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日常魔王  作者: 熊ノ翁
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魔王様の少子化対策(その2)

 魔王城の一室、講義堂にて。

 主に参謀等の国政に携わる上級魔族たちが会議を行う部屋である。

 50人ほどは入れる広さの部屋は飾り気のない簡素な作りだった。

 主な調度品は部屋を二分するように長テーブルとイスが置かれており、その他に目立った家具や装飾品は無い。

 そこに座り込むのは、青い肌をしたホブゴブリン達だ。

 頭髪の無い剥げた頭に尖った耳、ギョロりとした目に大きく裂けた口と、その風貌こそはゴブリン然としている。


 だが、居並ぶ者たちの体格がゴブリン達よりも一回り大きい事と、そして何より身にまとう服装が野山でボロ布を纏って暮らすゴブリン達とは大きく異なる。

 ホブゴブリン達はその誰もがパリっとした、吸血鬼たちが好むようなスーツを着込み、動物の皮で出来た靴を履き、首下ではネクタイを締めるといった出で立ちであった。

 高い知性と文化を感じさせる身なりは、裸マントにパンツ一枚という知性も品性も文化も感じられない魔王とは雲泥の差である。


「それでは、大ゴブリン共和国の少子化問題についてこれより意見交換を始めます」

 

 手に持った小型の木槌で傍らに置かれた木板を叩き衆目を集める。

 左右に分かれて座っていたホブゴブリン達が一斉に中央の議長席に座る魔王と参謀へと視線を向けた。


「この問題については魔王様も日頃より胸を痛められていたそうで、今回のご出席と相成りました。魔王様、本日の議題と進行をよろしくお願いします」


 頬杖をついて鼻をほじっていた魔王が急に話を振られ、指についた鼻くそをあわててマントで拭った。


「えーと、コホン」


 鼻をほじっている所を見られ、恥ずかしくなったのをごまかすために咳ばらいをひとつする。

 そんな程度で魔王の威厳が戻るわけでも無く(元々そんな物があったのか、はなはだ疑問だが)居並ぶホブゴブリン達の目線はどこか冷たさが感じられた。

 気を取り直して、魔王が口を開く。


「あー、あー。なんかアレだろ? お前ら数減ってて働き手が少なくなって税収減ってんだろ? なんでファックしてガキ増やさねーんだよ。簡単な話じゃねーか。ガキの作り方知らねーのか?」


 まったく何の遠慮も無く、デリカシーのカケラも無い発言を開口一番ブチ込んだ。

 ギリ、というホブゴブリン達の歯ぎしりの音が参謀の耳にまで届く。


「いいか、ゴブリンども。まずオスはチンチンってもんがあってだな。これはションベンするためだけに使うもんじゃあ無くて……」


「あ、魔王様もう結構です」


 国政の場でいきなり性教育をおっぱじめる魔王を、参謀が遮った。


「あと彼らはゴブリンではなくホブゴブリンですからね。中級魔族の彼らを低級魔族のゴブリンと呼ぶのは侮辱ですからおやめください」


「えーなんだよー。どっちも大して変わんねーんだろ一々細かいなー」


 ぶーたれる魔王を無視して参謀が話を切り出す。


「では改めて本題に。あなたがた大ゴブリン共和国の人口増加率が近年異常なまでに減少傾向にあります。労働人口の減少も著しく、放棄された田畑、鉱山、鍛冶場などの加工場も増えており、国内総生産と税収も右肩下がりが続いております」


 パチン、と参謀が指を鳴らしホブゴブリン全員に幻覚魔法をかける。

 魔法をかけられたホブゴブリン達一人一人の眼前に、大ゴブリン帝国の年間GDP、農業総産出額、作付面積といった各種データの100年間の推移が立体映像となって表示される。

 ちなみに、この手の魔法に無駄に耐性の高い魔王に参謀の幻覚魔法は基本掛からない。

 よって魔王は各種データの表示された映像を見る事は出来ないわけだが、見れた所でどうせ話についていけるわけでも理解できるわけでも無いので、特に支障はなかった。


「ほんの100年前と比較しても、ほぼ全ての分野の生産量が半減に近い有様で、回復の傾向も見られません。その主たる要因は少子高齢化による労働人口の減少で、今後なにか対策を講じなければ更に大ゴブリン共和国の国内総生産は下がり続ける事でしょう」


 参謀の言葉通り、表示されている産業の生産量グラフは全てが坂を転がり落ちるかのような減少傾向を示していた。

 世代間人口分布を示す人口ピラミッドの図も見事なまでの逆三角形をしており、子供が少なく老人が多い状況なのが一目でわかる。

 ホブゴブリン達が一通りデータを眺め終えるのを見計らって、参謀が問いかけた。


「お集りの皆さん、まず何故こんなにも出生率が下がったのか、その原因を教えて頂きたい」


 しばしの沈黙の後に、周囲の者たちと話し合うホブゴブリン達のしゃがれた声が続き、そして左右各陣営から手が上がる。


「はい、ではそこのあなた。ええと、ゴブリッヒ・ホブラーマー上院議員」


 右側の席に座る一人のホブゴブリンを参謀が指名した。

 名前を呼ばれたホブゴブリンは立ち上がるや否や、こう力強く断言した。


「魔王様、そして参謀殿。この度のわが国の税収の低下は、全て我が大ゴブリン共和国の女どもの怠惰と身の程知らずな思い上がりが原因です」


魔王様の少子化対策(その2)……END

というわけで(その2)公開ですね。

自分で決めた期限はどうにか守れたので一安心。


ええと次回更新は、何事も無ければ10月26日木曜日に出来るはず。

出来てなきゃTwitterとなろうのアカウント削除しますので、もし消えてたら「あ、こいつダメだったんだな。所詮はその程度だったか」と察して頂ければ。

んでは以下いつもの。


最後までお読み頂き有難うございます。


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よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
エピソード28、拝読しました。 今回の話……。魔王様の場違い感が半端ないですね。魔王様ファンとしては、このあとに見せ場があることを期待してます。 それにしても、参謀が参謀しすぎててお疲れ様ですって感じ…
[良い点] 今回はどうなるコトやらwktk [一言] 予測できないアクシデントもございますので、26日に更新できなかったとしてもアカウント消すのはやめてください(TOT)
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