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観覧車で二人っきりですることと言ったらキスだよね!

三話完結、残りも夜中0時にあげます。

遊園地に行くと言ってももう夕方の4時近くだ。


そこで近所にある町営の小さな遊園地に行くことにした。


ここは回転しないジェットコースターやメリーゴーランドなど子供向けの遊具が多い。


「ハルキおにーちゃん、怖いから手を握っててね」

「ああ」


回転しないジェットコースターなんて辛くないカレーみたいなもんだが、初めてだから怖いのは仕方ないよな。


「でも良かったあ」

「ん?何が?」

「こうやってハルキおにーちゃんとデート出来るなんて、ずっと先のことだっておもってたから」

「そ、そうか」


頬が熱くなるのを感じて思わずそっぽを向く俺。


だってこんな美人が俺にそう言ってくれるんだからさあ。


陽茉莉だって分かっていても照れるだろ?




「キャー!こわいー!」


子供向けのジェットコースターは膝上のバーでしか体を固定しない。


だから陽茉莉が俺に抱きつく事も出来てしまう。


ああっ、陽茉莉の胸が、吐息がっ、腕があっ!




「えへへ、怖かったけど楽しかったねー」

「そ、そうだな」


俺としては陽茉莉の事しか見えてなかったけど。


って、完全に陽茉莉の術中?!

相手は幼稚園児だぞ!


でもハタチなんだよな。

身も心も。


じゃあいいのか?

本当にいいのか?


いいんじゃないかな?


俺は欲望に屈してしまう。


だって俺は初恋をこじらせてずっと恋人居なかったんだぞ!


だから陽茉莉の面倒を夕方に見ることになって、もしかしたら光源氏計画とか出来るんじゃないかとも思ったよ!


でも陽茉莉がおこしゃま過ぎてそんな考えなんがすぐに吹き飛んだよ!


なのにさ、だのにさ、


「はい、あーん♡」

「あーん」

「んふ、おいしい?」

「ああ、おいしいよ」


なんでこんなに魅力的な大人になっちゃうんだよおおお!


「こうやって人前であーんしてもいつも嫌がってたよね」

「それでも食べてただろ?」


霞姉さんと陽茉莉と俺の3人でここに来た時、俺としては霞姉さんにあーんをしてもらいたかったのに、陽茉莉がやりたがるんだよな。


普通なら幼稚園児にあーんされるなんて社会的にアウトだけど、霞姉さんが居ると親子に見えるから問題なかっただけなんだよね。


今は陽茉莉と二人きり。


これは確実に俺たちは恋人に見られてるよな。





「次は何に乗りたい?」

「メリーゴーランド!」


俺と陽茉莉は一頭の木馬に乗る。


幼稚園児の陽茉莉たちと乗る時は俺の目の前に陽茉莉、後ろに霞姉さんが乗っていたけど、今回は陽茉莉が俺の後ろだ。


むにゅうううっ


押し当てられてわかる霞姉さんより凄いボリューム。


「どう?お母さんより凄いでしょ?」

「な、何が?」

「おっぱい」

「ぶふっ!?」


耳元でそんなこと言うなあっ!


「んふふ、大好きだよハルキおにーちゃん♡」


だからこの体勢で耳元でそんな事言うなよ!


理性が理性があああっ!







はあはあはあ。

なんとか耐えきったぞ。


「最後はやっぱり観覧車だよね!」

「そうだな」


俺は陽茉莉と観覧車に乗ることにした。


カップル認定されているのか、言わなくても二人だけにしてもらえる。





「夕陽が綺麗だな」

「ヒマリンとどっちが綺麗?」

「うっ」

「どっちなのお?」


俺の隣に座って上目遣いで言う陽茉莉。


「陽茉莉の方が綺麗だ」

「それなら、証明して」


そう言って目を閉じて唇を突き出す陽茉莉。


こ、こ、これはもしや…


「…んもうっ、いくじなしっ!」


がばっ!


いきなり陽茉莉が俺に抱きついてくると


ぶちゅっ


「?!」


唇を奪われた!


