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二章(一年目六月の一)

「一定の期間だけ効果を発揮する自白剤、置いておく場所が紛らわしすぎますわ!」


ジュリー様が怒っている。私はなんだか妙な気分になった。落ち着くような、夢の中にいるような。自白剤、なんでそんなものを飲んでしまったのだろう?


「リリー、ここでなら効果はすぐ解けますわ。落ち着いて頂戴、いま魔法分散の魔道具を探します」

「……私は、とても落ち着いていますよ」

「無理に喋らなくていいのよ、というか、喋るべきではないわ」

「いいえ、私は話したくて話しているのですよ、ジュリー様」


私はジュリー様と正対した。


「お願いがあります」

「今の貴女は正常ではないのよ」

「先日の、事件がありましたよね。考えるのも嫌なのですが、あの時の私はジュリー様の幻が倒れるのを見て動揺してしまったのです」

「貴女には、そのための魔道具を」

「ジュリー様は魔法で他人に遅れをとることはない、そう理解していても、ジュリー様がいなくなってしまったら、私は間違いなく普通でいられない。あの時のことを思い出す度に、私はそう考えてしまうんです。ひどく不安になってしまうんです。

私の願いはひとつだけです。ジュリー様、絶対にいなくならないでください」

「…当然よ」

「そして、できれば、あの、もっと近くにいてください」

「リリー、泣かないで」


普段の私はこんなこと言うはずないのに、暴走が止まらない。でも、そんな私をジュリー様は優しく抱きしめている。そのまま少し経った。


「あの本通りにできたら良いのに、私はもう…」

「あの本?リリー、貴女は何の話を」


安心した、眠い〜。


̶̶̶̶̶̶


「…!」

「あらリリー、目覚めたの?」


ジュリー様に抱えられている!どういうこと?私は何か粗相をしたのかも、急いでジュリー様から自立する。私は確か薬を飲んで、ジュリー様がそれを止めて…


「申し訳ありません、私は何の薬を飲んでしまったのですか」

「…そんな大した薬ではありませんわ」


周りのものも破壊されてはいないし、何かとんでもないことをしたわけではないはずだ。ただ、頭の中に空白の時間があるような気がする。


「今、少し頭が働かなくて」

「少しお待ちなさい、正しい飲み薬を渡しますわ」


ただ、ジュリー様がそのことについて尋ねるなという雰囲気を出しているので、やめておく。


「どうぞ」

「ありがとうございます。あれ、これは水ではないですか」

「寝起きの水ですわ。いきなり薬を飲んだら、喉に痛いかもしれないでしょう?」


同じような容器ばかりが置かれている。私がさっき間違えて飲んだ容器は見当たらない、ジュリー様が処分したのだろうか。


「これですわね。精神や体を不調にする魔法の効きが遅くなる薬、具体的には一分ほど遅れるそうですわ」

「ありがとうございます。これは水ではなさそうですね。苦いです」


飲んでから外に出ると、朝だった。来たのは昼なのに。翌朝?


「あ、時計が正常に」

「この防衛設備、人に話してはいけませんわよリリー」


私のような貴族でも重い秘密を共有してしまった!いや、私はこんな国家機密の一部なんて知りたいわけじゃなく、ジュリー様について知りたい。


「あの宝物を守護する方は、入った時と同じですね。一晩中いたのでしょうか」

「いいえ、夜に休んでいますわ」


ジュリー様の馬車はちょうど良くやってきた。あ、だから昨日は馬車が帰ったってこと!かかる時間も計算済みだったらしい。

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