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深い森に足を踏み入れた雌狼  作者: 遊戯-ユウキ-
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第1章 初出勤

アッシーパーク @Barefoot_park


雌の獣の皆さん、自分の足にコンプレックスを抱えたりしていませんか?でも、そのコンプレックスが逆にウケる事だってあるんですよ。ご興味がある方はぜひ、当店へ!

体験入店から1週間が経ち、私は「足フェチ界隈」のことが気になって仕方なくなっていた。あの不思議な世界をもっと覗いてみたい。そんな衝動に駆られ、ついにあの店――「アッシーパーク」に再び連絡を入れた。そして、以前訪れたビルへと足を運んだ。


ドアを開けると、そこには雄狼が立っていた。初対面の時と同じように、彼は私をあの面談スペースへと案内した。ソファに腰を下ろし、改めて面談が始まる。まず、雄狼から自己紹介を始めた。「前回名乗っていなかったよな。俺はバロン。この店の店長だよ」と名乗った。サンは名前を聞いて、確かに彼らしい名前だと思った。


バロンはにこやかに口を開いた。「いやぁー、また来てくれてありがとうね。あっ、そうそう、前に対応したお客さんが後にオンラインアンケートに答えてくれててさ。『体験入店だって事が悔やまれる。所属ならリピートしたいね』って、高評価をいただけたんだよ。」その言葉に、私は内心少し嬉しくなった。でも、そんな気持ちを表に出すのは癪だったから、わざと強気な態度で返した。「あんな雄、チョロかったわ。途中でトイレに駆け込んでたしね。」


バロンは目を丸くして、「キミ、そういう意地悪な回答も出来るんだね。実は過去にそういう所にいた?」と聞いてきた。私は即座に「いいえ」と答えた。本当は照れ隠しで強がっただけなんだけど、バロンには見抜かれないようにしたかった。


すると、バロンは少し姿勢を正して切り出した。「俺はキミをウチのスタッフとして迎え入れたい。」前のめりになって、熱っぽくそう言った。私は少し戸惑いながら、「私、定職があって、常勤は厳しいんです…」と断りを入れた。するとバロンは笑顔で手を振って、「もちろん、常勤は強制しないよ。実はそういう獣たちのために非常勤契約もあるんだ。っていうか、ほとんどうちのスタッフは非常勤の方が多いんだ。どうかな?」と提案してきた。


その言葉に、私は少し考えた。定職があるとはいえ、副業としてなら悪くないかもしれない。リスクも少ないし、興味もある。「…いいですよ」と快諾すると、バロンは目を輝かせて「ありがとう!非常勤になると契約内容がちょっと変わるから、改めて説明するね」と嬉しそうに話し始めた。


バロンはテーブルの上に一枚の紙を取り出し、私に見えるように置いた。そこには「アッシーパーク 非常勤スタッフ契約概要」と書かれている。彼は指で紙を軽く叩きながら説明を始めた。


「まず基本的な仕組みから話すね。ウチの店は、出勤中にキミが接客したお客さんから徴収したサービス料金を総合して、その20%を店に納める形になる。残りの80%はキミの収入だ。ただし、最低保証としてうちのベースは10万円に設定している。つまり、接客がゼロだった日でも最低10万円は必ず支給される。でも逆に、接客した匹数が多ければ多いほど収入増が見込まれるってわけ。例えば、ある日5匹のお客さんを接客して、1匹あたり2万円のサービス料金が入ったとする。合計10万円のうち、店に2万円渡して、キミの手元には8万円残る。これにベースの10万円が加わるから、その日は18万円の収入になるって事だ。」


私は頭の中で数字を追いながら、「なるほど」と小さく呟いた。バロンはさらに続け、「ただし、接客数は日によってバラバラだから、収入が安定しないって側面はある。例えば忙しい日は10匹以上相手にするかもしれないし、暇な日は1匹も来ないってこともあり得る。それでも、ベースの10万円があるから、生活が完全に破綻する心配はないよ。どう?分かりやすいかな?」と質問され、私は頷き「小遣い稼ぎになるからいいかなって思っています。」と答えるとバロンは満足そうに笑って、「だろ?で、さらに面白い仕組みもあるんだ」と付け加えた。


