表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリアナお嬢様の命令よ!~転生伯爵令嬢は自分に素直に生きると誓いました~  作者: 如月 燐夜
一部四章 少女子爵領地経営編
87/232

私の自慢の弟

本日二度目の更新です!


今話にて第一部完!!となります!


私が伯爵となり数日が経過した。


あの後ナーナに泊まれと言われ二日ほど王城で寝泊まりしたが最高でした…!


デレデレナーナ…恐るべし…!


何度かレオンハルト殿下がナーナの部屋を訪ねてきたが、ナーナに追い返されあまり話せなかった。


まぁ、レオンハルト殿下も多忙の身。


ナーナはそれを知ってて追い返したのだろう。


決して私を独り占めしようとかそんな風に思ってるわけないじゃない筈。


うん…そう思いたい。


その後じいさん家によって双子の妹を愛でてから一泊し、センティス領へと戻った。


旧アブロー男爵領の代官にはランゼを送り、新たに騎士に任命したヴェイルも向かわせた。



それから一週間後の8月15日、リビーとレインが実家に帰って、ふとマシューの事を思い出した私は旧ガーズ男爵領ガルガントを訪れることにした。


同行者はジョセフとジェシカ、久々に三人でまったりと旅程をこなした。


兵士の鍛練はホセが担当してくれているのでジョセフも終始にこやかだ。



私は愛馬スタローンに揺られながらも喉の渇きを訴える。


「ジェシカー、喉乾いた~!」


「それでは、この辺で一度休憩を挟みますか。ジョセフさん、馬の面倒をお願いしても?」


「あいよー、ついでにその辺で兎でも狩ってくるかね。」


「お願いします」


ジョセフはご機嫌で頼まれてもいない仕事を自分で増やす有り様である。


まぁ、昼食になるのだから良いのだけど。



ジョセフの狩ってきた兎肉を食べ終え、再び馬上の人となり短い休憩を挟みながら六時間。


やっと旧ガーズ男爵領、領都ガルガントへと辿り着いた。


尚、マシューには何も伝えていない。



「止まれ!何者だ!?」



若い門番に止められる。

が、ジョセフが手を上げながら声を掛けた。


「おいおい、俺の顔を忘れちまったか?久しぶりだなポール!」


顔見知りらしく気さくに声を掛けるジョセフ。


すると強張っていた門番の若者の表情が緩んだ。


「こ、これはこれは騎士ジョセフ様!ということはセンティス伯爵様…?」


私とジョセフの間を右往左往する門番のポール君。


抜き打ちで来たとはいえ、先触れくらい出すべきだったかな?


「おうよ、御苦労さん。ちょいと通らせてもらうぜ?」


「はっ!ご無礼お許し下さい!どうぞ中へ!」


慇懃に礼をするポール君の脇をすり抜け、私たちはガルガントの中へと馬を進めた。



中に入ると以前来た時の数倍は人の往来が増え、活気付いている。


マシュー、やるじゃん!


