2コマ目 ナンパへの見解
俺の名前は高壁守。
色々あって異世界を旅したり顔面TSしたり世界を救ったりした男だ。
「ねえ守。」
「なんだ?」
コイツは吉野光。
佐藤太郎と同じ、親友の一人で幼馴染でもある同い年の女子だ。小学校までは俺、太郎、光の3人でよく遊んでいた物だ。中学校以降は別の友達も加わったのだが、それはまた別の話。
幼馴染と言ってもお互いに特別な感情は持っていない。男女間の友情は成り立たないと聞くが、光の存在によってその説は否定され続けている。俺の中では。
「この前二年の男子に告白されたんだけど、どうすれば良いと思う?」
「どう、か…」
光は顔がそこそこ良くて、性格面でも問題が無いことから男子にまあまあ人気がある。
あくまで同級生に限った話ではあるが、女子に好意を持っている男子のうち数人はちょっと気になってるとかっていう話を聞いたことがある。具体的に何人かは知らないし他のクラスではどうか知らんけど。
「お前が思った通りに答えてやれば良いんじゃないか? 付き合えないなら付き合えないって言えば良いし、ちょっと興味があるならお友達からって感じでも。」
「……」
「なんで無言なんだよ。」
「いえ…なんかこう、いつもナンパを嫌ってる守がそういうアドバイスするのってなんか…」
「それとこれとは違うだろ。」
…二年前、顔だけ女にされて以降俺もよくナンパされていた。
同性からのナンパと言う時点で嫌悪感が大きい上に、俺を女と見て下心丸出しですり寄ってくるので自分が男であるというある種のアイデンティティのようなものを否定されたような感覚によって俺はナンパをする男が大嫌いになっていたのだ。
「それに、今は昔ほどナンパが嫌いって訳でもないし。」
「え? ナンパされるの好きになったの?」
「ちげーよ、今でも嫌いだ。
慣れたっていうか、時間が経って理解が及んだっていうか…そんな感じだ。」
「へー、丸くなったわねー…」
そういった男達の願望である、彼女が欲しいという願い。これに対する理解が及んだのが一番大きかった。
俺は彼女が欲しいと思ったことは無い…というと流石に過言だが、そういった欲と言うか、そう言うものに対する執着は薄かった。
だから当時は理解できなかったし、嫌悪したのだろう。
「……そう言えば、さっきの告白の返事って保留してるのか?」
「断ったけど?」
「じゃあなんで訊いたんだよ!」
前言撤回。性格にやや難あり。