「基本料金以外に、お客さんが追加でチップをくれる制度も使えるようになる。チップは100%キミのもの。店は一切取らない。例えば、キミの接客が気に入ったお客さんが『おまけだよ』って5千円くれたら、そのままキミのポケットに入る。チップが多い日は、ベースとサービス料金に加えてさらに稼げるってわけだ。実際、ウチの人気スタッフだと1日でチップだけで3万円以上稼ぐスタッフもいるよ。」


その話を聞いて、私は内心ワクワクしてきた。接客数次第で収入が増えるのも魅力的だし、チップ制度はちょっとしたゲーム感覚すら感じる。バロンは紙を指差しながら最後に補足した。「ちなみに、出勤日はキミの都合に合わせて決められる。週1でも月1でもOK。ただし、前もってシフトを提出してもらって、店のスケジュールと調整する形になる。あと、接客内容は前回の体験入店でやったような感じ――お客さんのニーズに合わせて柔軟に対応するってスタイルだ。質問ある?」と聞かれ私は少し考えて、「チップって強制じゃないんですよね?」と確認した。バロンは笑いながら、「もちろん。お客さんの好意次第だから、くれない事もある。運がよければ入ってくるさ。」と答えた。


説明が終わり、私は納得して契約書にサインした。バロンは「じゃあ、次は3日後に出勤でいいかな?」と確認してきた。私は「はい、大丈夫です。」と返して、今日は帰路についた。


家までの道すがら、私は少し高揚していた。小遣い稼ぎ以上の何か――新しい世界に足を踏み入れる興奮が、私の胸をざわつかせていた。


3日後、私は定職の仕事を終えたその足で「アッシーパーク」へ向かった。仕事中、靴の中で蒸れまくった靴下のまま出勤するのはさすがに気が引けたし、他のスタッフやお客さんに迷惑をかけるのも嫌だったので、カバンに忍ばせていた替えの靴下をビル内にあったトイレに行き、履き替えてから、店の中に足を踏み入れた。


「おはようございます。」とバロンに声をかけ、控え室に入ると、そこには3匹のスタッフがいた。今日、出勤していたのは、チワワ、ヒツジ、そしてウサギ。店長が肉食獣の雄狼なのに、草食獣たちがスタッフとして働いているなんて意外だった。私は内心、「この店、いろんな獣が混ざってるんだな」と驚いた。


最初に声をかけてきたのはヒツジだった。彼女はふわふわした白い毛並みと穏やかな雰囲気をまとっていて、少し高貴な口調で話しかけてきた。「あら? 新獣しんじゅうの方かしら? キレイな毛並みの狼だこと。ねえ、あなたお名前は?」私は少し照れながら、「サンです。よろしくお願いします。」と答えた。すると、ヒツジの彼女は優雅に微笑んで、「私はエルム。メリノヒツジよ。こちらこそよろしくね。」と返してきた。彼女の落ち着いた物腰に、私はちょっと圧倒された。


次に近づいてきたのはチワワだ。小柄で丸い目をしたチワワの彼女は、純真無垢な笑顔を浮かべて飛び跳ねるように寄ってきた。「わぁー! イヌ科の仲間だー! サンちゃんって呼んでいい? 私、ハル! 」その無邪気さに、私は思わず笑ってしまった。「うん、サンちゃんでいいよ。よろしくね、ハルさん。」と返すと、彼女は「やったー!」と手を叩いて喜んだ。ハルさんの明るさは、控え室の空気を一気に和ませてくれた。