「おー、久々に来たけど大分賑わってるね!」


「二年前のガルガントとは比べ物にならないくらい栄えてやすねぇ。こいつぁ驚いた。」


「これもお嬢様の指示とマシューぼっちゃまの努力があったからでしょう。さぁ、代官の館はあの大きな屋敷です。行きましょう。」


私たちは和気あいあいと話しながらも代官屋敷へと向かった。




「あら、ここ計算間違ってるわよ?まぁ、それ以外は完璧ね。頑張ってるみたいね?マシューのくせにやるじゃない!」


「うぉ?!え?え?ーー姉さん?どうしてここに…?!」


「ふっふっふ、抜き打ち調査よ。あんたが代官になって早一年、きちんとこなしてるかの確認にね。よく出来ているみたいね。」


「もう、来るなら報告してよ!歓待とか食事の用意もしなくちゃいけないんだから!」


「良いのよ。ありのままのマシューの生活が気になったんだから。有るもので平気。少し休憩にしなさい!」


「うぅーん、分かったよ。イレーネ、姉さん達に紅茶の用意ーーはもう出来てるみたいだね。うん、イレーネも休んで?」


「畏まりました、ぼっちゃま。」


「そのぼっちゃまってのは止めてって言ってるのに…まぁ、良いや。」



屋敷に辿り着いた私はそのままズカズカと押し入り、途中で見つけた執事のチャールズに挨拶もそこそこにマシューの元へ案内させた。



ノックせず、そのまま中へ入るとマシューの仕事振りを拝見。


そしてマシューにネタバラシと言った流れだ。


マシューの驚きっぷりも見れたし、私は大満足だ。


久々に口にするイレーネの淹れた紅茶を飲みながら、他愛ない話をしてその日はそのまま屋敷に泊まる事にした。


尚、大急ぎで作られた食事は豪勢なもので美味しかった。



その夜、屋敷の庭でジョセフと日課の鍛練をしていると訓練着に着替えたマシューが此方にやって来る。


「姉さん稽古付けてよ!」


「あら、マシューの癖に私に挑もうなんて百年早いわよ?でもその蛮勇を称えて一本だけ相手してあげるわ」


「ありがとう」


「それじゃあっしが審判を」


「必要ないよ、すぐ終わるから。ジョセフは休んでて。」


「了解しやした」


「先手は譲るわ。来なさい、マシュー!」


私はマシューを挑発する様に木剣を地面に突き刺し、指をクイクイッと動かした。


「じゃあ…行くよ!うおぉぉぉ!」


馬鹿正直に真っ正面から突っ込んでくるマシュー。


確か剣の師は…ジョセフの同僚の騎士だっけ?後で叱っておこう。


猪の様に突っ込むのは何の学もない村人くらいだろう。


剣に頼ってちゃまだまだ三流ね。


私は突進をひらりと避け、マシューの木剣を蹴りで弾くと手を掴みマシューを一本背負いする。


「痛って〜!!」


見事に頭から落下するマシュー。


だが、地面は土魔法を使って柔らかくしてある。


怪我はないと思うが一応治癒魔法も掛けた。



「まだまだ未熟ね。ジョセフ、一週間でマシューを鍛え直して?」


「承知でさぁ。」


「あはは、姉さんには敵わないなぁ。僕、全力だったのに…自信無くすよ…」



「踏み込みが甘い。真っ直ぐ突っ込みすぎ、猪じゃないんだからきちんと状況を確認しなさい。それと剣じゃなくて相手を見据えること。まだまだあるわよ?とりあえず、その汗と土を流してきなさい。」


「うぅ…手厳しい…。でも僕、頑張るよ!」


マシューの不意の笑顔。


私は不覚にもドキッとしてしまった。


これが主人公の力か…恐るべし…!


