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リリアナお嬢様の命令よ!~転生伯爵令嬢は自分に素直に生きると誓いました~  作者: 如月 燐夜
一部四章 少女子爵領地経営編
81/232

少女子爵と王女殿下

休日おしまい~

お待たせしました~

ナナリア・アムスティア…王国の第三王女で我が儘姫として有名である。


厄介ではあるが友好を結ぶならば早い内にしておいた方が良いと思いこの場に呼んだのだけど早計だったかな?


よく見たら周りのイケメン達は首輪を付けている…奴隷か?


それと剣を穿いた軽装姿の近衛らしき女性が三人、ジョセフ、ホセと睨み合いしている。


ジョージ流伝承者のジョセフが負けるとは思えないからこっちは放っておこう。


「私がリリアナ・アルデン・センティスです。殿下、招待に応じていただき有り難う御座います。ですが、本日は淑女の集いですので男性の連れ込みはご遠慮下さい」


「あら、貴女がセンティス卿?この私を呼びつけておいてその物言いは何かしら?私が誰を連れて来ようが勝手じゃない。」


カッチーン…!このガキ、嘗め腐りおって…!


くぅぅー…我慢我慢、こんなんでも陛下の大事な娘だ。


それにこんな態度を取る理由を私は知っているじゃないか。


少しつついてみるか。


「左様ですか…わかりました…では、誠に残念ですが、殿下の茶会への参加資格は剥奪させていただきます。それと此方の言い分も聞かず、遅参をしたのに関わらず傲岸不遜な態度や物言いも陛下に書面にて報告させていただきます。それではーー」



「ちょちょちょッ!ちょっと待ってよ、リリ…センティス卿!何故私が帰らなければいけないの!それが態々出向いた者への態度なの?」



「ええ、そうです。此方の言葉に耳を傾けず自らの要件を通そうとする意地の悪さ、もうそれだけで殿下の底が知れました。私は殿下に忠誠を誓っているのではなく、陛下に誓っているのです。ですのでお帰り下さい。謝意の品は近々贈らせて戴きますので。皆お待たせ。何の話をしよっか?」



敢えて冷たくあしらう。これでナナリア殿下はあの行動をーー



「ーーぐすッ…ひぐぅ…うえぇぇぇん!」


え?泣いた?嘘…嘘…?!


原作ならここで素直に謝るはずなのに…?!


私は思い通りに事が進まず混乱していた。



「今のは少し酷すぎませんか?遅れて来て此方の言い分も聞かなかったのは少し腹が立ちましたが、それにしても言い過ぎです。」


うっ…レインの言葉が胸に刺さる。


「うんうん。いつもクールなリリっちらしくないにゃあ?リリっちが慌てるのを見るのも面白いけどにゃ!にゃはは!」


リサーナちゃんは私を指差し笑ってる。



「リリ、めっ!ナナにあやまる。」


リビー…私が悪かったのだろうか…

うぅ…分かったよ、きちんと謝ろう。



「あの…殿下、少し言い過ぎました…申し訳ございません…!」


「ひっく…ひっく…い、いよ…?許す」


すんなり許された…?


え、どゆこと?



