火照った体が少し落ち着いた。
飲みながらカルマが意地悪な口調で言ってきた。「お嬢さん、裸足になっとる時間が長くなっとるのに、ニオイがなかなか薄まらんのう。むしろほんのり臭くなっとる感じがしたぞ。」
私は照れながら、「やっぱり雨で濡れた影響なんですかね?」と返すと、彼はニヤリと笑って、「まぁ、でもニオイが強くなるのは俺にとってもご褒美もんじゃけどな。」と返してきた。私は「もうー」と顔を赤らめつつ、ストローでさらに一口飲んだ。
カルマもスカットレモンを飲みながら、「今日のお嬢さんの足、最初は雨で冷たかったけど、擽ってたらだんだん温かくなってきてさ。それでニオイも変わってきたのが面白かったわ。」と感想を述べてきた。私は「確かに、足が冷たいままだったらもっと不快だったかも。カルマさんが裸足対応にしてくれて助かりましたよ。」と返すと、彼は「そりゃ良かった。けど、次は濡れた靴下のまま我慢させてみるのも楽しそうじゃな。」と冗談っぽく言ってきた。私は「それだけは勘弁してください!」と笑いながら抗議した。
そんな雑談をしているうちに、タイマーが「ピピピッ」と鳴った。私は「あ、終わっちゃいましたねー。」とタイマーを止め、残りのアクウォリヌスを飲み始めた。カルマは少し悔しそうに、「そっかー、最後にもう一度だけお嬢さんのくっさい足嗅ぎたかったなぁー。」と呟いた。私は「私が飲み終わったら精算しますね」と伝えた。
アクウォリヌスを飲み終わり、私は計算を始めた。「カルマ様、合計26万2千円となります」と伝えると、彼は「いやぁー、足嗅ぎすぎたかなぁ?」と言いながら財布を取り出し、現金を数え始めた。
私は「そうですね、嗅ぎの時間帯の方が多かったです。『嗅ぎ』は1回ごとの料金ですから、左右交互に嗅ぐだけで既に2回になりますからねー」と説明した。
カルマは笑いながら、「だって、お嬢さんの足、ええニオイを醸し出しとったけぇ、ハマってしまったんじゃ。」と返してきた。私は意地悪く、「この変態ギツネさん。ご愛顧ありがとうございますー。」とからかった。
するとカルマが急に、「いやぁー、もし許されるんなら、お嬢さんが履いてきたあの濡れた靴下を買い取りたいわー。」と言い出した。私は目を丸くして、「えっ!?そんなことしてる獣もいるんですか!?」と興味津々に聞いた。
彼は得意げに、「おうよ。俺はこういうサービスをしてくれる店を色々頼んだりしてきとるんじゃけど、中には対応した子のその場でのどんぶり勘定で靴下を売るのを許可しとる店もあるし、自分の理想の形の足の状態にしてから接客――俺達みたいな界隈に所属する獣達の間じゃ通称『育てる』って言うんじゃけど、それを受けてくれる店もあるんよ。」と教えてくれた。
私が「『育てる』の主な例ってどんなんですか?」と聞くと、彼は「今日のお嬢さんと同じようなニオイを嗅ぎたいとなったら、『靴と靴下を履いた状態で水をかけてびしょ濡れにしてから接客して』みたいに指名時に注文すれば、その状態で指名した子が接客しにくる、とかね」と答えた。私は「この業界も色んなサービスがあるんだなぁ」と感心しながら呟いた。
お金を受け取り、風呂場に着替えに行こうとすると、カルマがついてきて、「お願い、靴下のニオイも嗅がしてくれんか?」とねだってきた。私は「じゃあ、チップをくれたらいいですよ。」と条件を出した。すると彼はサッと1万円札を渡してきた。私は風呂場で干していた靴下を1枚手に取り、彼に貸した。
カルマが靴下を手に持って鼻に近づけると、すぐに「ゴホッ!」と咳き込んだ。「靴下の方がヤバいんじゃね!?」と言い、私の鼻にも靴下を持ってきた。私は嗅いだ瞬間、「くっさ!」と叫んでしまった。靴下からは、雨水に濡れて長時間蒸れた強烈なニオイが漂っていた。湿った布の生臭さに加え、汗と皮脂が染み込んで発酵したような酸っぱさが混じり、さらにスニーカーのゴム臭と靴下の繊維が湿気で腐ったような下水道を思わせる重たい香りが立ち上っていた。乾燥機にかけた後も、湿気が完全に取れず、濃縮されたニオイが残っていたのだ。