この笑顔は反則だ。


「あぁーもう!マシューの癖に!早く行け!ジョセフ、体が冷えたから温め直すわよ!付き合って!」


「お嬢は人使いの荒いこって…良いでしょう、とことん付き合いやすぜ?」



周囲が寝静まる時間まで私とジョセフは稽古を続け、息も絶え絶えになりながら風呂に入って用意された部屋へと向かった。



深夜、読書をしていると私の部屋に来訪者が現れる。


「誰?」


「姉さん、マシューだよ。寝れなくて…一緒に寝ても良い?」



私は溜め息を吐く。

この弟は幾つになっても甘えん坊だ。


将来が心配である。


「しょうがないわね、入りなさい。」


「ありがとう。また本を読んでたの?」


「そうよ。知識は立派な財産だからね。どれだけ持ってても困らないわ。貴方も勉強は続けてる?」


「うん、姉さんに言われた通りしっかりこなしてるよ。剣と弓の方はいまいちだけど…」


「まぁ、はっきり言って才能がないからね。仕方ないわ。」


今は…ね。


「酷いなぁ…」


「フフフ」


「あはははは」


堪えきれなくなり私が笑うとマシューも一緒に笑った。


少し臆病で引っ込み思案だけど、優しくて素直な私の自慢の弟。


それがマシュー・ガーズ・アルデンである。




それから一週間後、私はマルセムへと戻ることになった。


この一週間でジョセフに稽古を付けられたマシューだが、元々鶏の生み立ての玉子だったのが、少しだけ罅が入った程度の成長しか見せずジョセフも頭を抱えていた。


本当にこれ(マシュー)が原作にて14才で剣聖と引き分ける男なのか?凄く疑問に思った。


けど13才になると覚醒するのだ。それはもう私なんかが敵わないくらいのチートっぷりである。


故ガーズ男爵は王都にて【剛鬼】と呼ばれるほど武名を馳せていたのだが。


同じ血が本当に流れているのか甚だ疑問である。



「それじゃあ行くわね?後でレオパルドを此方に送るから覚悟しておきなさい!」


「うへー…怖い人はやだよぉ」


今もブルブル震えて不平を訴える我が弟。

情けない…


確かにレオパルドは見た目は怖いが、一度心を開けば優しい人だ。


問題はマシューがレオパルドの心の扉を開けるかだが、この様子だと無理そうだな…


強く生きろ、マシューよ。


「文句言わない。チャールズ、イレーネ頼んだわよ?」


「畏まりましたお嬢様。」


「任せてください!ジェシカ姉様、またお会いしましょう。」


「えぇ、イレーネも元気でね?」


あれ?ジェシカとイレーネが手を取り合いながら潤んだ瞳で見つめ合っている?


これは…一週間で何かあったな…?



「ジェシカ…その、残りたかったら残っても…」


「いえ、私の居場所はお嬢様の隣と決めております。それにイレーネは優秀なメイドであり、ぼっちゃまを託すに値する者です。あまり長居しては別れも辛くなります。行きましょう!」


「え?あ…はい」


私はジェシカに従った。


この人にだけはなぜか逆らえない…なぜだろう?


「おめぇら達者でな!休みの時はいつでも領都へ遊びに来い!酒くらい奢るぞ?」


「「「うおぉぉ!!ジョセフの兄貴ィ~!!」」」


ジョセフもジョセフで兵士達と打ち解けたのか、そのハートをがっちりと鷲掴みにしたようである。


中にはガチ泣きの兵士も現れる始末である。


すごいなぁ…



「姉さん!また…会えるよね?」


「当たり前でしょ!来年の1月にはアルデンの実家に帰るし、会いたきゃあんたから来れば良いじゃない!泣きべそ掻くんじゃない!男でしょ!」


まったく…マシューってば、まだ泣き癖が直らない様だ。


『強くなりなさい。姉さんはマシューのこと、ちゃんと見守ってあげるから。』


私は振り返らず心の中でそう呟いた。


センティス領都マルセムはまだ遠い。


今回はオリヴィエの紹介をします。


聖アムスティア学園生徒名簿


オリヴィエ・ストロベリー・ジェネシス 14才


ジェネシス公爵家の一人娘で主人公の隣の席に座る不思議な少女。


常に眠気に襲われているのか、授業中は常に寝ており教師も半ば彼女に授業を聞かせるのは困難だと諦めている。


学園生活の間ずっと寝ているのかと思われるがそれは違う。


時々目を覚まし、早弁をしたり、ドーナツを食べたりと何かしらを口に入れている。


片言しか話さないが、公式の場では凛とした姿を見せておりその姿はまるで宗教画に描かれた天使の様な錯覚をさせるほどである。


時々主人公に、何気ない言葉を振ってはその時悩んでいる元の解消の切っ掛けとなったりする存在。


何を考えているのか分からないが生徒会に顔を出してはふらっと居なくなる少女である。

ーー生徒会ルートのみ


その実力は未知数…?!


今日も今日とてゆらゆらと落ちる羽の様に、彼女は我が道を行く。


「マシュ、何悩んでる?ぼく、相談に乗るよ…え?ぼくの事知りたいの?じゃあどーなちゅ買って!」


所属 帰宅部


好きなもの 父 ドーナツ

嫌いなもの 野菜 牛乳



はい、ということで第一部幼少期編、これにて完結です。


次々回更新より皆様待望?の第二部波乱の学園編へと移ります。


本日0時に主要キャラ紹介を投稿しますので是非御覧下さい!


その中でメインヒロイン最後の一人が明らかに?!


ではまた後程…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