5コマ目 もう一人の自分
遅れました!
俺の名前は高壁守。
色々あった人だ。
『守、明日代わって良い?』
今の声は瑠間。俺のもう一つの人格で、女の人格となっている。
複雑な事情があるのは確かだが、断じてソッチの気があったわけではない。精神女性化確定コンボを食らった結果だ。
(ああ、いいぞ。)
基本的に元々の性格に近い俺が表に出ているのだが、時々こうして交代する。
こういう風に会話できる上に五感も記憶も共有しているとはいえ、ずっと引っ込んでいるのは退屈なのだ。俺も経験があるから分かる。
ちなみに一時的にであれば分身の術を使えば2人同時に活動することが可能だ。異世界の忍者っぽい集団から学んだ本格的な分身の術である。そうすると何故か分身体の性別が本体とは逆になる訳だが。今したら分身体は女になります。
『ありがと。』
(おう。
……あ、そうだ。明日発売の本買って来てくれないか?)
『ああ、あれ? もちろん買ってくるよ。それ私も読みたかったし。』
(…そういうことかい。)
俺も瑠間も元は同じ高壁守という一人の人間だ。なので趣味や嗜好、性格に至るまでほぼ同じである。
読むスピードに関してもそれは変わらない…と言うか、視界が共有されているので全く同じ早さで読むことになる。
『あ、別に本を読みたいから代わりたいって訳じゃなくて単に気分で代わりたかっただけだからね?』
(まあ、そうだよな…俺が読んでも自動的に瑠間も一緒に読むことになる訳だし。)
『そういうこと。じゃ、ついでに明日は女の子で過ごすから。』
(ああ、良いぞ。)
俺は自分の能力で創った物で触れるだけで性別を変えることが出来る物体を持っている。
それを使えばワンタッチで性転換でき、瑠間の本来の性別である女になれると言う訳だ。
(…ん?)
『どうしたの?』
ここで気が付いた。
(そう言えば明日、なんか予定があったような…)
『遊びに行く約束でしょ? それに行きたいから代わってほしかったんだけど…駄目だった?』
(あー、いや、良いんだけどさ…良いんだけど、それ確か太郎と2人でだったような…)
『そうだよ?』
(………え?
え? 何? それに女で行くの? 大丈夫?)
『大丈夫だよ?』
(……もしかしてさ、瑠間…つまりその、それってつまり?)
『何? そのつまりって……あ、もしかして太郎に気があるんじゃないかって?
まさか、そういうのじゃないよ。単に友達として一緒に出掛けたいだけ。』
(だよな? そうだよな? いやマジで本当なんだよな?)
もしその憶測が当たっていれば、俺は太郎とデートすることになってしまう。
マジで勘弁してくれ。BLは俺駄目なんだよ。しかもよりによって太郎とっていうのもよろしくない。
『しつこいな、そもそも女で行くって言うのも冗談だし。』
(だ、だよな。)
マジで安心した。
いや、本当にマジで。助かったとすら思った。
『……一応持っては行くけどね。』
(おぉい!)
『それも冗談だよ。」
(おぉい…)
本当に、心臓に悪い…