「私も…ひっく…勝手なこと…したからぁー!ごめんなさいー!」


泣きながら謝れても…でも許してくれるなら好都合か。


まだナナリア殿下はまだ精々が六才、良いことと悪いことの差別すら曖昧だろう。


原作では私の二個下でマシューの後輩ポジションにキャラクターである。


王族としての教育を受けていても前世ではやっと小学生といった年齢だ。私も大人げなかったな…。


私はナナリア殿下を抱き締める。

そして誰にも聞こえない様にそっと耳元で囁く。


「殿下、私も大人げありませんでした。これからは仲良くさせていただけませんか?」


しばらく抱きしめているとナナリアの涙は止まり漸く落ち着きを取り戻す。


私が手を離すとナナリアは一度笑顔を見せすぐに顔を伏せる。

そして躊躇いがちにこう言った。


「うん…!あのね、一つだけお願いがあるの…!リリお姉ちゃんって呼んでもいい?」



そう、このナナリアは本当は自分を見て貰いたいだけで、少し目立ちたがり屋さんなだけだ。


根は素直で良い子だし、きちんと言い聞かせれば此方の話を聞いてくれる物分かりの良い子。


だけど、王族としての矜持プライドがそれを簡単に許してくれないのだ。



「勿論ですよ。でも今日だけは私の言葉に耳を傾けてくれますか?」


「ありがとう!分かった、リリお姉ちゃんの言うこと聞く!」


さっきまでの虚勢は何処へやら…今では従順な普通の子供である。


原作でのナナリアは私ことリリアナと祖母姉妹の血縁で親戚関係があり、10才の時まではまるで姉妹の様に仲良しだった。


マシューの事も兄と慕い、一緒に遊んでいたのだがナナリアが婚約をすると共に縁が離れていく。


だけどナナリアが13才の夏、婚約者であるガルム帝国より南にある何とかって公国の皇子に婚約破棄されアムスティアに戻ってくる。


…というシナリオだったはず。


記憶が曖昧なのできちんと思い出せないのが珠に瑕だ。



そういえばゲームでは王道のツンデレキャラだったよね。


気付いたら生徒会に所属しててリリアナとのイベントがあってーー


おっと、いけない!ナナリアの相手をしなくちゃ。



「殿下はとてもお利口さんですね。さぁ、お菓子を沢山用意しているのでテーブルに行きましょう?」



「お菓子?!行くー!」


これじゃツンデレもまだまだ先だな。


私は心の中で溜め息を吐いた。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


ナナリアの機嫌が直ったところでイケメン達はジョセフ達の手により退場し、訓練場へと連れて行かれた。


ドンマイ、イケメンさん達…!ムキムキになって帰ってこない様祈ってるよ…


近衛の人達も使用人館に入って貰いジョセフに対応を任せた。


現在、庭でのパーティを終え屋敷に入り、令嬢達は各々休んでいる。


ユグドラは相変わらず隅っこで腕を組み、私の貸し与えているドレスを着ている。


目が合って手を振ると少しだけ嬉しそうな顔をし、すぐに不機嫌そうな顔に戻った。


私が近づけば良いのだがそうすることは叶わない。


それは何故か?


私は膝にナナリアを乗せ(対面座り)、右手にリビー(眠いのか、船を漕いでいる)、左手にレイン(私の手を握りながら恍惚そうな表情をしている)を侍らせ、足下には何故かマリアンヌ(何処から持ってきたのか首輪をくわえている)が犬の様に伏せている。


誰かこの状況を説明してほしい…



「オリヴィエさん、くっつきすぎです!少し離れてください!殿下もリリーに甘えすぎではないですか?」


レインに咎められてか、リビーが目を擦り起き出す。


「…んぅー?ぼくはいいの。リリ、うれしい?」



「はい、嬉しいです!」


「……」


即答するとレインに睨まれた。すごく怖い…です。



「リリお姉ちゃんもっとお話しよー!」


「うん、ナーナちょっと待ってね…」


さっきから私の髪を編んで遊んでいるナナリアは退屈なのか私と話したがっている。


最初の気取った口調はなんだったのか、今ではすっかり子供の口調に戻っている。


私もナナリア本人たっての希望により敬語は止めた。

それと名前呼びが良いらしいのでナーナと呼ぶ事にした


ごめん、今それどころじゃないんだ…


本当に…!


「……マリアンヌ嬢、貴女は何をしているんですか?」


ナナリアの肩越しにマリアンヌへ目を向けるといつの間にか仰向けで犬が降伏するポーズをしている。


「リリー様!わたくしを踏みつけて下さいませ!父上が仲の良い人同士はこうゆう事をして二人の信頼を測ると仰っておりました!わたくしもリリー様と信頼を深めたいですわ!」


ゲース卿、娘に何を教えてるんだ!あんにゃろう!


「そのような事はまだ早すぎます。あと十年は待ってください。」


「分かりましたワン!」


ノリノリなマリアンヌに大きく溜め息を吐き、私は現状を打破するために動いた。



「はーい!皆、起立ー」


私が手を叩きながら声を上げ、ナナリアの脇に手を入れ無理矢理立ち上がらせると、何事かと集まりだす。


そろそろ、夕方。


今日は皆泊っていくのであと一~二時間遊んだらお風呂に入り夕食だ。


なので目一杯遊ぶ事にした。



「え~、これからかくれんぼをします。といっても見付かったら鬼がどんどん増えていく変則的なものなんだけど。制限時間まで見付からなかった人にはご褒美をあげます。私が叶えられる範囲なら何でもしてあげましょう。」


皆、目の色が変わる。


ご褒美といえば食い付くと思ったのだ。


誰も退屈はしないだろう。


「はいはーい、リリっちの所で扱ってる商品とかも貰えるの~?」



リサーナちゃんが、いの一番に手を上げ質問をする。


目敏いな…!


