二章(一年目五月の三)
形式に拘りすぎて無味なお話になってませんように
さて、なんだか夢見が悪いような良いような朝を迎え(解釈に困る夢だったがまた見たいような)、学院に行くために服を着替えた。本が燃えちゃって落ち込んだ気持ちも、上向いてきた。今日は気に入っている服で出ます。
昨夜は雨だったのね。濡れた地面は歩きたくないけど(例えそれが短くとも)、反射した青空は視界の明るさを増す。この街のいくつかの坂は美しい。そして、あの本の中でもそれにまつわる物語があった。そう、この世界はいつだって物語に満ちている。とても素晴らしい。
そんな気持ちで授業を受けた。次の授業は講師が薬草を採りに行っているというので、休講。外に出た。取り巻き仲間が私に問う。
「あちらの方が最近つきまとってくるという」
「そう。嫌になります」
「同じクラスではないですね」
「まあ、悪気はないのでしょうけれど」
私たちは影に隠れている女学生を片目に見ながら、三度同じ方向に角を曲がり、角を曲がり、角を曲がったところで元の廊下と違った廊下を観測する。まるで高さの変わらない階段。ここの廊下に沿った教室は空いていることが多い。しかし、入った時に弱い気配を感じた。気のせい?
三人でジュリー様やその他のことについて語り合う。
「セーリオ様は、最近父親から一本取ったそうですよ!」
「そうですか。クラスが違うので、対決するときは注意するべきでしょう」
「彼、女装が似合いそう」
取り巻きCの発言に内心驚く。なぜそれを知っている!?偶然?それとも、私以外にもあれを目撃した人がいるの?嘆息。私も別の視点からも見たかった。女装は天啓。
「そろそろ昼食ですね」
「ジュリー様に会える」
しかし私は、
「少し用事があるので、先に向かって頂いても」
と言った。珍しいことである。二人も少々面食らったよう。
二人がいなくなった後で、教室の教卓の裏を覗く。何故ここにあの時の妖精が?




