プロローグ
一応BLものとして考えた怪物×青年もののお話の最初の部分です。
続きは書くか分かりません。
ある日ふと夜中に目が覚めた男は、気が付くと薄暗い洞窟のようなところを歩いていた。
奥に進んでいくと松明の光が見えてきて、それを手に取り地下に続く階段をゆっくりと降りていく。明らかに何十年も放置されている様子で足下は土埃にまみれている。
男は寝た時のままの姿で足にも何も履いておらず、怪我をしないよう注意しつつ進んでいく。不思議と恐怖はなくただ奥に自分を呼ぶ「何か」があるとだけ漠然と感じていて、半ば本能のみで歩みを進めた。
進むにつれてここが牢であることが分かる。
所々に細い通路がありその奥には錆びた鉄格子に錆びた南京錠や鎖が巻き付けてあるのだが中には何も無い。
既に風化してしまったのか元から何も入っていなかったのかは分からないが、気分の良い場所でないのは明らかだった。
どれだけ進んだだろうか、ようやく開けた場所に出た。
恐らくここが最奥だろう。今までで1番大きな鉄格子が異様な威圧感をもってそこにあった。
錆びて老朽化したものばかりだったがそれだけは違い、まるで毎日手入れがされているかのように綺麗だった。
牢の扉にはこれまでとは違い一枚の札が貼ってあるのみだった。手を伸ばし軽く指先が触れると、音も立てずに灰になって崩れ去る。
明らかに「まずい」ことになっているとぼんやりとした頭で理解はしていたがこの時男にまともな思考力は無く、そのまま軽く扉を押した。
キィ⋯と軽く音を立てながら扉が開く。入口で歩みを止め中の様子を探る。
松明に照らされた鉄格子が黒く光り同時にその奥に「何か」がいるのを視認した時、数本の腕に掴まれ中に引きずり込まれた。
それは両肩からそれぞれ2本の腕を生やした巨大な怪物だった。
墨のように黒い肌は漆塗りの箱のように滑らかだが不思議と光沢は無い。
顔には布が巻かれており目元は見えないがその下から覗く口は頬から裂けていて、鋭い牙が剥き出しになっている。
怪物は男を見下ろし口を開くと、蛇のように長く肉厚な舌をずるりと出す。そのまま掴んでいた男の腕を引き寄せ。何を思ったのか、彼の指をそっと優しく舐めた。
その瞬間ようやく理性や恐怖を取り戻した男は叫び声を上げガバリと起き上がった。
凄まじい動悸と乱れた呼吸を整えながら、自分が自宅のベッドの上にいることを確認して安堵する。
ひどい悪夢だったとため息をひとつ付き、仕事へ行く支度をしようとベッドから降りた。
すると足元に気持ち悪い違和感を感じる。視線を下げると何故か汚れている両足。サッと血の気が引いて思わず顔を手で覆うと、今度は慣れない金属の感触。
恐る恐る「夢」の中で怪物に舐められた手を見ると、薬指に見たことも無いような指輪が嵌められてあることに気付いた。
急いで引き抜こうとしたがどう頑張っても取れないそれは、焦る男を嘲笑うかのように朝日を反射してただ黒く美しく光っているだけだった。
この後男が毎晩怪物の夢を見て憔悴していったり幼馴染みの美人巨乳世話焼きお姉さんが出てきたり、何だかんだ自力で持ち直った上に怪物と仲良くなっていったりそれでも幼馴染みが心配なお姉さんが逆に精神やられたり色々と考えていたんですが書く気力が無かったので一先ずはここまでです。