7コマ目 魔法と能力
長い上にオチが無いだけのつまらん解説回です。
俺の名前は高壁守。
色々あった人だ。
「なあ守。」
「なんだマナ?」
宇露マナ。俺の友達の一人だ。
彼女は所謂性同一性障害らしいのだが、俺はなんとなく後天的に性転換したのではないかと思っている。理由としては雰囲気や女神を名乗る人物が身近にいること…あと、一度男にした時の順応具合などからなんとなく察したといったところか。
その為か、顔が良いだけではなく胸も大きいのでそれらが集める視線に辟易しているらしい。コイツもどことなくシンパシーを感じる人間の一人だ。
「魔法とか能力とかってなんなんだ? どうやったら使えるんだ?」
「……んー、俺は言っても良いんだけど…教えちゃいけないって口止めされててな。」
「ジーナの奴守にまで…じゃあせめて何なのかっていうのは教えてくれ。使い方までは良いから。」
「それくらいならいいか。
魔法って言うのはな―――」
魔法は、使う者が持つ魔力を消費して使用するもの。
才能にもよるが、基本的には行ったイメージに応じたものよりやや劣る結果となって出力される。
5cmの火の玉をイメージして、3cmの火の玉が出来あがる者が居れば、4cm、2cmの火の玉が出来あがる者も居る。
更に才能だけでなく、魔法を使用した際の感情や温度湿度などの条件にもよって効果やイメージの再現度なども変化する。
状況や条件によって変化し、魔力を使用することで行使できる物、それが魔法だ。
ちなみに魔力は誰でも持っているので、使い方さえわかれば誰でも魔法を使うことが出来る。尤も、才能の有無の問題で上手く行使できるとは限らないし、魔力の量も千差万別なので充分に行使できるかどうかは分からないが。
「…能力とはどう違うんだ?」
「そうだな、じゃあ次は能力についてだ。」
能力はイメージ通りに行使できる力で、無限に使用することが出来る。
ただし炎を出したり水を出したり、才能さえあればなんでもできる魔法に比べると使い方が限られている。
炎を出す能力なら能力では炎しか出せないし、水を出す能力なら水しか出せない。基本的に持っている能力は一つだ。だが、例外も居る。
「その例外って?」
「…俺だ。」
俺は二つの能力を持っている。自分で言うのもなんだがかなり珍しいらしい。
障壁と言う物質を出す能力と、触れた物に機能や性質を与える能力。
障壁は俺が勝手につけた名前だが、黒か白の物質で何故か俺の性別に応じて色が変化する。
どういう原理なのか、同一の物質のはずなのに硬さや重さは変更可能。形に関しては好きなもので出すことができ、空中で固定して出すことも可能。はたから見れば浮いているようにしか見えないけど。
あとついでに透明感が増した障壁結晶と呼んでいる更に硬度が増した障壁やその上の絶対不壊の障壁もある。それらをいくらでも、好きなタイミングで出すことが出来るので結構使い勝手の良い能力だ。
機能と性質をつける能力に関してはチートだ。機能や性質を付与する物さえあれば何でもできるという対応力お化けである。欠点と言えば生き物には付与できないことくらいか。
「………付与能力なんなの? チート過ぎない?」
「ああ、俺も引く程チートだな。あれで触れることを条件にして性別が変わる機能をつけるとかってしたら簡単に性転換できるし。」
「……それ、俺にくれない?」
「駄目だ。俺はいつでもその能力を消せるけど、お前は出来ないだろ? もし何かのアクシデントがあって、いろんな人がそれに触れることになったらどうなる?」
大混乱だろう。しかも能力や魔法の事が明るみになりかねない。
そうなれば世の中はますます混乱し、予期せぬ変化が起こってしまうかもしれない。それも、最悪な方向で。
だから俺の能力で創った物は出来るだけ人目に触れないようにし、いつでも証拠が消せるよう手元に残しておきたいのだ。
「そうかー…」
「悪いな、けどただの意地悪で言ってるわけじゃないからそこは理解してくれ。」
「分かってる………じゃあ、たまに男にするとかできない?」
「諦め悪いなお前。」
この後もしつこく食い下がってきたが、却下し続けた。
やっぱり元に戻りたいという意思は捨てきれていないのだろう。