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第一話

 少年が倒れていた。

 森の中で一番大きなぶなの木の下で、少年は見つかったのである。

 季節は春。

 見つけたのはこの森の主人の孫娘。

 少年は数えきれないほどの傷を負っていた・・・・心にも、体にも。







 ◇


「麗華さん、待って下さい」

「しつこいね、あんたも」

 先を行く女は作業着に身を包んでいた。よく町工場等で見る山葵色や枯色のような薄い色の作業着ではない。

 カーディナル・レッド。茜色の作業着だ。

 袖口やフラット・ポケット、肩のラインはピーコック・グリーン。

 ターコイズ・ブルーのヘルメット、首にはクロム・イエローのタオル。麗華と呼ばれた女は新緑に萌える森の中では奇異な程よく目立つ。

 だがこの色合いは趣味ではない。この森の中では目立たなくてはならないのだ。

 彼女は林業を生業としている。

 森の中は彼女にとって仕事場である。この森は確かに彼女のものではあるが、彼女だけが入山する訳ではない。最近では依託している林業会社の社員や近所の村の森林隊の者が研修で訪れる。初心者が多い研修現場に木と同系色の服でうろつく訳にはいかない。

 履き慣れた作業用の革靴にウェストポーチ以外彼女が身にまとっているものは全て原色である。

 この派手な作業着は実際役に立っている。

 森に迷い込んだ子供や、山菜を摘みにきたのに足を挫き難儀している老人が彼女を見つけ助かっているのだ。

 原色の女の後を追う青年の格好も森の中には似つかわしくない。ブランド物のスーツに靴。髪もきっちりセットをしている。

 女はがっしりとした体躯に日に灼けた肌、男は華奢な体躯に色の白い肌をしている。身長差は優に十センチはあるだろう、もちろん高いのは女である。

「今日は麗華さんの会社の創立記念パーティの日なんですよ。会長が出席しないなんて話になりません。それにあなたを連れていかないと僕が困るんです」

「うるさいね。そういう、うざったい式典には出席しないっていうのが会長職を引き受けた時の約束だろう? あたしは爺さんの山の中でのんびり暮らしたいんだ。会社経営なんて全て任せるよ」

 話ながらも麗華はずんずん進んでいるので二人はかなり山の中に入り込んでいた。男の靴はすでに土でぐちゃぐちゃに、スーツも下生えの草で薄汚れている。

「そういう訳にはいかないんです。沖野工業の未来の婿養子だけが出席して現経営陣が欠席なんて悪い噂を広めるだけじゃないですか。第一、麗華さん、ズルイです。僕にだけ面倒くさいこと押しつけようとして!」

 麗華の足が止まった。

「龍一。いつ、あたしが、あんたに面倒なことを押しつけようってしたって?あんたから申し込んだんだろう? 未来の会長の婿殿、それくらい自分でなんとかしな」

「麗華さん・・・・・・」

 龍一と呼ばれた青年はうなだれた。

 確かに、自分から申し込んだことだけれど、彼女はどうしようもないことだけは助けてくれると言った。どう言えば今がそのどうしようもない時だということを説明できるのだろう。

 いつもこうだ。彼女が言うことは正しい。

 でも僕の言うことも間違ってはいないはずだ。ただそれをうまく説明する能力がない。いつも、いつも自分はこうやってうなだれるばかりだ。

「そうですね。なんとかなれば良いんですけど」

 つぶやくように言葉を吐く。電話では駄目でも直に迎えに来ればもしかして・・・・というのは甘い考えだった。

「本当になんとかなりそうなのかい?」

「なんとかしないと」

 一刻も早く社に戻って着替えて、麗華さんが欠席の理由を考えなければ・・・・そうは思っても体が動かない。

「・・・・はあ。しょうがないね、龍一は。行くよ」

 呆れたような麗華の声。

「でもスピーチはしないからね。ただ居るだけ、それだけだよ」

「はい!」

 龍一は麗華に抱きついていた。

「ちょ、ちょっと龍一。スーツが汚れるだろ」

「どうせ着替えなきゃいけないんですから一緒ですよ」

 しばらくの間棒立ちだった麗華だが、おずおずと龍一の細い背中に手を回す。柔らかな髪が麗華の頬をくすぐった。

 なんでこんな坊やが、あたしなんかに惚れているんだろう。

 出会ってから何十回と考えた疑問を吹き飛ばすように麗華は龍一の背中を叩いた。

「ほら、急いで戻らないとパーティに間に合わないよ」












 ◇


 最初、少年は目隠しをすることを嫌がった。

 代わりに少女が自分に目隠しをした。

「これはゲームなんだ」

 少年は言われた通り少女の手を引いて十メートルは離れた一本の木まで連れていった。

「この木」

 少女はその木を抱きしめたり触ったり、匂いを嗅いだりした。

「三十数え終った」

 そしてまた少女の手を引いて十メートル近く離れた。その場で独楽のように四、五回回転する。

「よーい、スタート」

 その掛け声と同時に、少女は目隠しを取り近くの木を手当たり次第触っていく。木肌を撫ぜるようにして少し触っては他の木へ移る。目当ての木を見つけたのか少女は今度は目を輝かせて木に抱きついた。だが納得のいかない顔をして木から離れた。今度は少し離れた同じ種の木に抱きつく。これも違うらしくまた違う場所の同じ種の木に抱きつく。四回目に移動したところで確信したのか少女は少年を呼んだ。

