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リリアナお嬢様の命令よ!~転生伯爵令嬢は自分に素直に生きると誓いました~  作者: 如月 燐夜
一部四章 少女子爵領地経営編
76/232

少女子爵、信頼出来る者の帰還

連続投稿2回目です。

ご注意下さい!


2/5

ボルボル族を降してから一ヶ月が経った。


ジェネシス軍兵士の手伝いを受け、家屋が着々と建設され町並みが日々変わっていくのを、少し小高い位置に建てられた新築の屋敷から執務の合間に見下ろすのが私の日課になっていた。


近頃は寒さが厳しくなり何かと不便ではあるが、王都よりはまだ暖かいので鍛練も捗っている。


ホセとの訓練も日々過激になっており、最近ではあちこちに切り傷が絶えない。


まぁ、治癒魔法で直ぐに治せるのだが。


リビーも私とホセの鍛練に興味を持ったが木剣さえ持ち上がらず、早々に諦め私やセバス、ホセを和ませてくれた。


とある日の爺と孫の会話の記録である。


「んむぅー…!おもい…」


「はっはっは、オリヴィエ様にはまだ早いでしょうな。十才になれば鍛練を付けると主が申しておりましたぞ?それまでしっかり食べ、いっぱい大きくなるんですぞ?」


「おっきくなってるもん!このまえはかったら1せんちのびてた!」


「おー、さすがですオリヴィエ様!将来は女騎士、いや大将軍ですな!」


「むふー!リリよりおっきくなる!」


この通りセバスはリビーに甘々だ。


そして自分の身長を気にしているのか私に対抗心を燃やし運動を始めるのだが、如何せん始めた途端に寝てしまうのである。



「リビー、無理はしないで良いからね。まだ子供なんだからこれから大きくなれるよ!」


私は知っている。14才のリビーは身長149センチ、体重34キロだということを。


部活は天文部で血生臭い世界とは無縁なことを…


しかし、絶対に口には出さない。


時には優しい嘘も必要なのだ。



「ん、わかった!」


聞き分けの良い素直な子だ。


私はリビーの頭を撫でる。


水色の癖がない長い髪が指に絡み、引っ掛かりなくほどけていく。


私もサラサラだけどリビーのは絹だ、肌触りがすごく良い。ずっと触っていたくなる…!



ずっと撫でていると不機嫌になるので名残惜しくも手を離した。


心地好かったのかリビーは目を瞑り、船を漕いでいた。


私がお姫様抱っこするとジェシカが扉を開け、寝室へと運んだ。


【惰眠の呪い】…


解いてあげなきゃな…。


少し時間が取れたら素材集めをしなくちゃ。


他の四人も、今は軽度でもこれから酷くなっていくだろうし、そっちも進めなくちゃ!


私は最後にリビーの頭をもう一度撫でると扉をそっと閉め、部屋を後にした。




▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼



それから更に一ヶ月、新年になった。


そろそろジョセフが遠征し二ヶ月となる。


連絡が全くなく心配ではあるが、ジョセフならばきっとこなせると信じている。



「ジョセフ…大丈夫かな…」


ふとそんな声が洩れてしまった。


執務机から眺める窓の外では白雪が舞い降り、何処か私の心情を表してるかの様な錯覚に陥った。


意識せずの言葉なのだが、やはり心の何処かで気が気じゃないんだな…私。



「呼びやしたかい?」


「ひゃっ!ジョセフ?いつの間に!?」


声に振り向くと髪や髭は伸びているものの私の記憶の中のままのジョセフが執務机を挟んで目の前に立っていた。


その後ろにはヴェイル、ボルトン、それと見覚えのないゴリマッチョ髭ダンディーなおじ様(蛮族とも言える)と知的な雰囲気を醸し出す褐色肌の女性が立っていた。



「報告が遅れてしまい申し訳ありません!たった今帰還致しました、アパ族、メレ族、共に迎合し、任務を完遂したことを報せます。」


「お初にお目に掛かる。拙者はアパ族々長レオパルドと申す!これよりセンティス卿に仕えたく候。よろしくお頼み申し上げる」


「ボク…私はメレ族々長代理のカサンドラ。リリアナの大将よろしく~。」


「リリアナ・アルデン・センティスだよ。二人とも宜しくね。見たところレオパルドは武勇に長けていてカサンドラは頭脳労働派かな?」


私は笑顔で問い掛ける。二人とも癖が強そうだ。


拙者って戦国時代かよッ!


「如何にも!戦ならば拙者に任せよ!手始めに山向こうの豚領主でも滅ぼしてくれようか?さすれば我が主の領土が増えるというもの…クククッ、血が騒ぐわい!」


ガッハッハと豪快に笑い、ドカッとその場に座り込むレオパルド。



「いや、物騒な事は止めてね?戦いの時にはそれなりの役職を任せるつもりだけど、まずは領兵との歩調の合わせ方から始めようか…いや、その前にこっちの常識からか?いや、その辺は後だな…うん。」


私はドン引きしながらレオパルドに答える。


うん…扱いに困る…


カサンドラに目を向けるとその場に胡座を掻いた。


真冬だというのに薄手の民族衣装からは胸元やお腹、太股などがチラチラと見え隠れし扇情的な雰囲気を漂わせる。


「ボクは読み書き計算が得意だよ~。というか、全部族で両方出来る人ってボクくらいしか居ないんじゃないかな~?ほんとは族長なんてガラじゃないけど仕方なくやってる感じだし…。じいさんもとうさんも亡くなって兄弟も妹しか居ないからね~。」


カラカラと笑いながら一人称をボクと言い直し聞いてもいない話をベラベラと語り出す。


本質はおしゃべりなんだろうな。



「とりあえずランゼに案内させるから着いて行って?ランゼ、兵舎の説明をお願い」


「畏まりました。」


「レオパルドとボルトンはジョセフの補佐、カサンドラはランゼの補佐にするつもりだから宜しくね。ジョセフは今日は遠征の疲れを癒してまた明日詳しく報告をお願い!はい、解散!」



「お嬢、折角帰ってきたのにそれだけですかい?さっき泣きそうな顔で俺の名前を呼んでたってのに」



「なに?ジョセフは疲れてないからこれから兵士の鍛練がしたいのかしら?丁度新兵の雇用を終えてこれから兵科選択の段階なのだけど、ジョセフに丸投げしようかしら?奥さんとジョーズのとこに帰らせてあげようと思ったのだけど、ジョセフは仕事熱心ね!それじゃーー」



「なッ!母ちゃんが?こいつぁいけねぇ!用事を思い出しちまった!お嬢、また明日!」



ふう…折角人が気を遣い家族を呼び寄せてあげたのに私をからかうとは良い度胸だ。


正確には家族が四人・・に増えてるのだがそれは後で知ることになるだろう。


そういえば王都の母様から手紙で双子の女児が生まれたと報告があったな。


近いうちに妹達に会いに行かなければ!


そう決意すると私は執務に戻った。

続きは22時更新です。


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