最後に、ウサギが遠慮がちに近づいてきた。ウサギの彼女は小さな体に長い耳をぴくぴくさせていて、明らかに人見知りしている様子だった。「よっ…よろしく…。私、ラヴ。ドワーフウサギ族だから…。」と小さな声で呟く。私は彼女が緊張しているのが分かったから、優しく「こちらこそよろしくね、ラヴさん。私も今日が初出勤だから、緊張してるよ。」と声をかけた。すると、ラヴさんは少しだけ目を上げて、「…そう」と小さく頷いてくれた。人見知りだけど、悪い子じゃなさそうだ。


自己紹介が一通り終わると、私は控え室にあったソファに腰を下ろして、他の3匹と少し話をしてみることにした。まずは年齢の話題から入った。「ねえ、みんな何歳なの?」と聞くと、ハルさんが即座に「私、18歳ー!」と元気に答えた。エルムさんは「私は21歳よ。」と軽く笑い、ラヴさんは「…20はたち」とぽつり。私は「へえ、意外と若年層が多いのね…。」と感想を漏らした。私の年齢は明かさなかったけど、内心「私もまだ20代だから、この中じゃそんなに浮かないかな」と思った。


さらに話を聞いていくと、この店のスタッフ事情が少しずつ分かってきた。ハルさんが得意げに教えてくれた。「ねえねえ、サンちゃん、この店って合計15匹のスタッフがいるんだよ! 一番年上の子は30歳で、一番年下は私、18歳! …で、非常勤が10匹で、常勤が5匹なんだって!」エルムさんがその話を補足するように、「そうね。非常勤が多いのは、みんな何か別の仕事を持ってたり、学業と両立してたりするからよ。私も実は服飾の専門学校に通ってるの」と教えてくれた。ラヴさんは黙っていたけど、頷いて話を聞いているようだった。


私が「へえ、15匹か。どんな採用条件なんだろう?」と何気なく呟くと、エルムさんが詳しく説明してくれた。「この店の採用条件、実は結構厳しいのよ。まず、年齢は18歳から30歳までの雌限定。それで、応募の時には写真撮影があって、同時に足の裏の状態をチェックされるの。もしガサガサしてたり、皮膚が硬かったりしたら、大体不採用になっちゃうみたい。バロンさん曰く、『お客様が求めるのは、皮膚がキレイで弾力のある足の裏』なんだって。だから、毛並みとか顔も大事だけど、ここは特に足の裏の状態が重視されるのよ。」


その話を聞いて、私はふと思い出した。体験入店で対応したお客さんが言っていた言葉だ。「足の裏の皮膚がキレイで弾力もある。年を重ねてる獣だと皮膚がガサガサで硬いんだよね。俺はこのくらいの触り心地が好みでさ…」あの時のお客さんの感想が、バロンの戦略にぴったり当てはまっている。私は心の中で、「確かに、バロンさんの狙いは的確だな…。」と感心した。若い雌だけを集めて、足の裏の質にこだわる――この店のコンセプトが、需要をしっかり捉えているのが分かった。


ハルさんが「私、面接の時めっちゃ緊張したよー! 足の裏見せるの恥ずかしかったし!」と笑いながら言うと、エルムさんが「でも、ハルちゃんの足の裏ってちっちゃくて可愛いから、すぐ採用よね」とからかった。ラヴさんは「……私、ギリギリだったかも」と呟いて、少し顔を赤らめた。私はそのやりとりにクスッとしながら、「私も体験入店の時、足の裏見られてるなんて意識してなかったなー。」と振り返った。


20時頃、控え室のドアが開いて、バロンが入ってきた。彼は私を見て、「サンさん、お客様から指名が入った。この紙に約束の場所をメモしてるから、ここに行って。」と一枚の紙を手渡してきた。私はドキドキしながら紙を受け取り、指定された場所を確認した。他のスタッフ――ハルさん、エルムさん、ラヴさんは全員接客しに行っており、控え室には私しか残っていなかった。


紙を握りながら、私はふと思った。「お客さん、私しかいなかったから仕方なく指名してきたのかも…」そんな不安が頭をよぎった。でも、すぐに気持ちを切り替え「いや、初出勤なんだから、しっかりやろう。私ならできるはずだ。」と自分を奮い立たせ、指定された場所へと向かった。胸の高鳴りを抑えきれず、同時にワクワクも感じていた。


