13コマ目 演技力
近付いて来るネタ切れの気配とそれに対してあまりある引き出しの多さ。
俺の名前は高壁守。色々あった人だ。
「守って演技上手いよな。役者でも目指してるのか?」
コイツは宗司。女装が似合う友達だ。
「いや、目指してないぞ。」
俺は自分の演技力に関しては自信がある。
ただ根拠のない自己陶酔ではなく、しっかりとした実績に基づいたものだ。演劇部に混じって劇をした時も好評だったし、それを観てた友達からも特に指摘は無かったのでなかなかのものだろう。
アイツら相手に粗出してたら絶対ネタにされてる。数年間の付き合いがそう言ってるので間違いない。
「そうなのか。顔も良いし良い役者になれそうなんだけどな。」
…男優だったらちょっとやってみたいけどな。よくヒロインやってる男の人とかって感じになりそうだ。顔のせいで。
「演技力は成り行きで身に着いただけだ。」
「けど、売り出してみたらそれなりにヒットするんじゃないか?」
「プロを舐めるな。俺はあんなに上手くない。」
ただ、それなりに上手いというだけで流石にプロの領域に達してはいないことは自覚している。
俺の演技であそこまで人を惹き付けることはできないだろうからな…
「俺はちょっと必要があったから偽っただけで、本気でプロを目指して訓練した人には敵わないさ。
しかも、その中でテレビや映画に出てるのはほんの一握り…俺なんてオーディションで落ちるのが関の山だ。」
「逆に独学でそこまで出来る時点で結構ポテンシャルあると思うけどな…磨く気は無いのか?」
「無い。っていうか仮に俳優になったらマズいことが起きるし。」
「マズいこと?」
「……俺不老になってるから、いくら経っても全く容姿が変わらないんだ…」
「あぁ…」
俳優となれば世間に顔が知れ、動向をくまなく調べられるだろう。そうしたら絶対不老がバレる。
それに、プライベートという盾があるにしても過去を調査されればこれまでの人外エピソードが流出する。それだけは避けたい。
「なるほどな、守は有名になっちゃいけないのか。」
「そうなるな。街角でひっそりと生き続ける一人外として過ごしていくことにする。」
「…それでも不老は問題だけどな。」
「それな。」