「この木だろう?」

「・・・・・・うん」

「次はあんたの番だよ。なんだい、あたしに負けるのが怖いのかい? 意気地がないなあ」

「やる」

 少年は自分から目隠しをした。

「あんたが五分以内に見つけたら、その木をあげるよ」

「絶対見つける」













 ◇


『日本列島は総面積の六十七%が森林という森の島である。現在日本では「森が破壊されている」という声があちこちで起きている。しかし数字だけを見れは「まだ国土の半分も森があるのだから大丈夫」と思われるだろう。

 本当にそうなのだろうか?

 森とはなんなのか。みなさんは考えたことがあるだろうか。

 一種の木だけが所狭しと乱立する場所は林と呼べるのだろうか?森と呼べるのだろうか?

 考えたことがありますか?

 形がそろった材木が取れる、という理由だけで杉の木だけが国土に植えられていく。一種だけが一面に植えられた景色は恐怖を感じませんか。

 同じ高さ、同じ太さの木々。ここで中学時代、高校時代を思い出された方も多いだろう。

 画一的な教育、同じ服、同じ年の友達、閉鎖された空間。ある一定期間だけなら、やがてそれは良い思い出になるだろう。しかしずっと閉鎖された場所は澱みを産み、いつしかそれはいじめ、無関心、無秩序をも産んでいく。

 今、森にも同じことが起きているとしか言いようがないのです。

 杉しか植えられていない森は他の動物が住めない。食糧もなく寝床もない。森の動物達は国の無計画さによって浮浪者にされているのだ。

 森を年代の違う木が共存する複層林にし、様々な種類の木を植える。下生えの木や低木を切る時も動物が好む木の実類や草は残しておく。たったこれだけのことを決断するだけなのに!

 地区ごとに一斉に木を伐採すればそれから三十年から四十年はほとんど収穫がない。確かに一時期に大量の収入にはなるかもしれない。しかし来年は? 再来年は? 植林した苗木が台風で一斉に駄目になってしまったら?

 複層林ならばこんなことはあまり心配しなくても良い。大木が小さな苗木を守ってくれるから』

 ここまで一気に書いた麗華はパソコンのキーを叩く手を止めた。

「なんか唐突だよな」

 書いたものを読み返して苦笑する。言いたいことの結論だけ書いてあるから文章が急過ぎる。

 もっと一斉林と複層林の差等をどんな動物が現れるかとかを書きながら説明するべきかもしれない。近隣の村への動物による被害等を調べて書くのはどうだろうか。面白いかもしれない。

「なんか文章から林野庁長官のバカヤローという叫びが感じられるね」

 龍一が紅茶の入ったマグカップを麗華の傍に置きながら言った。

「ちょっとホームページに載せるには過激かな」

「良いんじゃない。ついでに法律でゴルフを規制するように訴えたら?」

 龍一はくすくす笑いながら言う。麗華は事あるごとにゴルフを批判する。

『有益に活用されない森林の伐採、農薬の垂れ流し、金券汚職、不法な会員権の贈与。これほど害ばかり与えるスポーツは国家を挙げて排除するべきだ』

と、そこまで言うか? というくらいボロクソに言う

 龍一は冗談のつもりだったのだが、麗華は真剣な表情でこう答えた。

「ゴルフ場から垣間見える森を見て『自然は心を落ち着かせるね』なんて言っている官僚が長官な限り森の実態はわからないよ」

「なんか偏見持ってない?」

「いえいえ、お馬鹿な女の僻みです」

「なに言ってるんだよ、T大付属高校首席卒業のくせに」

「古いこと持ち出すね」

 麗華は紅茶を一口飲む。

「やっぱり、龍一がいれた紅茶は美味しいね」

「今日のお礼に紅茶くらい何杯でもいれるよ」

「この一杯で充分だよ」

 麗華は苦笑する。

 麗華は林業用の工業機械を製作する会社の会長である。もちろん麗華が興した会社ではない。

 元々沖野家は代々林業を営む家であった。今彼女が住んでいる森には祖父、曾祖父、更に祖父の曾祖父の植えた木が生きているくらいだ。

 それが祖父の代で異変が起きた。戦後、倒壊した家屋を建て直すために大量の材木の需要があったのだ。人手が足りない。それを補うために彼女の祖父、沖野貴代嗣は、嵐のような忙しさの中でこうすればもっと楽なのに、こんな機械があれば捗るという実際の現場の中で感じて考案した機械やアイデアをノートに書きつけていった。実際にそれを商品化しようとしたのだが、引き受けてくれる機械製作所がなかったのだ。

