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一章(一年目四月の八)

見逃せない超レアシーン!!といえば?


女装は、良いですよね?


私の同学年に、騎士を目指している青年が在籍している。彼には、整った顔立ちとその圧倒的な剣の腕前から、虜とされた女子も大勢いる。


しかし、彼女らは今日私が見る光景を知ることはないだろう。理由があって着ることになった衣装。偶然用意されていたウィッグ。決して揃わないはずのダイスの一の目が揃ったようですね?


あっ!ここで私は、ふと気付いてしまった。自分の中にある、ジュリー様を勝手に着飾らせたいという欲に…。ついにはっきりと意識してしまった!


しかし困った。どうしよう。この欲望の発散方法が思いつかない。いや、思いついてはいるけれど、あまり望ましくはない。露見したときの代償が恐ろしく、そして私にとっては恥ずかしい。


それはともかく、私にはこれから、追っ手をまくために変装した美青年を目撃するという使命がある。これは絶対である。失敗は許されない。彼の足は早く、この空間の時間が過ぎるのもまた早い。


さて、目標の雑貨屋への入店を確認。警戒を怠るな。近づいてきていることがわかる、一度しか見られない出店の刻がね…!さて、ドアが開く。私の目もしっかり開いていてくれ。ああ、扉の奥は眩しく神々しく…!


その刹那、私の聴覚は存在しない天使の楽団の和音を聴いた。想像通りに想像以上。現実の解像度は夢より高い。女装した青年は、美しかった。隠してはいるものの微かな恥じらいの表情、愛おしくもよく見ると広い肩幅、四六時中剣を握る手にはスカーフが巻かれている。彼の足音だけでもおいしい。


さらに、この世界は無限の可能性を秘めている。なので、二人がばったり出会うのもある意味必然?第一王子が本当に現れて、私の鼓動と死の日付が早まった。


以降、事実を記すと、第一王子が女装した青年を青年だと気づかないまま追っ手から庇って、青年はちょっと二人で歩いた後王子から逃げた。極上。


あ〜、満足です私は。このまま一応青年の家の前でも行ってみようかな?彼の声が聞こえたりしないかな?


「邪魔だ女!」

「カウンターマジック」

「ってえ!お前…」


ん???ぶつかってきた人がいたので反射で攻撃してしまった。私に非はない。全く、彼が追っ手に追われていたからまわりまわっていい気分だったのに…。


あ。逃げよう。

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