私は「これ、本当に私が履いてきた靴下なの!?なんか下水道から引き揚げた直後みたいね」と笑うと、カルマも「ほんまそれ!けど、これがたまらんわ」と笑い返し、お互いに大笑いした。
着替えを終えた私は、「またのご利用をお待ちしております」と言い、裸足でスリッパを履き、ビニール袋に靴下を放り込んだ。その場を後にし、エレベーター前にある「使用済みの浴衣があればこちらへ」と書かれたキャスター付きの籠に浴衣を放り込み、フロントに戻った。
「お疲れ様です」と挨拶し、「入室証明書」の退室確認欄にハンコを求めると、サンは一緒に「靴預からせて貰ったのですが…」とスタッフに伝えたら靴を差し出してきてくれた。触ってみると中がほんのり濡れていたが、裸足で降りてきたのでそのまま裸足履きしてホテルを後にした。外に出ると雨は上がっており、星空が広がっていた。
店に戻り、バロンにポーチを渡して売上確認をしてもらった。バロンが私の足元を見て、「あれっ、裸足?どうしたの?」と聞いてきた。
私は「お客様に会いに行く途中ににわか雨にあたっちゃいまして、服もなんもびしょ濡れで…その一部の証拠です。」と説明した。
バロンは「確かにサンさんが出てまもなく雨音がしてきてたな。散々だったね…。」と同情してきた。私は「でもお客様がいい獣で、裸足対応を指名してくれたのですぐ靴下を脱がせて貰いましたよー。」と笑った。
バロンはポーチの中を見て、「っで、26万も売り上げたって訳かー。『嗅ぎ』が多い注文だったってことがすぐ分かるな」と感心し、近くにあったお茶を手に取り飲み始めた。私は「ある意味、結果オーライって感じでした」と返した。
さらに私が、「こう言う店の中には靴下を売るのが可能な店や、接客前の足の状態を注文できる店もあるんですねー。」と投げかけると、バロンは口に含んでいたお茶を「プッ!」と吹き出し、「その話、どこで知ったんだ!?」と慌てふためいた。
私は「今日のお客様からこの界隈について学ばせていただきました。」と答えると、バロンは動揺を隠せず、「まっ、まぁ、あれだ、そういうサービスをする店は『性的風俗店』扱いにされるから、それはそれで更に別の法も含めて経営していかなきゃならんからな。こういうサービス設定にしたのは『性的風俗店』扱いは避けたくてね」と弁解した。
私が鎌をかけて、「バロンさんももしかしてそっちの界隈に身を置いてらっしゃる方ですか?」と聞くと、彼は「そっ、そんなことは無いぞ。」と否定したが、様子がおかしい。私はさらに、「本当は私の足のニオイ嗅ぎたいんじゃないんですか?後、擽りも交えながらね。」と畳みかけた。
バロンはその場を立ち、さり気なく控え室を確認した。現状、私だけで他のスタッフは接客中だ。彼はデスクに座り直し、頭を下げて話し始めた。「サンさん、ご名答です。俺もその界隈に身を置いてるんだ。しかも俺はサンさんが言った『靴下を売れる店』や『足の状態を注文できる店』も利用したことがある。もちろん、この店を始めたのは下心じゃないけど、裸足姿が拝める可能性を秘めた職種だったから、今はそれで欲望を満たしてるのもある。」
私が「その事情は他のスタッフには?特に常勤の方。」と聞くと、バロンは「いや、知られないようにしてるから知らないと思う。サンさんみたいに勘の鋭い獣がいなければね…。」と答えた。
私は「でも、なんかおかしいと思ったんですよねー。体験入店の面談で撮影と銘打って裸足にさせてくるからさ。でも、他のスタッフから色々聞いてみたけど、バロンさんの経営戦略は理にかなってると思いました。そういう界隈を知り尽くした獣じゃないと経営はうまくいかないはずですよ。バロンさん、もう、他のスタッフにカミングアウトしちゃいましょうよ。その方がバロンさんにとってもやりやすくなるでしょ」と提案した。