 しかし貴代嗣の息子、麗華の父駆 は貴代嗣の アイデアを自らの手で現実化させていった。

 確かに外国の機械のが性能は良い。だがどうしてもサイズの違いは存在した。多少使いにくくても体に合ったもののほうが良いし、少々仕事は荒くなるが機械を使ったほうが作業時間が短縮できる。職人が腕を競い合う林業から機械能率優先の林業へと時代は移り変りつつあった。沖野工業はその波に旨く乗ったのである。

 現在沖野工業はチェーンソー、立ち木を切り出すフェラバンチャ、切り出した木の枝を取り除き丸太にするプロセッサ、架線集材機、移動可能な集材機タワーヤーダなど、扱っている機械だけで も二百種近い会社となっている。

 息子の作った機械で林業を営む父親。世間から見れば駆は孝行息子かもしれない。しかし駆は林業機械を立案制作することに夢中になり、代々続いてきた林業、森での仕事を疎かにしていた。

 忙しい父は麗華のこと等気にも留めずに母親に任せ切りだった。林業機械の先進国ドイツに半年以上も出張していることもざらだった。

 麗華が四歳のころ、母親の恵美が急な病に倒れた。その後麗華は祖父のいる、代々沖野家が共存している森で暮らしている。この森を祖先は硝子の森と呼んでいる。県では周囲の森も含めて鏡山と呼んでいるが。

 実際麗華が所有するのは鏡山とその隣の紅紫山そして反対隣の市来山の一部と、合わせて何百ヘクタールにも及ぶ。

 しかし彼女自身が手入れしているのは鏡山の約三分の一に当たる硝子の森だけだ。

 硝子の森以外の土地は駆が林業機械で儲けた金で買い取ったのだ。彼はこの森を林業機械の使い方を教える研修地にしようとしていた。

 現在潤った日本は国を挙げて自然保護だなんだと言っている。もう数だけを供給する林業は終わりを告げるだろう。それまでに複層林や間伐、枝打ちの技術を鍛えておけば、いざその能力が求められた時良い商品となる。駆は、いずれ来る林業技術の需要を予見して早速技術者を育てる地盤を用意しようとしていたのだ。

 だが、それは準備段階で終わってしまった。

 沖野工業役員の慰安と研修を兼ねた海外出張で事故が起きたのだ。ドイツの黒い森をセスナ機で横断中にエンジントラブルで墜落。乗客、乗員の全員が死亡。その中に駆も含まれていた。

 社長と役員の大半が不帰の人となった沖野工業は混乱に陥った。

 社長の後継者たる人物が沖野工業にはいないのだ。

 社長の一人娘の麗華はその時二十六歳。林業の知識はあっても会社経営の知識を彼女は持ち合わせていない。

 その時、麗華は林業機械を製作する他の会社からの合併提案を受けるか真剣に悩んだのだが、龍一は断固としてそれに反対した。

 平沢龍一はその時二十二歳。大学の四年生だった。すでに麗華と婚約していた。

 龍一は平沢建設の三男坊である。近い将来彼が婿養子として沖野工業を継ぐと、周囲は思っていた。しかし麗華も龍一もそんな気は全然なかったのである。

 会社経営とか技術者の育成とかそんな難しいことはそれぞれの親に任せて、彼らは硝子の森で仙人のように暮らそうと思っていたのだ。

 しかし三百人以上の社員を放り出す訳にはいかない。それに合併提案をしてきた会社は一斉林支持の利益追求型の会社だ。そんな会社に父が興した沖野工業を任せる訳にはいかない。

 そこで考えに考えた末、麗華を会長、龍一を社長、生存している役員三人を副社長とする変則的な人事をして、会社をそのまま存続させることにしたのだ。

 端から見れば、龍一の見事な沖野工業乗っ取りだ。だが二人の思惑は違う。なるべく早めに役員三人の中から後継者を決め、沖野工業を血統で後継者を決める古代的な会社から能力のある者が社長に就任する実力主義の会社に変換させるつもりだった。龍一が社長に就任したのはどうしても麗華がこの硝子の森から離れないと譲らなかったからだ。

 今日開催された創立記念パーティは新経営陣のお披露目を兼ねていた。がパーティ直前になって副社長に就任する三人が会長の麗華がいないなら自分たちは出席しないと言い出したのだ。