指定された場所に着いた私は、前回の体験入店で教わった通りに部屋のドアをノックした。すると、中から目つきが鋭く怖そうなドーベルマンの獣が出てきた。彼は背が高く、鍛え上げられたスラッとした体型で、左眉の上には何かに引っかかれたような3本の傷が目立っていた。私は一瞬、「ヤクザ関係者じゃないか…?」と緊張が走り、声が震えそうになりながらも口を開いた。「ごっ…ご指名ありがとうございます。サンと申します…。」


彼は「うん」と一言だけ返し、無言で部屋の中へ戻っていった。私はその背中をビクビクしながら追いかけた。でも、内心では「前のお客さんみたいな獣がたまたま当たりだっただけで、いろんな性格の獣がいるんだ」と自分を落ち着かせ、考えを改めた。


部屋に入ると、彼はドスンとソファに座り、私と目が合った。「お前さんが今日の相手じゃねぇ…。なるほどねぇ…」、ドスの効いた低い声で呟いた。その重苦しい雰囲気に耐えきれず、私はつい口を開いてしまった。「あなた様の理想とはかけ離れた相手ですよね…申し訳ございません。でしたら、キャンセルも可能ですが、いかが致しますか?」すると彼はテーブルの上のメモ帳を手に取り、何かを書き、私に見せた。「わりゃの序章に少しだけ付き合って」と書かれている。彼はメモをテーブルに置くと、さらに続けた。「お前さん、わりゃに足を差し出そうとしとるのに靴下履いとるのは失礼じゃと思わんかね!?」と聞き返す。サンは慌てて「あっ、スミマセン!」と靴下を脱ごうとしたが、彼が再びメモを掲げ、「まだ、脱がないで!」と指示してきた。彼は更に続け「まぁええわ。お前さんの足を味見させてもらうけぇね。じゃが、わりゃが納得せんかったらどうなるか分かっとるね?」と、私に回答を求めた。私は彼の前に片膝をつき、頭を下げて「おかしら、もちろん私も覚悟は決まっております」と答えた。すると、突然拍手が響いた。


彼はさっきより明るい声で、「キミ、飲み込みが早いね。」と称賛してきた。私は戸惑いながらも「あっ、ありがとうございます。」と返すと、彼はニコニコしながら「いやぁ、わりゃのルーティンでな、この流れを作っていかないとやる気がおきないんだよねー」と説明した。私は心の中で「なんかやりにくそうな獣だなぁ…。」と呆れつつも、これから接客が始まるんだからと気合いを入れ直した。そして、店の料金体系を説明し始めた。


私は姿勢を正し、彼に向き直って丁寧に説明を始めた。「それでは、当店の料金体系をご案内いたしますね。まず、基本料金からお伝えします。指名料は2千円です。これは指名の有無に関わらず必ずかかります。要は居酒屋等にある「席チャージ料」みたいなものです。次に、足の対応方法ですが、靴下対応がプラス5千円、裸足対応がプラス1万円、そして両方をお選びいただくと1万5千円となります。コース指定料は、30分コースが5千円、1時間コースが1万円、2時間コースが2万円となっております。お好きな時間をお選びください。さらに、メニュー指定料がございます。眺めは10分ごとに1千円で、こちらは撫でるまでの範囲が含まれます。撮影は1枚ごとに3千円、擽りは10分ごとに5千円で、足つぼマッサージとリフレクソロジーまでが可能です。そして嗅ぎは1回ごとに1万円となります。数え方ですが、足に鼻を近づけてから鼻を離すまで嗅いで1回として数えますので、両足を嗅ぐと2回と計算されます。更に、その他のサービスとして、お客様だけは飲食が可能になっておりますが、もし、頼まれる際は私ども《わたくしども》の飲料も一緒に頼んでいただくのが条件となっており、全ての諸費用はお客様持ちとなります。更に私ども《わたくしども》が口に含める事が可能なのはソフトドリンクのみです。また、チップ制度も設けておりまして、こちらはお客様のお気持ちでいただけたら幸いです。最後に、禁止事項ですが、命令口調でサービスを促すこと、セクハラ行為全てが禁止です。万が一「禁止事項を破った…こちらは当店の用語で「事故」と言いますが、そうみなされた場合は、罰金10万円と出禁となりますので、ご注意ください。」と説明を終えると、彼は少し考えた後、「裸足の1時間コースで、眺め10分、撮影2枚、残り時間擽りと嗅ぎに全振りで」と注文してきた。私は「かしこまりました」と答え、タイマーをセットする準備をした。その前に、彼が自己紹介を始めた。


