茉莉花の遺書1 養親への復讐
少し閑話が入ります。ご容赦くださりながら読んでくだされば幸いです。
ちょっとだけざまぁ要素入っています。
「先生、特別隔離病室の葛さんが今朝方亡くなっているのが確認されました」
「そうか、わかった」
奴につけていた看護士が奴の死を知らせに来た。もったいない、私の感想はこれだけである。奴は開発中の新薬などの実験体として優秀で都合がよかったのだがな。まぁ構わぬ。奴が死んだということはアレが手に入るということだからな。沙織に連絡を入れねば。
「もしもし、沙織」
『どうかしましたか、広人さん』
「先程、ついに奴が死んだとの連絡が来た。アレを受け取ってきてくれ」
『あら、ついにですか。今日はフレンチの卓袱料理のフルコースにでも行きませんか』
「おぉ!それはいいな。では頼むぞ」
フ、フハハハハハ。奴もバカだよな。知らないとは言え両親を殺した私の養子になるとはな。
α
β
γ
δ
ε
「はぁ!?アレが手に入らないだと!?」
『えぇ。奴の遺書があるとか何とかで奴の意向に背くから渡せない、と』
「そんなはずがある訳なかろう!ずっと隔離して用足しと検査以外では部屋の外に出ることもなかったはずだ!」
『とにかくこっちに来てくれませんか』
「わかった、すぐそっちに行く」
アレを手に入れるために奴を養子にしたというのに受け取れないのでは無意味ではないか。
私が弁護士の元へ着くと、沙織と弁護士が言い争っていた。
「ですからなぜ私たちが受け取れないのですか!あの子は私たちの家族なのですよ」
「ですからこちらは何度も言っているでしょう。遺書に別の方に渡すようにと綴られているんですから。あ、西崎広人様ですね。そちらにお掛けになってください」
「えぇ、失礼します。ですが先生、あの子は検査や排泄以外部屋を出ていないんですから遺書はないはずですが」
そんな小賢しい真似ができないように実質監禁ともいえる隔離を行っていたのだからな。あっては困る。
「実際にあるんですよ。お二人が揃われたので今から読み上げますね」
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親愛なる養父様、養母さまへ
なんて言うとでも思っているのですか両親を謀って殺した上に両親の相続金目当てで図々しくも私の養親になった藪医者とその妻。知らないとでも思っていたのですか?あんなに実験台にされれば猿でも解ると思いますよ。
さて、あなたたちは今遺書があることと両親の相続金が受け取れないことに驚いているでしょう。いい気味です。
流石に10年以上もいれば顔見知りの看護士だって、仲の良い看護士だってできるものですよ。
藪医者さんが非番の日に弁護士の人を呼んでもらって遺書と相続金の変更を行ったのですよ。知っての通り私の身体は様々な薬品の生もあってボロボロでしたからかなりギリギリでしたけどね。
そういうことですので両親の相続金の相続権は大手企業グループを複数有する皇家に養子に行った実妹の胡桃に移しました。なのであなたたちが両親の相続金を受け取るということは地球が今滅びる確率よりないですので。
このことは皇家の方にも連絡していますので両親の死を隠蔽したようにはできませんので覚悟してください。まぁそんなことできる余裕なんてこの先一生ないでしょうけどね。
それでは永遠にさようなら 葛茉莉花
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「な、な、な」
あまりのひどい内容に私たちは絶句した。奴には養子にしてもらった恩というものがないのか!?そう思っていると扉が急に開いた。
「西崎広人と沙織だな!お前たちを殺人、隠蔽及び児童虐待の容疑で逮捕する!」
バ、バカな。こんなはずではなかったのだ。おかしいであろう。警察を呼んだにしても逮捕状が出るのがあまりにも早すぎる。
「あ、西崎様、追伸まで読み上げておりませんでした」
弁護士がその内容を読み上げる。
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追伸、あなたたちが両親や私にやってきたことは全て警察にリークし、あなたたちが両親の相続金を取りに来たら逮捕するように仕向けてますので、快適な牢獄生活を一生お楽しみください。
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追伸の内容に私たちは抵抗が無意味だと知り、膝から頽れた。
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