23コマ目 もう一人の自分の視点
私の名前は高壁瑠間。高壁守のもう一つの人格だ。
「おーい、守ー!」
「何?」
「おっと、今日は瑠間だったか。久しぶり…なのか?」
この人は佐藤太郎。私の幼馴染だ。
今性別は障壁で女性に変えているので分かったのだろう。守が好き好んでそうする訳がない。
「久しぶりで合ってるよ。
長い事出て来てなかったから、たまにはと思って。」
「ふーん、一応聞くけど守が一切出してくれなかった訳じゃないんだよな?」
「うん、内側は結構ラクチンだからね。守が疲れてても疲労をシャットアウト出来るし、暑さも寒さも痛さも感じなくて済むから。」
その気になれば疲労だけでなく五感を遮断でき、守が勝手に動いてくれるので日常生活を全部肩代わりさせることも出来る。それが結構私の性に合っていた。
「つまらなくないのか?」
「ううん? 体を動かしたり苦労したりするのが守ってだけで私も生活してるようなものだから。
たまに守に話しかけてるし、代わりたい時はいつでも代われるからそんなに退屈は感じないかな。」
「そういうもんなのか…」
まあ、それでも全く退屈を感じないわけじゃないし、だからこうしてたまに出てくるんだけど。
「例えるなら冷暖房が完備されて暑さも寒さも感じない部屋で守が見てる景色を見てる感じ?
あ、けどお腹も空かないし、守が食べてる物の味を感じることも出来るね。」
「それ聞くとちょっと羨ましいな…結構快適ではあるみたいだな。
良かった、無理して守を表に出し続けてるわけじゃないんだな。」
「そうだよ。その守だってたまには出てこないかってよく訊いてくるんだから。」
「…そこだけ聞くと瑠間が引きこもりみたいだな。」
「引きこもりは流石に…否定しきれない! まずい!
もっと出てくる頻度増やした方が良いかな太郎!?」
「え、いや、それはお前らで決めればいいと思うぞ? 同じ自分なんだろ?」
「客観的な意見が欲しいの!」
「うーん、瑠間が出てきても大体守の演技をするんだろ? それならあんまり変わらないような…
出てくることに意味があるって考えを持ってるなら何日ごとに交代するとか?」
「そこまでは思ってないけど…引きこもり扱いも嫌だし、やっぱり出てきた方が良いのかな…?」
「誰も引きこもり扱いはしないと思うけどな。今まで通りで苦痛を感じてなければ今まで通りで良いんじゃないか?」
「それもそうだね。引っ込んでたから太るって訳じゃないし。」
「……やっぱり、瑠間も体重とか気にするのか?」
「太りすぎるとちょっとねー…まあ、守の日常生活ってちょくちょくハチャメチャになるからその心配はないと思うんだけど。」
「………守のやつ、俺達が知らない内に何かやらかしてるのか?」
「急いでたら塀の上とか跳んで移動してるよ。屋根は前に怒られたからもう跳んでないんだ。」
「なるほど、そうやってエネルギーを消費してるのか…」
「おかげで足もかなり細い。筋肉は元々つきにくい体質だったのかもしれないけど、脂肪ばっかり燃やされてるみたいだよ。」
「…瑠間って女子なんだよな。そうそう男に足とか見せちゃっていいのか?」
「え? だって太郎だし。」
「…俺だって男なんだが。女子としての羞恥心はどうなんだ?」
「…薄い可能性はあるかな。元々は守と同じだったわけだし、男性的な意識が半端に残ってるのかも。流石に男の前で脱げって言われたら嫌だけど。」
「男の姿でもか?」
「今よりはマシだけど、ちょっとね…学校で専用の更衣室が用意されてたのは、私にとってはありがたかったかな。プールとかは行ってないからちょっと。最悪障壁で隠すかな?」
「苦労してんな…」
「トイレだって家か共用トイレだしね…もしくは個室。男子トイレにはまともに入れないよ。主に顔のせいでだけど。」
「……苦労してんな。」