バロンは「今の話を聞いてサンさんはどう思った?幻滅しただろ?」と聞いてきた。
私は「私は幻滅なんかしてませんよ。むしろ更にバロンさんの下で働きたいと思いました。バロンさん、他のスタッフはなぜここを選んで、長いこと所属してると思いますか?」と逆に質問した。
バロンは「うまくいけばお金を稼ぐことができるからだろ?」と答えたが、私は「ううん、そうじゃない。バロンさんを慕ってるからですよ。」と言い切った。
彼は「果たしてそうかなぁ?」と疑う様子を見せたが、私は「慕ってなければ15匹も…あっ、私を入れて16匹も所属してないですって。」と付け加えた。
バロンは「そうだったらいいけどなぁ…。」と呟いた。
すると後からチシャが現れ、「なんや?バロンさんはそういう獣やったか。」と口を挟んできた。
バロンは慌てて、「あぁ、いや、サンさんに誘導されただけだから!」と弁明したが、チシャは「自分に嘘ついてるのは辛いやろ。ウチはバロンさんがどんな獣であろうが全然受け入れるで。むしろウチもやりやすくなるわ。」とポーチを渡し、控え室に入っていった。
私が「ほらね」とバロンに言うと、彼は「恥ずかしいんだよ。分かるだろ?」と苦笑いした。
私は「私も最初は足の裏を知らない雄に晒すなんて恥ずかしかったですよ。でも、いつの間にか恥ずかしさなんか消えました。バロンさんはこの仕事、経営できて楽しいでしょ?」と聞くと、彼は「楽しいとは思ってる。」と答えた。
私は「なら大丈夫っしょ!」と勇気づけ、控え室に戻った。
控え室に入ると、私が「いやぁ、お客様に会う前にびしょ濡れになっちゃってさー。靴も靴下もなんもびしょ濡れで裸足で戻ってきちゃったさー。」と話しながら足を向けると、チシャがニオイを嗅いできて「くっさ!これはお客様もお喜びやったやろね。ほな、これ(片手で円を作る仕草をする)稼げたんちゃうか?」と笑いながら返してきた。私は「うん、26万だよ」と答えると、チシャは「マジで!?」と控え室に響いた。
時が流れ、閉店後、スタッフ全員が退勤し、店内は静まり返っていた。バロンは自宅兼店舗としてこの部屋を借りているため、仕事もプライベートもここで済ませている。写真撮影室の掃除を終え、次に控え室の掃除を始めようとしたが、その前に彼はカーペットに膝をつき、密かな楽しみに取り掛かった。顔をカーペットに近づけ、鼻をうずめて深く嗅ぎ始めた。
まず最初に嗅いだのは、カーペットの中央付近。そこからはビィの足のニオイがほのかに漂っていた。彼女の足が残した香りは、若いドワーフウサギらしい軽やかさがあった。少し甘い汗のニュアンスに、土っぽい残り香が混ざり、スニーカーのゴム臭が微かに感じられた。バロンは「うーん、このニオイはビィさんの足だな」と呟き、満足そうに鼻を動かした。
次に鼻を移動させ、ソファの近くのエリアを嗅ぐと、強烈なニオイが鼻を突いた。「くっさ!」と顔をしかめつつも、バロンはすぐにピンときた。「これはきっとサンさんだろうな…。」サンの足のニオイは、雨に濡れた靴下で蒸れた濃厚さがカーペットに染み込んでいた。湿った布のような生臭さに、汗と皮脂が混じった酸っぱさが重なり、さらに靴下の繊維が湿気で発酵したような下水道を思わせる重たい香りが残っていた。彼女が裸足履きで戻ってきたから更に少し汗をかいた為、このニオイを強烈に残したのだろう。
最後に、カーペットの端っこ、控え室の入口近くを嗅ぐと、チシャのニオイが漂ってきた。「次は、チシャさんのニオイだな。」彼女が愛用する革靴の内側の匂いが混ざり、ほのかにスパイシーな皮脂のニュアンスが感じられた。ビィやサンの若々しいニオイとは違い、大人の獣らしい深みのある香りに、バロンは「みんな頑張ってくれたみたいだ…。」と呟き、鼻を外して掃除を始めた。
