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リリアナお嬢様の命令よ!~転生伯爵令嬢は自分に素直に生きると誓いました~  作者: 如月 燐夜
一部四章 少女子爵領地経営編
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少女子爵、手紙を認める

お昼休みはリリちかっ!


はっじまーるよーん



パレードから三日後、私は兵士に命じ領都周辺の散策を依頼した。


何か資源が眠ってないかの調査である。


一週間後、調査を終えた部下が書類に纏め提出してきたものには多くの資源が眠っていることがわかった。


北東には金、銀、鉄などの鉱山があり、北北東には手付かずの森がある。


そこでは薬草や果実、花畑で花粉を集める蜜蜂の姿も観測したという。


南南西は平原部で野生の馬や羊がおり、多くの群れを観測したらしい。



「ご苦労様、三日間休みをあげるからゆっくり休んで。」


「はっ。それでは失礼します!」


私は調査をしてくれた兵士を労うと早速思案を開始する。


まずは北東の鉱山。


ここはジェネシス公爵家とアブロー男爵家との領境で山脈が三股に分かれ連なっている。


もし、私達が鉱山に手を付けると揉める可能性がある…繊細な対応が必要だ。


要注意なのが山脈の更に南東に位置するアブロー男爵家。


金にがめつくて浪費家だと噂されている。


最悪の場合鉱山の所有権を巡って内紛が起こることも視野に入れなくては。


ジェネシス公は知らない人じゃないし、分け前を半々にすれば味方してくれるんじゃないかな?


それに私の私兵達も錬度が上がり公爵軍五百名をこのまま残しておけば食料が枯渇する、春には戻す事も伝えておかなくちゃ。


私は早速王都に駐留するジェネシス公に手紙を認める。


挨拶から始まり五十近いジェネシス公の体を労り、リビーの様子を訪ねるなど、前置きを書き、本題を書き記す。


私の事を高く評価してくれるジェネシス公の事だ、きっと色好い返事を返してくれるだろう。


春を迎えるまでに私は騎馬民族の件を処理する事に決めた。



手紙を書き終えると間の良い事にセバスが香り高い紅茶を入れ執務室に入ってくる。


早速セバスに相談しよう。



「セバス、ありがとう」


「いえ、これが本来の職務ですのでお構い無く。何かお悩みですか?」


見抜かれていた…だと?!


「あのね、相談があるんだけど」


「何でございましょう」


「騎馬民族の長…族長っていうのかな?その人と会う事って出来ない?」


「ふむ…族長ですか……少し難しいでしょうが私の部下を使者に送ってみましょう。顔を知っている筈なので多少は成功率も上がりましょう」


「ありがと。それとね、春になったらジェネシス軍の人達を公爵領に戻そうと思うんだけどどうかな?」


「なるほど、食料の懸念ですな?」


「うん、ジェネシス軍の皆に掛かる資金があれば他の事業やアルデン領から大工を雇ったり出来るからね。それまでに騎馬民族をどうにかしなくちゃだけど、セバスに頼んでも良い?」


「ええ、もちろん。然らば三日ほどお暇を戴きたく存じます。」


え?セバスどうして?


「私が直接赴き、主に交渉して参りましょう。その為のおやすみを戴きたく…」



あ、そういうことか。


「ありがとう、セバスは本当に頼りになるね。三日じゃなくて一週間くらいなら休んでも平気だよ。」




「この老骨めを労ってくれるとは光栄の極み…!子爵様に忠義が誓えず残念に思いますが私は主に忠誠を誓っている身、申し訳なくございます……」


セバスさえ私の家臣になってくれれば…


と何度か相談をしたこともあるけどジェネシス公への忠義…


というより長年の信頼と絆と言った方がいいのだろうか?


その目に見えない不確かだけど確かなものを私がセバスと築けるとは思っていない。


だから諦めている。


ハッ?!ラセ(公爵の名前はラッセン)×セバ?!

アリか?いや、でもなー…



アリよりのアリ…いや、うーん…ないな。


腐の感情を無理矢理押し返した。



「もうその話は何度もしてるから私も諦めてるよ。でもセバスが居なかったらセンティスは何も発展なんてしてなかった。だからありがとう。」



「おぉ…なんと優しきお言葉…」


涙を目に溜め今にも泣きそうなセバスの前に私は話題を逸らそうと書類を提出する。


「あと…これなんだけど…」


私は先程読み終えた調査報告書を見せる。


セバスは頷くと得心いったのか承りますと一言告げた。


切り替え早いな…!


「今話した三つのお願いを認めた手紙をここに用意したの。セバスお願い出来る?」


私は公爵宛の手紙をセバスに手渡し内容を共有する。


セバスは読み終わると便箋に収め懐に仕舞った。



「分かりました。私にお任せ下さい。もし衝突となればジェネシス領から千の援軍を呼ぶ考えも私が直々にお伝えしておきます。それでよろしゅう御座いますか?」


流石セバス、もしもの事まで考えてその予防策まで張り巡らすとは一流の執事であることを認めざるを得ない。


私は思わず感嘆の声を漏らす。



「ほぇ~…セバス有能すぎる。」


「お褒めに与り光栄です。」


「あ、これ美味しい」


独り言を聞かれ少し恥ずかしくなった私は紅茶を口に含んで誤魔化そうとしたのだが、あまりにも美味しくてそちらに興味が持っていかれる。


爽やかで甘さ控えめ。


ミントでも入っているのだろうか、疲れた頭がすっきりする。



「お口に合ってなによりです。そちらはベルン子爵領から取り寄せた最高級の茶葉でございます。それにオリジナルのブレンドを施した逸品にございます。」


「へぇー、流石セバス。さすセバ…プフッ…あははは、ごめん。何か今日は思った事が口に出ちゃうみたい。セバスの事を馬鹿にしてるわけじゃないから怒らないでね?」



思わず頭に浮かんだ事を口にしてしまう。


昔から悩みすぎるとたまに出ちゃうんだよね。


この前ジェシカに寝言で延々とマシューの事を話していたと言われ顔が真っ赤になった記憶がある。



「いえ、私などに気を遣って頂き恐悦至極にございます。子爵様の様々な表情を見ることが出来て私は非常に嬉しく思っておりますよ。それでは明日より王都の方へ行って参ります故、準備の為失礼させて戴きます。引き継ぎの方はジェシカ殿にしておきましょう」


「ありがとう、ゆっくり休んで来てね!」


私は笑顔で手を振りセバスが退室するのを見送った。



セバスの仕えてる公爵家とくればー?


皆さんご存じあの人の登場です!


次回もお楽しみに!!


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