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序章1

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どうか次に進みましょう

「ちょぅ、待って」

しかし、非情にも馬車は発車した。

「…ッッ!っやしぃ…」

こうべを垂れてるのが私。私があまりに悔しそうに見えたのか、通りがかったカップルに笑われた。

まあ、いいんだけどね。次の馬車も近い。それに、何かに必死になるのは大事だと思うんだ。私は大人しく待ち場に立った。


次の馬車で街中を移動する。私はしがないとりまきA、3人セットで扱われがちな、物語中の悪役令嬢の取り巻き。この事に気がついたのは、魔法学院に入学してからだった。


詳しく説明すると、私の現在の境遇が、私が昔、祖父の家で読んだ小説そのままだって話。その小説では、主人公の平民ガールが悪役令嬢を断罪し、地雷イケメンを避け、イケメン伯爵の嫁になる。夢みちゃってるね、作者さん。でも、私が魔法学院へ進学を決めた原因もその小説。実はね。そういえば、あの本には魔法がかかっていたような気がする。なんだったかな。


まあいいや。なぜ私があの小説がリアルと同じだと気付いたのか?それは、私と見た目が同じモブキャラがいるから。確か、黒髪に青の瞳と書いてあるのをみて、子供心に私と同じだと思ったんだ。名前も同じリリー。まあ、よくある名前だから偶然だと思ってたんだけれども。ただ、入学してみると周りの環境がなんかデジャブ。その事に気づいてから、私は小説内のリリーと同じように振舞ってる。なぜかって?もし、もしもだよ。現実が小説通りに進んだとしたら。


美味しい場面が全部生で見れちゃうからなんだ!美少年騎士の覚醒シーンも、巨大な魔物を迎撃する大魔法の発動も、闇落ちした学年主席が理性を取り戻すシーンも!いやー、あれは涙なしには読めなかった。あー、久しぶりに読みたくなってきた。次に祖父の家に行くのが楽しみだ。


でも、原作のリリーって頭良くはないんだよね。私は、いい。先祖代々伝わる教育法のおかげかな?この差は、なんなのだろう。そういえば、あの小説を書いた人は、私たちの先祖なんだって、おじいちゃん言ってたかも。他の本の話だっけ。


まあ、これで私が悪役令嬢の取り巻きやってる理由もおわかりいただけただろうか。原作大好きだからである。


今、街に向かっているのは、何も買い物のためだけではない。そう、冤罪で囚われてるっぽい学生犯罪者の脱走を見に行くためだ。つまり、野次馬になるために向かっているという事。さあ、どれだけ派手に激レアワインが割られることか。


彼女は、この時祖父の家で起こっている出来事を知らない。一冊の本が、静かに燃えている事を。周りに燃え移らない妖しい炎がたった今、表紙を舐めつくした。


表題は、もう読めない。


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