「そういや、まだ名乗ってなかったな。わりゃはニードルだ。よろしくな。」


私はすぐに笑顔で「ニードル様、こちらこそよろしくお願いします。」と返した。ドーベルマンの彼が「ニードル」と名乗ったことで、さっきまでの威圧的な雰囲気が少し和らいだ気がした。私はタイマーを手に持つと、「それでは、1時間コースを始めますね」と告げ、接客をスタートさせた。


私はまず、「足をどこに置けばいいですか?」とニードルに確認した。彼は「ベッドにまず腰をかけて欲しいな。」と注文してきたので、私はベッドの端に腰を下ろした。「まず、どのメニューから始めますか?」と聞くと、ニードルは「あー、その前にもう一つお願いしたいことがあるんだが…。」と言ってきた。私は少し警戒しながら、「禁止事項に引っかからない程度ならお応えいたします。」と要求を引き出した。


彼は少し照れくさそうに、「最初はまず嗅ぎから始めたいんだけど、靴下をわりゃに脱がせて欲しいんだが…。」と提案してきた。私は心の中で、「なるほど、中に籠もってるニオイが解放された直後の濃いニオイも楽しみたいってわけか…。」と解釈した。そして、堂々とこう言ってみせた。「そうですねぇ、確かに靴下をどちらが脱がすか、その場合の料金設定はありませんが、チップを出していただければ、考えなくもないですよ?」と鎌をかけてみた。するとニードルは即座に「じゃあ、1万出そう。どうだ?」と返してきた。私は内心、「まさかこんな簡単に釣れるとは!」と驚いたが、彼ならいくらでもチップをつり上げてきそうだと感じた。一瞬、どこまでつり上げようかと企んだが、自分の気持ちを抑えて「かしこまりました。精算時にお渡しくださいね。」と答え、足の裏を彼の方へ向けた。「では、今から始めますね」とタイマーを押した。


ニードルは鼻息を荒くしながら、私の両足にゆっくりと手を伸ばしてきた。まず左足の靴下からだ。彼は指先で靴下の縁をつまみ、かかとから少しずつ丸めるように脱がし始めた。靴下の中で一日中蒸れていた私の足が徐々に露わになると、こもっていた湿気と熱が解放され、かすかに酸っぱい汗の香りが漂ってきた。私自身も、つま先からかかとへと蒸れ感が抜けていく解放感に心地よさを感じていた。靴下がついに指先まで丸められると、彼は勢いよく靴下を引っ張り上げた。


脱がされた靴下からは、汗と皮脂が混ざった濃厚なニオイが立ち上っていた。少し酸味がかった汗臭さに、ほのかに動物的なニュアンスが混じる。それは、長時間靴の中で熟成されたような、生々しくて重たい香りだった。ニードルはすぐに左足の裏に鼻を近づけた。一瞬、「ブフッ」と咳き込むような音が聞こえたが、彼は目を閉じて深く息を吸い込んだ。


