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ぽかぽかな気持ちとろくでもない転生者の話

 ついに親子再会(?初対面)!

 浮島に降り立つと大樹の根元に見た目はヒューマンの女性が腰かけていた。女性の眼と髪は若葉のような新緑色で柔らかな、包み込むような印象をしていた。

 私はあまりにも整っていて綺麗なその女性の姿に見惚れていた。身体が女性のことを母と感じていた。そのせいか、私は女性に対して安心感を覚え、自分でも気付かぬ間に女性の方へ足を向けていた。

 女性は歩いてくる私に気付いたのか私の方を見て目を瞠り、視線をセフィロに向けて口を開いた。

「セフィロ、5年もどっか行ったまま帰ってこないと思ったらハイエルフの幼子を連れてくるなんて。貴女は5年間何をしていてその娘はどうしたの?」


——リュアラス様、この方は貴女様の子供で、私を眷族召喚によって5年前に呼び出した貴女の後継です——


セフィロ、どうやったらそんな簡潔で分かりやすくまとめられるの?教えて欲しいかも。

それにしても女性もといお母様(なんとなくお母様と呼びたくなった)は私のことがわからなかったのか。その事実になんとなく寂しさを感じる。

「この娘が私の子供で大精霊を継ぐ後継………」

 お母様はそう呟くと、足を止めてしまっていた私に近づいてきて………え?

 お母様は私を抱きしめていた。え?え?え?突然のお母様の行動に私はかつてないほどに驚いていた。なんなのこの状況、まったくわからない。わからないけど、なんか温かい。

「こんなに早く成長してくれてありがとう。ここまで来てくれてありがとう」

 その言葉を聞いて、私は前世も含めて初めて親のぬくもりに触れた気がした。実際にはものごころつく前に感じていたのかもしれないが、私に覚えはない。温かさの正体に気付いた私は眼から涙が溢れだしてきた。私はお母様に抱き着いて泣き出してしまった。


α

β

γ

δ

ε


「そう、だとしたらリアは転生して世界の心理に触れたから、成長速度が速かったり人型の種族がヒューマンじゃなくてハイエルフになったのかもしれないわね」

「そっか。だとしたら今までにもそういった事例とかありそうなものだけどなかったのかな?」

 私が泣き止んだ後、私はお母様と主に私のことについて話していた。その中でお母様は私にリルフィリアという名前をくれた。心がとてもぽかぽかした。

「ヒューマンやエルフ、ドワーフやホビットみたいな所謂人と呼ばれる種族の中には結構いたけれど、精霊というのは前代未聞だったはずよ」

「へぇ~、転生者って結構な数いるんだね」


 転生者って1つの都市に1年に1人生まれるくらいにはいるらしい。その中でも一角の人物になれるのは0.001%にも満たないらしい。他は30%くらいが凡人、10%弱が秀才で片が付くレベル。恐ろしいことに残りの60%、半数以上の人たちはなんと犯罪者として修道院や牢獄の中で人生を終えるらしい。

 よくある代表例は2つ。

 ある男性は自分をその時代にはいもしない魔王を倒す勇者だと言い、不法侵入や器物損壊を繰り返し、咎めた人々に「NPCは定型文だけ喋ってろ」と名誉棄損ものの発言をし、「俺に相応しい聖剣を手に入れると言って王城に堂々と侵入するなどしたらしい。

 またある女性は自分をヒロインだと言い、婚約者のいる王子や位の高い貴族の子息たちに色目を使い、それを王子たちの婚約者が窘めれば、自分をイジメると周囲に噂を流して評判を下げ陥れようとしたらしい。

 どうしたらそんなに頭のおかしい行動を起こせるか謎。しかも何かしらのスペックが必ず高いらしいから厄介。でもわざと未来への反面教師として働いてくれたと考えたらいいかな。


「それにしてもほんとリアが、早く成長してここに来てくれてよかったわ。普通100年以上かかるから自分の子供の姿を見ることはできないかと思ったわ」

 ちょっと待ってお母様。今とんでもなく聞き捨てならないことをサラッと言いませんでしたか?

「え、お母様どういうことですか?子供の姿を見ることができないかと思った、って」

「あぁ、私の寿命があとだいたい50年くらいだから生きているうちに子供が見れると思ってなかったのよねぇ」

「えぇ!?」


——な、なんですって!?――


 さっきまで私たちの話を聞いていて空気に徹していたセフィロまで驚愕の声を上げていた。え、それってかなりマズいんじゃないの!?

 茉莉花は10にも満たないときに実親と死に別れ、妹とは別々の家に養子に入りました。茉莉花が養子に入った家はあり得ないほどくずだったので、彼女は親の温もりをよく知りません。


グリュネの森編は次回で終わりです。


 感想や評価是非くださいな。特にどこがよかった、どこは修正した方がいいなどの感想は諸手を挙げて待っています。

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