 前社長を崇拝していた彼らにとって血を引いている麗華に対してならいざ知らず、赤の他人でしかも大学出たての龍一に対して敬意を払う気にはなれなかったのだろう。

 今日のパーティは何とか丸く収まったがこれから先重要な決定をしようとする度に麗華がいなければ駄目だと言われてはたまらない。

 結局パーティ終了後三人の新副社長に麗華と龍一の考えを告げた。もしかしたらこのことが派閥争いを産むかもしれない。しかしいずれは起こるかもしれないことだ。それならばいっそ早めに告げることによって三人の考え方を把握するべきだろう。派閥の形成の仕方や地位争いの手腕を見ることによって彼らの能力も見極めることができればしめたものだ。

 なんだか今日は長い一日だった。

 名古屋から帰ってきた麗華と龍一は疲れきっていた。麗華の文章力が必要以上に落ちていてもそれはしょうがないことだろう。

「今、変な音がしなかった?」

「そうですか?」

「ちょっと見てくる」

 麗華はそう言うとさっさと作業着を羽織って懐中電灯のついたヘルメットを手に外に駆け出していった。

 その背中を見送りながら龍一は苦笑した。

「相変わらず逞しいなあ、麗華さんは」

 それが女性に送るのにふさわしい褒め言葉とは思えなかったがきっと麗華は喜ぶだろう。

 そう思ったら苦笑は更に苦いものとなった。

 今この山小屋には麗華と龍一しかいない。外の音はもしかしたら熊かもしれない。後を追うべきだろうか。だが自分は森を歩くことに慣れていない。下手に追いかけて迷子になって麗華の迷惑にはなりたくなかった。龍一は麗華の祖父、貴代嗣の言葉通りそのまま山小屋で待つことにした。

『山では無知は命取りになる。わからないことをわからないと言える勇気を持ちなさい』

 麗華は十分もしないうちに戻ってきた。

 手にはボストンバックを提げていた。

「どうしたんです?」

「あんたの木の下に埋めてあったんだ」

「掘り出しちゃったんですか?」

「これ、龍一が埋めたのかい? だったらごめん。でも、変なものが埋められててあんたの木が枯れたりしたらやだったから・・・・・・」

 龍一は微笑んだ。

「僕だったらもっと上手く埋めますよ。せっかくだから中身確認しておきますか?」

「そうだね」

 麗華はボストンバックを机の上に置いた。

 蓋を開くと中には大量の札束が入っていた。

「・・・・・・ここって竹林じゃないよね」

「麗華さんも古い話題を持ち出しますね・・・・・・あれ?」

 よくよく見るとその札束はどこか変だった。

「これ偽札だ。透かしもないし、ナンバーも少しずれてるし」

 龍一に言われて麗華もその札束を手にした。

「どうしようね、これ。戻してきたほうが良いかな」

 麗華の言葉は厄介ごとには関わりたくないという意味が含まれていた。

「触ったところを布で拭って、元の場所に戻しましょうか」

 この時の二人の気持ちを諺で表すなら、君子危うきに近寄らず。ただでさえ平凡な林業家から離れ始めているのだ。これ以上非凡にはなりたくなかった。

 二人はせっせとタオルで、自分たちが触った場所を拭いた。そして連れ立って森に出かけていった。ボストンバックは龍一が、麗華はショベルを持っている。

 山小屋から山道沿いに約五分歩く。龍一の木はそこにある。正確に言うなら龍一の所有する楡の木だ。硝子の森で唯一、龍一が所有するものである。この木はゲームで龍一が手に入れたものだ。 楡の木には大きな穴が掘ってあった。

 その穴にボストンバックを入れショベルで土を被せる。龍一は土を被せながら、まるで火曜サスペンスの犯人役みたいだな、等とのんびり考えていた。



 次の日は快晴だった。

「はあ、こう言うのってやっぱり警察に連絡するもんだよね」

「なに言ってるんですか」

「警察が来ればこの森は荒らされてしまう。困るんだよね。川の側の笹にやっとウグイスが戻ってきたところなんだ。・・・・・・一時に大勢の人間が山に入るのは悪影響しか与えないんだよ。人間の匂いって動物からすればとてつもない異臭なんだ。動物が離れる森は自然サイクルの円が完成しない不自然な森になっちまうんだ」

 麗華はしばらく考え込んだ。

「この死体、隣の山奥に捨てて来ちまおうか」

 隣の市来山は奥のほうは麗華の所有ではない。

「れ、麗華さん! 変なこと、言わないで下さい! 僕、今すぐに警察に通報しますからね。いいですか? 絶対に死体遺棄なんてしないで下さいよ!」

 龍一は大急ぎで山小屋に戻っていった。

 その背中を見つめながら麗華は呟いた。

「冗談だったのに」

 彼女は自分の冗談が下手なことを自覚していなかった。







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