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5.勇者アレンside

勇者候補のアレンは下位貴族の家に生まれた。

一応貴族ではあるが、騎士に授けられる爵位なのであまり裕福ではない。

領地はなく、王都に通える距離のここ、ラージ街に住んでいる。

子供にかまけてる暇がなかったため、割と自由奔放に育つアレン。

メイドも少ない。



いたずらが過ぎて邪魔なので「外で遊んできなさい」とちょくちょく家から追い出されていた。

そのせいでご近所から苦情が出まくるが、男爵は常に出かけていていない。

母親も子供が元気な証拠といって、苦情を言う相手に文句を言い返すだけだった。


やがてアレンが街の外に出るようになるとギルドから注意が来るようになる。

付き合いのある貴族からも心配されたが、親は何もしない。

子供が外をうろつくにはさすがにおかしいと王家からも注意を受けた。


「勝手に逃げ出すんですよ」

「ならば、外にいたら捕まえてもらえばいいだろ」


そのうち怪我をするようになり、「見つけたら家に連れて帰る」という仕事を強制的に依頼させられた。

逃げ出すたびに支払わないといけない。

男爵の狭い敷地の周りにFランクの人がたむろして目を光らせるようになった。



アレンは困っていた。

冒険者がかっこいいからなりたいのに、家族は大反対。

勝手に抜け出していたら家を出ただけで大勢に囲まれて拉致されてお金を取られてしまう。

食事も貧しくなってきた。


「アレンが外に出るたび1銀貨取られてしまうのよ」母が嘆く。

「こんなことでは負けない。僕が冒険者になって稼げれば母さんも楽になるよ」

「まあ、アレンたら優しいのね。でも無理しないでね」母は嬉しそうだ。


門を一歩出たら敵だらけ。なんとかあいつらを倒さないと。

無意味な闘志を燃やす勇者候補アレンであった。


「そうだ!僕が強くなればいいんだ」

「まあ、どうやって?」

「とりあえず剣を覚える」

「剣だなんて、危ないわ」

「剣の先生を父上にお願いしてみる」



アレンの父は母に剣の先生を手配するように任せた。

母は剣の先生を募集する。


☆剣士の先生募集

・薄給である 一か月1銀貨

・絶対に怪我をさせないこと

・剣をあきらめさせる方向でもいい


ツッコミどころ満載だ。

普通に知り合いに話をしても、皆お茶を濁すばかり。

ギルドに募集が貼りだされたが、当然誰も希望者がいない。

冒険者が笑いの種にするほどだった。




しばらくするとヒステリーをおこした母親がギルドに乗り込んでくる。

ギルド長がめんどくさそうに対応する。


「もしかして希望者が多すぎて選抜に時間がかかってるとか?」

「いえいえ、一人もいませんが」

「一体どういうことですの?

 大体うちの子は、〇×△◇□・・・〇×△◇□(自慢)」

「はあ、そうですか」


「そうですかじゃありません!今すぐに手配なさい!

 大体うちの子は、〇×△◇□・・・〇×△◇□(自慢)」

「ほうほう、それだけですか?」


「まだあるわよっ!

 大体うちの子は、〇×△◇□・・・〇×△◇□(自慢)」

「それだけですか?」


「まだわからないの?

 ごほごほっ・・・ちょっと!お茶くらい出しなさいよ」

「お茶?・・貴族のお茶は見たことありませんが我らのお茶はこれですな」


少し取っ手が欠けている粗末なカップに茶色い臭い水を出される。


「ちょっと!ふざけてるの!?

 お茶よ、お茶!なにこの薄汚い色は。臭いし。カップ&ソーサは基本でしょ!?」

「え?そうなんですか?見たことないんですよ」

「それくらい用意しておきなさい!」

「あ、では請求書をあとでお持ちしますね」

「は?」

「平民では買えないので貴族担当の商人の紹介料もお願いします。あとは、臭いのないお茶代」

「…」


無言になったので追い打ちをかけるギルド職員。

「ギルド長、お茶の入れ方もわかりませんので専門職の手配代もおねがいします」

「お茶の時にお菓子があると聞いたことがあります」

「あーじゃあどんな物なのかたべてみないとな。その代金も?」


立ち上がってプリプリ怒って勇者の母は帰ってしまった。

その後ギルドにいた全員で盛り上がったようだ。


剣士先生の募集はなぜか取り下げられることなくそのまま隅に貼られることになった。




『勇者かも?』というだけあってアレンは子供のわりに能力が高かった。

いつまでたっても来ない剣士の先生。

大人しく待てるわけはなく、次の行動に出た。


「自分で剣士の先生を探してやる!」


借金を回収に来た商人の馬車に隠れて敷地の外に出る。

馬車が店の前で停止した瞬間を見計らって降りる。


さてどこ行こうか。


そろそろと見つからないように移動する。

ギルドだとまた捕まってしまうから、冒険者が一人の時を狙って頼みに行こう。

剣士といえば剣を持ってる人がそうだよね。


もし、少しでも面白かったと思っていただけたのなら、

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