「えぇ、私が自由に出来る範囲でなら大丈夫だよ!」


「やったー!」



「でもリリー。鬼は誰がやるのでしょう?リリーとマリアンヌさんはこのお屋敷で住んでるから有利ですし、部屋の場所なんかが分からない私達は不利じゃないですか?」



「安心してレイン?私が鬼をやりますのでそこは安心してください。今言われた通りマリアンヌ嬢以外の皆はこの屋敷がほとんど初めての人ばかりだから全員で一度見回りすることにしまーす」


はーい、集合と私は全員を引き連れ案内する。


危険な調理室、倉庫、用具室などは使用禁止とし、メイドを前に配置することにした。


見回りを終え詳しいルールを説明する。


制限時間は一時間、五分以内に隠れ、移動は自由だが三回までと制限を付けた。


わたしは庭で待機し、五分経った後に屋敷の中を探索する。


協力は有りだがわざと見付かるのは無し。


もし、全員見付けたら鬼の勝ち。


制限時間まで隠れられればその人の勝ちだ。


複数居た場合は隠れられた人全員にご褒美を与えるというルールにした。


始める前に全員の望むものを聞くと、こうなった。



名前ーー 要求 期間



レインーー センティス領に此方持ちで別荘を用意する 一軒


アンーー プリン 一年分


タニアーー新作の玩具を優先的に実家に届ける 無期限


オリヴィエーー 一緒にドーナツを食べながら寝る 一晩


リサーナーー 自商会との商業取引の優先権 十年間


ルルイアーー 魔法技術研究施設を折半してセンティス領に設ける 無期限


ユグドラーー パーシアス領との商業協定の締結 十年間


サレナーー 剣の鍛練 期限なし


イシスーー 魔法研究施設の施設 無期限


マリアンヌーー リリアナの下僕 一生


ナナリアーー 年数回、王宮の自室に遊びに来ること 無期限




以上が各自の呈示した褒賞だった。


流石四公令嬢は育ちの良さが分かる意見だなー…


リビーを除いてだけど。


彼女が呈示しているのは冬までの生活そのままではないか…。


まぁ、彼女にとって日常こそ素晴らしいということなのかな。



マリアンヌは……


うん、七才児が呈示する褒賞じゃないよね。


ゲース卿…次あったら全力で一発お殴りしてあげましょうかね…。


マリアンヌだけは絶対に見付けなくては。


こんな破格の条件を出したが策はある。


先日、ジョセフやホセとの鍛練で【気配】というものを読める様になったのだ。


勝算がなければこんな提案はしない。


いや…あの囲まれた状態から抜け出す為でもあったのだけど。


どれもこれも結構シビアな要求だ、幾つかはこんなお遊びではなくきちんと話し合い決めたいこともあるが…


まぁいいか。


お遊びだし、気楽にやろう…私が全員一時間以内に見付ければ良いだけの話だ。



「それじゃ、始めようか。かくれんぼ…スタート!」


私は庭を眺め五分間待つのだった。

まさかの長期連載サバイバルかくれんぼ編突入…!

最後に勝ち残るのは一体誰なのか?!


ええ、もちろん次回で完結します。




はい、ふざけてないでキャラ紹介します。




聖アムスティア学園生徒名簿


ユグドラ・ラズベリー・パーシアス 17才


パーシアス公爵家令嬢。

実家は王武文魔保の五派閥のうち文知派の筆頭。


人と馴れ合うのを好まず常に単独行動を行うクールな少女。


とある事情で一ヶ月に数日休んでおり、授業には遅れがち。


そんな彼女ではあるが、甘いものには目がなく屋上で人に見られぬ様にこっそりと食べるのが楽しみである。


ある日その姿を偶々目撃してしまった主人公を、隙あらば付け狙い、脅そうと画策するが、根は真面目なので適当にあしらわれてしまい枕を濡らす日々。


とある夕暮れ、いつもの様に屋上へ訪れた主人公は床に倒れ伏すユグドラを見付ける。


主人公は背に担ぎ保健室に向かうも既に施錠されており自宅へ連れ帰る事に。


無事目覚めたユグドラに訳を聞こうと話しかけるが……



「何だよ?そんな見つめてもやらねえぞ?え…?!菓子じゃなくてわたしに見惚れてたって?バ…バカ!冗談は止せよ…!え?わたしがどう思ってるかって?うっせぇ!」


好きなもの 孤独、食べること

嫌いなもの 馴れ合い、価値観の押し付け、食べること


所属 陸上部(幽霊部員)



残すキャラ紹介は三人ですねぇ。


まだ、出していないキャラが一人居ますが、実は…


はいネタバレになるので止めときます。


近いうちに一人書いて…


ーーまぁ、後々のお楽しみということで!

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