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「はい、次の方こちらの受付までどうぞー」
「225番でお待ちの茂さんこちらの受付までどうぞー」
見たところ銀行の受付のような場所にいつの間にか来ていた。関東初の猛暑日の中残業が終わって家で寝たところまでは覚えているのだが起きたら変な書類とともにこんな場所にいた。そして、さっきから呼ばれている次の方がどうやら自分だったらしいので早急に向かわないと。
「すいません、何度も呼ばれたのに気づけなくて」
「いえいえ、お気になさらず。こちらのご利用は初回という事で間違いないでしょうか?」
「はい。そうですけど、、、」
不安げな表情を見せたので受付のお姉さんが心配したのか説明をしてくれた。
「ここは、天界第七支部転生受付場です。茂さんは6月30日に猛暑日に関わらず水分も取らないまま窓を閉めて寝てしまい新たな世界への転生が決まりました」
「あ、そうなんですね、、、」
数年前に両親は病死してしまっているし大学の友達とも最近は連絡はとれていなかったしそこまで未練ないけど人って案外あっさり死ぬもんだなと物思いにふけっていると話が進んでいた。
「ですので茂さんは、これから魔法のある世界ラグレアに転生してもらいます。魔物などもいますが転生して一年以内に死んでしまっても未適合世界への転生として別の世界へ行けるので安心してください。ここまでに何か質問はございますか?」
「はい、もしかして転生特典で魔法を与えられたりしますか?」
「与えられますよ!よくご存じですね!」
先ほどまでの物思いは消え内心でめちゃくちゃ喜んでいる茂であった。
(きたぁぁぁ!!!これ読もうで読んでた転生チーレムの始まりじゃん。書籍化されたのばっか読んでる俺でも知ってる王道パターンじゃん。昨日までの世界に未練なんてないじゃn!!!)
後半の語尾が怪しくなるほど喜び息巻いてる茂をよそに受付の人は作業を進め転生の準備が終わっていた。そして、茂は転生チーレムがうれしすぎて話も聞かず転生するのであった。
~ここから茂の転生チート使いまくりハーレムが始まる!!!!~
はずでした。姿そのまま転生し黒髪黒目が世界的に希少でちやほやされながらギルドに到達するまではよかったんです。
そこからの茂は踏んだり蹴ったりであった。ギルドで魔法適性検査をするも魔法の出し方が分からず最低ランク。膂力を図るテストでは大学で測った結果とほぼ変わらず。挙句の果てには名前が「シゲール」というダサい名前になっていた。
しかし、茂は諦めずに最低ランクから成り上がる下克上ものだと信じて受けれるクエストを受けまくるも体が筋肉質になっただけであった。最初ちやほやされていたはずのギルドでは「木こりのシゲール」と呼ばれていた
「おかしいだろ!!!転生チーレムだと思ったら、ただの木こり転生かよ!!辺境の地に家買って木を倒してても金がたまるだけだし、、、、」
ひとしきり家で叫び容姿で身バレを防ぐためにフードをかぶり家を出る茂であった。向かった先は奴隷小屋であった。到着すると、明らかに悪徳そうで太った親父に連れられ様々な奴隷を見せられる。
「我が、ピッグ奴隷小屋に来ていただきありがとうございます。私どもが売っている奴隷はどれも国から認可が下りているものですので安心してお選びくださいませ。」
いろいろな奴隷を見ていた茂の目に留まる奴隷がいた。その奴隷は赤目黒髪のエルフで茂は自分以外の黒髪を見るのが初めてでもしかしたら同じ転生者じゃないかと疑う。当たり前だが転生当初だったらそんなこじつけはしなかったのだが木こりとバカにされ孤独でおかしくなった茂は気づけないでいた。
「このエルフを買わせていただきます。」
帰り路の途中茂は考え事をしている。
買われると知った奴隷は嫌がったり暴れたり助けをこうって聞いたのにこの奴隷は何も言わないし何も感じてい無さそうなぜだろう。
あ、そうか!
きっと転生して間もなくして捕らえられてまだよくわかってないんだ!!!
気が狂いすぎている茂であった。
ほどなくして家につくも完全に声をかけるタイミングを失ってしまい帰り道の途中、終始無言だったのが尾を引いて謎の緊張感が家に走っていた。
だが、茂はエルフの事を完全に転生者だと勘違いしているので頑張って声をかける
「もしかして、君も転生者?」
瞬間、茂の脳裏には前世の記憶が走った。
答えが分かったと思い発言したら間違えてしまった空気感。満点だと思っていたテストが悪い点数だった時の絶望感。形容しがたいこの感じだが確実にエルフから感じられる様子にはぴったりであった。
そんな奴隷エルフから一言発せられた
「・・・・・は?」
はい終わり僕の物語はここで終わり
もう嫌だこのまま一生木こりだよ転生したら木こりだった件はここで終了
茂さんの次回作にご期待ください




