茉莉花の遺書2 別れの挨拶
前回は養親視点でしたが、今回は妹ちゃん視点です。
小学校から帰ると、ハウスキーパーの祈鈴さんに義父さんが執務室で呼んでるって聞いた。義父さんがこの時間に帰ってきてるって珍しいなぁ。
義父さんの執務室に行くと巧義兄ちゃんと結葉義姉ちゃんがいた。あれ?2人ともいつもならまだ学校だよね?
2人がいることを疑問に思っていると、義父さんが口を開いた。
「胡桃、お前宛に手紙が来ている。読めない漢字もあるかもしれないから結葉と一緒に読みなさい」
「ありがとう義父さん。それでこの手紙って誰からのものなの?」
読んだら分かる、と義父さんは教えてくれなかった。私は小学4年生なんだから物事が少しはわかる年なんだよ。何も隠さなくたって。
私は結葉義姉ちゃんと一緒に私の部屋に行き、私のベッドに腰かけて私宛の手紙を読み始めた。
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可愛い可愛いわたしの妹、胡桃へ
あなたのお姉ちゃんのジャスミンです。覚えていてくれてるかな?覚えてくれていたらうれしいな。
まずははなればなれになったのに、手紙を全く送れなくてごめんね。わたしはいつも病院でけんさとやら何やらあってつかれてペンを取れなかったの。
今回はとてもひさしぶりに何もない日があったからペンを取ることができたのだけれど今回のチャンスがなかったらあなたに伝えたいことが伝えられなくなるところだったわ。
あなたに伝えたいことは3つあるの。
1つ目はお父さんとお母さんが残したものについてよ。一応わたしが持っているっていうことになっているのだけど、わたしはいつも病院にいるからあなたにあげるわ。大事に使ってね。あずけてある場所についてはあなたの義父さんに伝えてあるから一緒に行くといいわ。
2つ目はあなたへの注意。たぶんないとは思うんだけど、西崎って人があなたの所に来て「皇家じゃなくウチの子どもにならないか」って言ってくるかもしれないから絶対にことわること。わたしの親あつかいになっているけどいい人たちじゃないから絶対にだめ。
最後はわたしからのお別れのあいさつね。わたしは体が周りの人よりかなり弱くてね、もうあまり長くは生きられないの。今は何とかペンを取れているけどすぐに動けなくなると思う。そうなったら伝えられないからね。わたしの可愛い可愛い妹、胡桃、わたしの分まで永く生きて幸せになってね。お姉ちゃんとの約束よ。
胡桃のお姉ちゃんのジャスミンより
―追伸―
佑介さんか巧さんか結葉さんが胡桃と一緒にこの手紙を呼んでいることと存じますが、妹のことをどうかよろしくお願いいたします。
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忘れてないよ、忘れられるわけないよお姉ちゃん。お昼か夕方にだけ病院に行くと会えたお姉ちゃん。肌も髪も周りの壁と同じくらい真っ白で、とても具合悪そうだったのにいつもニコニコ笑顔だった。
………長くないって手紙にはあったけど、まだ生きているかもしれないんだよね。
「ねぇ、結葉義姉ちゃん」
「なに?胡桃」
「お姉ちゃんがいる病院に面会の申し込みってできるかな?」
「う~ん、できるかどうかは分からないわ。胡桃はジャスミンさんの血縁上では妹であるけど、戸籍上では全くの他人なの。手紙に書いてある通りなら恐らく集中治療室とかにいそうだから猶更難しいんじゃないかな」
結葉義姉ちゃんがその質問が来ると分かっていたかのように間を開けずに答えた。たぶん何か知っているんだと思う。
今度1人の時に調べてみないと………
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