靴下を脱がした直後の足の裏からは、靴下以上に濃密でむせ返るようなニオイが溢れ出ていた。一日中閉じ込められていた汗と熱が解放され、酸っぱさを帯びた湿っぽい臭気が立ち上り、そこに皮脂が混ざった獣らしい野生的な香りが重なっていた。靴下の中で熟成されたニオイが一気に解き放たれた瞬間で、湿気を含んだ生温かい空気とともに、強烈で鮮烈な足の裏特有の香りがニードルの鼻を直撃した。彼は鼻を足裏のアーチから指の付け根まで這わせ、隅々まで嗅ぎ回し、「うん、これはいいニオイだなぁー…。」と満足そうに呟いた。私は擽ったくて少し笑いながら、意地悪そうに「こんな臭いニオイのどこがいいんですかー?」と聞いてみた。


彼は足裏を嗅ぎながら、「足のニオイって、頑張りのバロメーターなんだよね。ニオイが強けりゃ強いほど、相手の頑張りを共有できるっていうか…。」と答えた後、鼻を外し、今度は右足の靴下に手をかけた。同じようにゆっくりと丸め上げ、脱がした瞬間、右足の裏からも左足同様の濃厚なニオイが炸裂した。右足は左よりも汗を吸っていて、湿気を含んだむっとする臭気がさらに強烈だった。ニードルは右足の裏に鼻を埋め、深呼吸を繰り返した。脱がしたての足裏からは、酸味と獣臭が混ざり合った、重たい香りが漂い、彼の鼻腔を満たしたようだった。


5分後、ニードルは私の足のニオイを堪能し終え、「次は撮影をしますね」と自分のスマホを取り出した。私は「シャッター音が鳴ったら1枚とみなしますからね。」と説明し、彼に委ねた。彼は画角にこだわりが強く、「ちょっと右に傾けてみてくれないか」とか「指を少し開いてみて」と細かく指示してきた。私はその通りに足を動かしながら、彼の要求に応じた。1枚目のシャッター音が鳴り、彼は「うん、いい感じ。」と満足そうに頷いた。


撮影中、彼は突然イタズラ心を出してきた。「あー、コラ。勝手に動いたなー。これはお仕置きをしなければいけないなぁー。」と言いながら、私の足の裏を軽く擽ってきた。私は「ひゃっ!」と声を上げて笑ってしまい、「動いてないですよー!」と反論した。彼は「いや、動いた動いた!」と楽しそうに笑いながら、さらに指先で足の裏を擽ってきた。2枚目を撮る時には、「今度は横にしてみて」と指示され、私は足を横に倒した。シャッター音が鳴ると、彼は「完璧だな…。」とニヤリ。撮影タイムだけで15分ほど過ぎていた。


撮影が終わり、ニードルは「いよいよ、擽りますからねー、覚悟してよー。」と言ったが、続けて「その前にトイレに行きたいから一旦止めて。」と私にタイマーを止めさせた。彼は一旦トイレに行き、戻ってくると再びタイマーをスタートさせた。まず、彼は私の左足を両手で抱え込んだ。親指を片方の足のアーチ部分、もう片方をその横の皮膚に押し当て、上から下へ力を込めて指を滑らせた。最初は擽ったさと同時に軽い痛みが襲ってきたが、数秒後にはその圧が心地よい刺激に変わってきた。私は「気持ちいいー…。」と小さく呟いた。彼は黙々とマッサージを続け、アーチ部分の硬くなった筋をほぐすように指を動かした。足裏全体がじんわり温かくなり、体が火照ってくるのを感じた。「足の裏は第2の心臓」だと言われているのを実感した瞬間だった。


数回マッサージを繰り返した後、彼は突然両手の指をフルに使い、足裏全体を思いっきり擽り始めた。私は急な展開に耐えきれず、「ひゃはははっ!」と素で大笑いしてしまった。彼はニヤニヤしながら、「おお、いい反応ー。」と楽しそうに指を動かし続け、土踏まずから指の付け根までをくまなく攻めてきた。私は笑いすぎて息が苦しくなり、「やめてくださいー!」と叫んだが、彼は「まだまだー。」と擽りを続ける。少しして、彼は一旦手を止め、私の足に鼻を近づけて再びニオイを堪能し、満足すると再び擽るを繰り返した。擽られるたびに体が跳ね、嗅がれるたびに少し恥ずかしさが募った。いつの間にか1時間が終了し、タイマーのアラームが鳴った。