ちゅっ、とかじゃなくて、ぶちゅっと、唇が押しつぶされるようなキス。



「う…」


俺はそのまま陽茉莉のことを抱きしめてしまう。


「んっ、えへへ。チューしちゃったね♡」


何この可愛らしさ!


「今度はハルキおにーちゃんからシテね♡」


俺は目を閉じている陽茉莉にキスをし…


ボンッ


へ?


陽茉莉が幼稚園児に戻ってる?!


「お疲れ様でした。ええっ?!」


キスしようとしている俺と陽茉莉を見て係員のお姉さんは声を上げる。


「だ、だ、誰かっ!来てくださいっ!」


係のお姉さんが叫んでいる間に観覧車はまた上の方に動いていく。


「あれえ?魔法解けちゃったね?」

「解けちゃったねじゃないっ!見られたぞ!」

「ヒマリンとハルキのラブラブシーン?」

「幼稚園児にキスするロリコン変質者だよっ!」

「んもう、異世界なら年齢制限なんて無かったのに」

「え?そうなのか?」

「だって色んな種族が居たから、年齢だけで縛るなんてできないんだよ」


なるほど。


「って、感心しているばいいじゃない!早く大人の姿に戻れ!」

「キスしてくれたら戻ってあげる」

「え?」

「幼稚園児のヒマリンにキスしてくれたら大人になってあげる♡」

「出来るわけないだろ!」

「んふふ、下に降りるまで誰にも見られないからだいじょーぶ!」


そう言って小さな唇を突き出す陽茉莉。


観覧車が周り切るまでに俺は決断しないといけない。


幼稚園児の陽茉莉とキスするか、警察に捕まるか。




「だが断るっ!」

「ええっ?!ハルキおにーちゃん、捕まっちゃうよ?」

「それでも幼稚園児の陽茉莉にキスするよりマシだ!」

「陽茉莉のこと嫌いなの?幼稚園児だから?」

「幼稚園児でも陽茉莉の事は好きだよ!だけどそれは保護者的な感覚なんだ!」

「そっか…残念」






観覧車が下に降りると警察は居なかったが警備員数人が待っていた。


「この人です!あれ?」

「どうかしたんですか?」

「あなた、子供…じゃないわよね?」

「当たり前でしょう?もしかしてここは女の子と大人の男性を二人っきりで乗せたりするんですか?」

「そう言えばそんな二人組を乗せた記憶はないわ…えっ?どうして?見間違えたの?!すみませんっ!」


陽茉莉が大人モードになってくれたおかげでとりあえず俺は助かったのだった。




「ごめんなさいね、遅くなって」


そう謝ってくれるのは陽茉莉の母親の霞姉さんだ。


「陽茉莉が迷惑かけなかった?」

「ううん、全然問題なかったよ!」

「陽茉莉はいっつもそう言うのね。ハルキ君、本当に大丈夫だった?」

「特に問題は…無かったですから」

「…ねえ、ハルキ君。私に何か隠してない?」


ゴゴゴゴゴゴという擬音が聞こえそうなプレッシャーを掛けながら聞いてくる霞姉さん。



「べ、別に何も、なっ、陽茉莉!」

「うん、陽茉莉の胸を押し付けたりキスしただけ!」

「あんた、押し付けるような胸なんて無いでしょう?…え?キス?」

「うん♡」

「ハルキ…お姉ちゃんはあんたのこと信じていたのに…」

「ば、馬鹿なこと真に受けるなよ!俺が幼稚園児の陽茉莉・・・・・・・・にキスするはずなんてないだろ?」


大人の陽茉莉とはしちゃったけどな。

あれも陽茉莉のほうからしてきたのだからセーフだよな?


