15コマ目 差した影
俺の名前は高壁守。
「あれ? マナか?」
「守? なんか最近よく会うな。」
なんか最近マナと会うことが多い…気がする。
特に待ち合わせしてるとかそう言う訳ではないのだが、ちょっとした入用でショッピングモールに立ち寄ることが増えたからだろうか。そう言えばマナと会うのは八割がたワオンモールだったような気がする。あとはバイト先だというカフェウェストくらいか。
「買い物か? 重いのがあったら持って行くぞ?」
「いや、俺も守程じゃないけど力はあるからな。大丈夫だ。」
「そうなのか?」
そう言われても、正直見た目がロリっ子なので全く説得力が無い。
銀髪も相まってか、むしろ儚げな印象を受ける。口を開けば男勝りだが。
「あー? もしかして守、彼女に隠れて秘密の逢引?」
わざとらしいうざったい口調で聞きなれた声が近くからした。
「…光、逢引っていつの時代の人だよ。」
「江戸時代とかじゃない?
それより、その可愛い子は誰? 本当に彼女?」
「違う、そもそも俺には津瑠がいるだろ。
コイツはマナ。俺の友達だ。」
「友達…まさか異世界関係の?」
「そう見えるだろ? クォーターだけど日本人らしいぞ。」
「そうなんだ…私は吉野光。よろしく、マナちゃん。」
「……光、マナは一歳下だ。」
「え!? ご、ゴメン、てっきり中学生とかかと…」
「…小学生に間違えられたこともあるし、別にいい…」
マナのテンションがダダ下がりだ。ここは俺が何とかしないと…
「まあまあまあ! せっかく会ったんだからそこらで何か食べながら話でもしないか? 良ければマナの分は奢るからさ。」
「あら、なら私も奢ってくれて良いんじゃない?」
「駄目だ。」
むしろ奢るべきなのは光だと思うのだが。
と言う訳でフードコートに移動して三人で席に着く。
「改めて見ると本当に可愛いわね…一部を除いて。」
「一部? もしかして口か?」
「確かに男っぽい口調はミスマッチだけど…その胸よ。一体何カップあるの?」
「ぅえ!? か、カップ…?」
「光、セクハラは駄目だぞ。マナが困ってるじゃないか。」
聞いてて良いのかなとはちょっとだけ思ったが、マナには何かときつそうな質問だったので助け舟を出しておく。
「これくらいガールズトークの範疇じゃない。
アンタだってその一人に見られてるんだろうし、ガンガン混ざっても良いのよ? 気になってるんでしょ?」
「興味ないね。
少なくとも往来で出来る話じゃないしな。」
「守ぅ…!」
「…なんかこの子、守かっこいいみたいな目で見てるけど。この子に恋愛感情は無いの?」
「無いぞ、俺彼女だっているし。」
答えたのはキラキラだった目を元に戻したマナだった。そういやコイツ彼女いたっけな。
「ああそうなん…彼女!? 嘘ぉ!? 彼女!? 彼氏じゃなくて!?」
「マナの心は男なんだ。だから必然的に付き合う相手も女に限定される。精神的にはな。
ちなみにちょっと前にコイツの彼女ともう一人がマナを巡って修羅場ってたぞ。」
「修羅場!? 2人も彼女候補が居たの!?」
「なんなら俺の親戚も2人くらい落とされた。」
「あっけらかんと何言ってるの!? 複雑じゃないの!?」
「あんまり。
マナの友達を見てるとたまに誰が好意を持ってて誰が友達なのか分からなくなるな。」
「守、俺の交友関係をそんな風に見てたのか?」
「だってお前男女問わずじゃん…受け身だけど。」
「俺自身は問うてるけどな!」
「最初守に似てると思ってたけど、全然だったわ…」
「まあ俺はその手の好意は津瑠以外から向けられないからな。」
「そう? 案外ギーナも…あ、いえ、なんでもない。」
「……」
ふと、心に影が差す。
「ところで、席に着いたはいいけどなんで誰も頼みに行かないんだ? 俺頼みに行きたいんだけど。」
けど、それを振り払って話題を切り替える。
「それなら私、マナちゃんと頼んでくるわ! 女の子同士、色々話したいし。」
「え? 俺?
女の子同士って言うけど、心は男だから守と同じみたいなもんだぞ?」
「同じ言うな。まあ分かった、行ってこい。留守番してるから。」
「あ、守。一応付いて来てくれても良いんだぞ?」
「駄目。マナちゃんは私と一緒に頼んでくるの!」
「Oh…聞く耳持たず。」
行列に消えていく2人を見ながら感傷に浸り、呟いた。
「あいつら…今、元気にしてるのかな。」
二年前、旅をした異世界に思いを馳せる。
考えても仕方が無いことだとは分かっていたが、それでも2人が戻ってくるまで考えてしまうのだった。