ニードルは「いやぁ、ここまで興奮できたのは久々だよ。キミ、いい腕してるね…あっ、腕じゃなくて足か!アハハハー」と上機嫌に笑っていた。私は靴下を履き直し、「では、ご精算を…」と言い、料金を計算した。


「ニードル様、サービス料は合計で9万3千円となります。チップについては別途お預かりいたします。」と伝えると、彼は「延長制度があるならもっと満喫したかったんだがなー。」と名残惜しそうに言いながら、財布からお金を出し、支払ってくれた。私は「申し訳ありません、当店はスタッフの負担を考えて延長制度は設けておりません。」と丁寧に説明した。彼は「まずは靴下を脱がせてくれたお礼のチップね。」と1万円を渡し、さらに1万円を追加でくれた。「これは今日全体を通しての付加価値分。もしキミが出勤してる日だったらまた指名するかもなぁー。」と言ってきた。私は「ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております。」とお礼を言い、その場を後にした。


店舗に戻り、バロンにポーチを渡すと、彼は中を確認し、「サービス料金綴り」を取り出して売上を確認した。「サンさん、初手から2万円のチップ受け取ったの!?」と驚かれた。私は「はい、『料金体系にないサービスを求められたのでチップでお支払いください』と言ったらすぐ出してきましたよ。」と答えた。バロンは「…それは事故サービスじゃないよね?」と困惑した顔で聞く。私は「ご安心ください。相手から『靴下を脱がせて欲しい』と言われただけですので。」と説明した。バロンは「そういえば、そのサービス料は載せてなかったわ。確かに『靴下を脱がしたい』って衝動に駆られる獣もいるもんな…。近い内に改訂するか…。」と呟いたが、私は「このサービスはベース料金を設定した上でチップ払いでいいんじゃないでしょうか?『靴下を脱がす』価値なんて獣それぞれなんですから。」と提案した。バロンは「そういうやり方もありっちゃありか…。」と考え直している様子を見せた。その後、指名が入らず、23:30に退勤した。


自宅に着くと、私は靴下を洗濯機に放り込み、リビングのソファに座って何気なく自分の足の裏を嗅いでみた。すると、ニードルに嗅がれた時よりもさらに濃厚で強烈なニオイが鼻を突いた。一日中靴や靴下の中で蒸らされた後、ニードルに弄ばれた後、すぐに靴下を履いてしまった為、足からは汗と皮脂が混ざり合った酸っぱくて重たい臭気が漂い、長時間熟成されたようなむっとする湿っぽさが際立っていた。まるで、汗と熱が凝縮された生々しいニオイだ。私は「うわっ、かなりヤバい…。」と顔をしかめ、急いで風呂に入って足や体をキレイに洗い、一日を終えた。


~第1章 END~

今章の登場獣

~アッシーパーク関係者~

・バロン(オオカミ/?歳/「アッシーパーク」店長)

・ハル(チワワ/18歳/非常勤スタッフ)

・エルム(メリノ種ヒツジ/21歳/非常勤スタッフ)

・ラヴ(ドワーフ種ウサギ/20歳/非常勤スタッフ)


~サンの接客相手~

・ニードル(ドーベルマン/?歳)


備考

「アッシーパーク」サービス利用料

指名料:2000円


‐足の対応‐

靴下対応:+5000円

裸足対応:+10000円

両方対応:+15000円


‐コース指定料‐

30分コース:+5000円

1時間コース:+10000円

2時間コース:+20000円


‐メニュー指定料‐

眺め(10分ごと):+1000円

※「撫でる」まで可能

撮影(1枚ごと):+3000円

擽り(10分ごと):+5000円

※「足つぼマッサージ」と「リフレクソロジー」までが可能

嗅ぎ(1回ごと):+10000円


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