「実はハルキおにーちゃんがウトウトしていた時に陽茉莉からキスしちゃったの」

「陽茉莉そんな事したの?!」

「「も?」」


俺と陽茉莉の声がハモる。


「えっ、あっ、その、言い間違いよ。私はハルキ君に何もしたことないから、ね、信じて」


だよなあ。

俺の事を弟としか思ってない霞姉さんが俺にキスなんてするはずないもんな。


「それにほら、小さい時は一緒にお風呂にも入ったし」

「そんな昔のことこと覚えてねーよ!」

「じゃあ思い出すために今から入る?」


そう言ってスっと服の裾を捲り上げる霞姉さん。


「なーんて、冗談よ!本気にした?ごめんね!これでも前の旦那に操立ててるから!」

「前の旦那って、そもそも結婚してないだろ!」


霞姉さんはシングルマザーだけど結婚はしていない。


それどころか陽茉莉の父親すら知らないというのだ。


何でも知らない相手と一夜の過ちで出来たとかで、俺の両親はそれを聞いて物凄く怒っていたよなあ。


そうそう、今更だけど俺の両親は二人揃って海外に移住してるんだよね。


だから俺が陽茉莉の面倒を押し付けられるわけなんだけど。


「じゃあハルキおにーちゃんはいつもみたいに・・・・・・・ヒマリンと入ろっ!」


それはお前が幼稚園児だからだろ!


もう今となっては一緒に入れないからな!


「んふふ」


陽茉莉はニヤっと笑うと


「(ボソッ)『我が意志よ我が伴侶との赤い糸より伝われ』」


『聞こえる、ハルキおにーちゃん?』


「え?」

『声出さなくても会話できるから』


まさか意思疎通魔法?


『お風呂一緒に入ってくれなければキスのことバラしちゃおうかな?』


なにっ?!


だが断るっ!


『どうしてよおっ!』


俺は脅しには屈しないからなっ!


『ふうーん。それならこっちにも考えがあるから』


「『我は七曜の神を統べたる太陽の神ヒマリン!我が力は万物の成長を司る!』」


え?まさか霞姉さんの前で大人になる気か?!


「やめろっ、陽茉莉!」

「『この者の肉体よ、精神とともに在りし日の姿に戻れ!』」


え?違う?


「何を言ってるの陽茉莉……あれえ?カスミンってどうしてこんな所に居るのお?」


霞姉さんが幼稚園児になった?!


しかも幼稚園児になると陽茉莉と瓜二つじゃないか。


「『我が肉体よ、仮初の姿から解き放たれ、真の姿を見せよ!』」


さらに陽茉莉が大人モードに?!


「あっ、ママ!」


そう言って大人モードの陽茉莉に抱きつく幼稚園児モードの霞姉さん…ってややこしいわっ!


「あれえ?この男の人は?」

「この人がカスミンのパパなのよ」

「ホント?!パパ!パパ!」


そう言って俺に抱きついてくる霞姉さん。


そう言えば霞姉さんも父親の顔は知らないって言ってたよな。


だからママに似ているであろう陽茉莉にそう言われて信じてしまったんだ。


「あれえ?カスミンの服がブカブカだよお?」

「間違えてお母さんの服を着ちゃったのね。じゃあみんなでお風呂に入ってから着替えましょうか?」


服って魔法で着替えさせられるんじゃないの?

ほら、陽茉莉は大人の服になってるし。


『成長させたり若返らす時に着替えさせることもできるけど、あえてそのままにしたのよ。そうすればお風呂に入る口実ができるでしょう?』


なんて計算高いっ?!


15年も異世界に居たのは伊達じゃないってか?!


「さあ、あなた。久しぶりに親子3人でお風呂に入りましょ?」

「はいろー!」


俺をグイグイと引っ張る二人。


『今、お母さんの精神は幼稚園児並にしてあるから、元に戻っても記憶は消えてるから気にしなくて大丈夫だからね!』


それでも俺が大丈夫じゃないから!


「このアパートのお風呂は狭いから3人も入れないだろ?」

「それならどっちと入るか選んで!」

「うん!」


俺は究極の二択を迫られた!


幼稚園児から大人の姿になった陽茉莉を選ぶか、

大人から幼稚園児の姿になった霞姉さんを選ぶか。


どっちを選べばいいんだあっ?!

お読み下さりありがとうございました!

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