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リリアナお嬢様の命令よ!~転生伯爵令嬢は自分に素直に生きると誓いました~  作者: 如月 燐夜
一部四章 少女子爵領地経営編
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少女子爵の雪遊び

本日三話めの更新です。



登場人物、増えます(ドーン

ジョセフ帰還から十日後、執務の合間に私は一息吐くことにした。


ジェシカの淹れた紅茶にシフォンケーキを食べ、午後のゆったりとした時間を過ごす。


大分馴れたとは言えジョセフやランゼの手を借りなければ一日のノルマをこなすことなど出来ない。


それがまたプレッシャーとなり、気疲れしたというか何というか…


癒しが欲しい…


と、思ったら癒し(リビー)が向こうからやってきた。



相変わらず気軽にノックもせずに我が物顔で入ってくるリビー。


そのふてぶてしさも可愛く思えてくるから素敵だ。


「リリあそぼ」


「うん、何しよっか」


「んー…?」


悩むリビー、とりあえず私に会いに行けば何かしら出来るという甘い魂胆で来たのだろう。


かわいい。


私は窓の外をちらと見る。


雪が深々と降り積もっている。


雪…そうだ!


「雪遊びでもしよっか?」


「ゆきあそび?」


「うん、ソリ…はないから倉庫から木の板を引っ張りだせば良いか。あとは雪合戦とか、かまくら作りも面白そうだな。あ、そうだ!ジョーズとかポロ達も呼んであげよっか。私が入れば大丈夫だけど、非番の兵を特別給を支給して護衛に駆り出せば大丈夫かな。よし、早速行こう!」




私はリビーの手をつかみ、手編みのマフラーと毛糸帽子、手袋(私とリビーの分を自分で編んだ)を装備し、ジョセフの家に向かった。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼



「「ジョ・オ・ズくん!あーそびましょッ!」」


私とリビーが声を揃えジョーズの家の前でそう叫ぶと中からドタドタと音が聞こえる。


ジョーズは今年6才、私の一つ下だ。


毛皮で拵えたジャンパーを着て茶髪の小太りの少年が姿を現した。



「リリアナ様…とオリヴィエちゃん?突然どうしたの?」


ジョーズは気弱で内気な少年である。


アルデン領から呼び寄せた後に我が家にて晩餐会を行い、それから何度か遊ぶ様になった。


というか私が無理矢理家から出す様にしている。


「雪遊びに行くよ!あ、メイさん、ジョーズ借ります!」


ジョセフの奥さん、メイさんはスラッとした体型にたわわなお胸を持った美人さんだ。


よく捕まえたな、ジョセフ…


そのメイさんの腕には生後一ヶ月の女の子が抱かれている。名前はジュリアと付けられた。


「これはこれは領主様、うちのバカ息子で良ければ連れていって下さい。」



「か、母ちゃん…僕、外で遊ぶのヤダよ、寒いし…!」


「じゃあ、借りて行きまーす。【土環アースリング】」


「グェッ…僕の意思はァ~?!」


文字どおり首輪を付け身体魔法を掛けた私相手に無抵抗で引かれるジョーズ。


こうしないと動かないから仕方ないのだ。


「次は…ポロとモガを呼びに行こうか。ほら、キビキビ歩く!」


「きびきびあるく!」


リビーも私の言葉を鸚鵡返しし、何処か楽しそうだ。


「何だろうこの敗北感…まるで捕虜になったみたいじゃないか…」


頑張れ少年、君は今から私達を楽しませるだけの玩具になるのだ、その代わり君の好きなモガを呼ぶんだから我慢してくれ。


ジョセフの家から五分ほど歩いた市街地の一角にポロとモガの家はあった。



「おーい、ポロ~、モガ~!あーそーぼ!」


私が叫ぶと二階の窓からひょっこりと顔を出すのは赤髪の兄妹、ポロとモガ。



「あん?リリアナじゃねぇか!オリヴィエ…さんも!」


「リリ姉様!リビー姉様!」


「門の外に遊びに行こー!」



私がそう伝えるとポロが窓から飛び降りる。


二階から降りたのにシュタッと猫のように軽やかな着地をし、その後を追い掛け、モガは普通に玄関からやってきた。


ポロは七歳、モガは五歳だ。


ポロは生意気盛りで反抗的な態度をよく取る。

しかし、リビーには弱いため扱いやすくはある。


モガは私とリビーの妹分だ、素直で姉様と呼んでくれよく懐いている。


兄弟が居ないからかリビーがかなり可愛がっており一緒に居る姿をよく見かける。


二人の父親はうちの兵士長でジョセフの直属の部下に当たる。


「危ないから飛び下り禁止っていったでしょ、ポロ?」


「へへへ、こんくらい平気だぜ!」


鼻の下を人差し指で掻き、リビーの方を向いて格好付けるポロだがリビーはモガとの会話を始めた。


「モガー、げんき?」


「元気だよ!リビー姉様も元気そうだね!」


「モ、モガちゃん…!こ、こんにーー」

「うん、げんきー!」


哀れなりジョーズ少年、リビーに挨拶を邪魔され落ち込んでしまった。


その後最低限のフォローは行ったのだがしばらくジョーズは落ち込んだままだった。



うん…なんかうちの領の男児達不安だ…。


強く生きろよ…。


「次はロイとサリーとマーシャか、ポロ!ジョーズとモガを連れてロイを迎えに行って来て!私はリビーとサリーとマーシャを迎えに行くから。」


「命令すんじゃねえ!」


ポロが私に吠える。


んー、このクソガキ…


「あぁ、そう。じゃあもう誘わないから。行こ、リビー、モガ、ジョーズ。」



「ん!ばいばい!」


「お兄ちゃん、リリ姉様にそんな言葉遣いしたらいけないんだー!」


私の言葉を聞き背を向けたのに焦ったのか、ポロは慌てて追い掛けてくる。


「ちょっ…!ちょっと待ってくれ!俺が悪かったからー!」


情けない少年の声が町中に響いたのだった。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


予定通り、ロイ、サリー、マーシャを迎えに行きその足で非番の兵士を三人捕まえ、城壁外の小高い丘に来た私たちは分担して持ってきた荷物を別けていた。



ロイはレオパルドの孫、サリーはカサンドラの妹、マーシャはボルトンの娘だ。


三人とも私の将来の家臣として宛がわれたのだが、年も近く私の友達となっていた。


ロイは10才、サリーは7才、マーシャは6才だ。


まずは屋敷の裏から拾ってきた細い板を使いスキー板の形に風魔法で加工する。


靴止め用の穴を空け紐で縛れるようにした。


人数分用意出来れば良いのだが全員が滑り始め、もし遭難したら大変なので二人ずつだ。


その辺に落ちていた棒を拾い私はスキー板を足に付けた。



「今からお手本を見せるから見ててね?それ!」


私は丘を下っていく。


久々のスキーだが、やっぱり楽しいな!


「リリ、つぎぼくやるー!」


一番楽しみにしていたリビーが、んしょ、んしょ、とスキー板を付け始める。


何をやっても可愛いな、リビーは。


ポロもそんなリビーの姿を見て鼻の下を伸ばしてる。



気持ちは分かるぞ、少年。


だが、リビーは渡さん!


リビーがフラフラと下降する様を見守りながら私は丘上のポロに威嚇を送る。


ガルルルルル…!



リビーが辿り着くのを待ち一緒にまた丘を駆け上がりロイとポロに板を渡すと今度はソリを作った。


これなら三人は乗れるだろうか?


丘の下にいるバイト兵士に手を上げ合図を送り、モガ、サリー、マーシャを乗せたソリを私は勢いよく背を押した。そのまま一直線に下っていった。


ちなみにサリーは怖がり、マーシャはじゃじゃ馬な性格をしている。


サリーは泣き喚き、マーシャは怖いのに意地を張り、モガはもう一回とはしゃいだ。


ジョーズはというと体型のためか、運動が苦手らしく私の設計したかまくらを一人せっせと作っている。


将来は大工になりたいと言っているので物作りが楽しいのだろう、凄く輝いている。


ジョセフは騎士に…と考えているみたいだが、私は本人の意思を尊重したい。


子供達の夢が叶う、そんな領地に私はしたいのだ。



私はジョーズに合流しかまくら作りを手伝うとリビーやモガ、サリーも手伝ってくれた。


それを見たポロが嫉妬したのか、その隣にかまくらを作り出すも、リビーの


「ポロ、じゃま」


という冷淡な言葉に傷心し、ロイに慰められていたのだった。


ロイは祖父とは真逆で大人しく優しい性格だ。


年長なのによくポロに虐められ泣いている。


そのポロを泣かせるのは私の役目だが…


ヒエラルキーがいつの間にか形成されている。


男子→女子→私みたいな感じである。


本気で我が領の男子の将来が気になる。


これから鍛えていこう…!


日が暮れ始めると全員をそれぞれの家まで送り私とリビーも屋敷に戻った。


兵士達には銀貨を二枚ずつ渡すと、早速飲みに行った様だ。


明日仕事なんだから飲み過ぎないでよ?

と注意を促すも分かっているのか、いないのか生返事とともに町に繰り出したのだった。



翌日、かまくらを見たジョセフが中に入るとあまりの温かさに驚き、冬の遠征に使えると判断したのか、兵士の訓練にかまくら作りが採用された。



更に私が作ったソリやスキー板も移動手段として軍事運用されることが議題に上がった。


そしてセンティス領で冬季レジャーとしてスキーや雪合戦が大流行したのはまた別の話。


ちなみに

リリアナ→オリヴィエ、ポロ→オリヴィエ、ジョーズ→モガ、モガ→リリアナとオリヴィエ、ロイ→リリアナ、サリー→ロイ、マーシャ→ロイという複雑な人間関係となっています。


今後の展開にご期待下さい。


続き23時に♪


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