掃除を終えたバロンは、流し兼洗面所の下の収納棚からカップラーメンを取り出し、ケトルに水を入れて沸騰させた。上機嫌で冷蔵庫を開け、キムチとペットボトルのお茶を取り出す。ケトルが「カチッ」と鳴り、カップラーメンにお湯を注いでフタをし、3分待つ。その間にデスクにキムチとペットボトルのお茶を置き、コップも準備した。タイマーが鳴ると、「おぉ、あっつ、あっつ…」と言いながらカップラーメンをデスクに運び、夜食を食べ始めた。
箸を動かしながら、バロンはサンがさっき言ったことを思い出し、あの会話が頭に蘇ってくる。
~過去の映像~
「でも、私、なんかおかしいと思ったんですよねー。体験入店の面談で撮影と銘打って裸足にさせてくるからさ。でも、他のスタッフから色々聞いてみたけど、バロンさんの経営戦略は理にかなってると思いました。そういう界隈を知り尽くした獣じゃないと経営はうまくいかないはずですよ。」
「バロンさん、もう、他のスタッフにカミングアウトしちゃいましょうよ。その方がバロンさんにとってもやりやすくなるでしょ。」
「幻滅しただろ?」
「私は幻滅なんかしてませんよ。むしろ更にバロンさんの下で働きたいと思いました。バロンさん、他のスタッフはなぜここを選んで、長いこと所属してると思いますか?」
「うまくいけばお金を稼ぐことができるからだろ?」
「ううん、そうじゃない。バロンさんを慕ってるからですよ」
「果たしてそうかなぁ?」
「慕ってなければ15匹も…あっ、私を入れて16匹も所属してないですって」
~現在~
その言葉を思い出しながら、バロンはさらに想像を膨らませた。もし自分がスタッフ全員にカミングアウトしたらどうなるか。目を閉じ、控え室に16匹のスタッフが集まっている場面を思い描いた。
~バロンの想像~
自分が深呼吸して切り出す。「実は俺、君達の裸足姿を拝みたいからこの店を始めたんだ…。」
すると、ビィが最初に声を上げた。「え、マジかよ!?バロンさん、キモいじゃけぇ!」と罵り、立ち上がってバッグを掴む。他の若いスタッフ達も次々に反応する。「信じらんねぇ!」「こんな変態の下で働けねぇよ!」と怒鳴りながら立ち上がり、足音を響かせて控え室を出ていく。ドアがバタンと閉まる音が響き、残ったのはサン、チシャ、そして数匹の常勤スタッフだけ。
サンが「バロンさん、大丈夫ですよ」と慰める一方、チシャは「ウチはええけど、他の子らは無理やったな。」と冷静に言う。ビィを含む若手スタッフは店を去り、バロンは一匹取り残されて茫然と立ち尽くす。控え室には静寂が包んでいる。
~現在~
バロンは頭を掻き乱し、「絶対、無理だ、無理だってー!」と現実に戻って呟いた。「ハッ!」と慌てて正気に戻り、カップラーメンをすする。キムチを頬張り、お茶で流し込んで夜食を進めた。
夜食を食べ終わり、バロンはデスクの引き出しを開けた。そこには、契約時に撮影したスタッフのプロフィール画像が入ったアルバムがあった。サイトに載せるために撮った裸足裏の写真がずらりと並んでいる。ビィの小さな足裏、サンの靴下のゴミが付着している足裏、チシャの少し硬くなった足裏…。一枚一枚眺めていると「うっ…」と小さく声を漏らしてトイレに駆け込んだ。
トイレから出てくると、「寝るか…。」と呟き、寝る準備を始めた。歯を磨き、パジャマに着替え、ベッドに潜り込む。電気を消す前に、サンの言葉が再び頭をよぎった。「バロンさんを慕ってるからですよ。」その言葉が本当ならいいなと思いながら、彼は目を閉じた。静かな部屋に、彼の寝息だけが響き始めた。
~第2章 END~
今章の登場獣
~アッシーパーク関係者~
・ビィ(ドワーフ種ウサギ[茶色の毛]/19歳/非常勤スタッフ)
・チシャ(三毛猫/25歳/常勤スタッフ)
~サンの接客相手~
・カルマ(アカギツネ/45歳)




