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準名誉子爵、手柄を立てる

前回リリアナが捕まった際の描写が足らず、指摘を受けたので今話の序盤で補足を入れました。


最近本職が多忙で昼夜通して行っているため満足な休息が取れず寝不足の為引き起こしてしまったものです。

申し訳ございません。


私の力が足りず読者の皆様にはご不便をお掛けします、申し訳ございません。


またこれからも力足らずではありますがお読み頂いている読者の皆様のため邁進していきたいと思います。


拙作ではございますがこれからも応援の程宜しくお願い致します。

ヴェイルとランゼを連れ敵陣本丸へと向かう。


迅速かつ音を立てない様、細心の注意を払っての行動だ。


途中、哨戒任務の帝国兵と接敵したが、私が捕まった時とは状況が違う。


あの時は三十人の中隊規模かつ全員男性という状況だったが、今回は五人小隊と規模が小さかったのと前衛が二人居たという点が大きいだろう。


幾ら私が魔法に長けているとしても大の大人に三十人で囲まれたら萎縮してしまう。


それに克服出来ていたと思っていた男性恐怖症はまだ完治出来てなかったのを改めて実感する。


新たな仲間、ヴェイルとランゼはまだ完全には信用していないが、私の命令にはまだ従ってくれているので警戒レベルは何段階か下げた。



「リリー様、間もなく本陣に到着します。このまま突っ込みますか?」


「待って。一度様子を見たい。近くの茂みまで移動後、待機。その後護衛が少なければ接敵、多ければ私に案があるから指示に従って」


「御意に」


「おうよ!」


それから間もなく茂みに到着すると、私は様子見を行った。敵兵は…多いな。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


「送り出した斥候はどうなっている?まだ戻らんのか?!」


「現在斥候の後詰めを送り現状確認の最中であります!」


「その後詰めも戻って来ないではないか!いつまで待たせるつもりだ!」


「申し訳御座いません…」


全く何をしておるか…儂の若い頃の斥候統括はしっかりしておったが…最近の若いモンは駄目じゃな…


「ええい、何をぐずぐずしておる!直ぐに斥候と魔法部隊、檄槍部隊を出陣させよ!」


魔法部隊と檄槍部隊は我が帝国の秘中の秘。


これがあればあの忌々しい堅牢な砦など一刻で蹂躙してくれるわ!


王国の弱兵如きに何を手間取っておるのか…


陛下の信が篤き儂直々に駆り出されたのは少し歯噛みしたが捕虜としての王国女は魅力的じゃ。


王国女は従順でいたぶるにはもってこいだからの。


さっさと攻め落とし、女を囲い余生を楽しみたいものだ。


「し、しかし閣下…お言葉ながらそんなことをしてしまえば本陣ががら空きになってしまいます。それでは閣下の身に危険が及ぶやもしれません!」


「儂を誰だと思っておる!陛下の覚えめでたいジャンボーグ伯爵ぞ!そこらの雑兵になぞ負けんわい!」


「しかし!」


「くどい!さっさと出陣せよ!首を跳ねられたいか?!」


「くっ…かしこまりました!直ちに出兵致します」



ふんッ…これだから若いもんは…


帝国が近年のうちに急成長したため、ああいう他国から吸収した奴は帝国の流儀を分かっておらん。


国に戻ったら練兵から仕直さなければな…


儂が辟易し酒を嗜んでいると天幕の外から声がする。


「閣下、お伝えしたいことが!」


「何事じゃ」


「はっ、伝令にございます。現在王国兵が森を南下中、三○二小隊と二○八小隊がこれに応戦中とのことです」


ふむ…三○二小隊は確か後に送り出した斥候部隊だったか。


二○八も同じ時刻に出立した筈、虚偽はなさそうか。


「ふむ、勝てそうなのか?規模はどの程度だ?」


「はっ、男四名・・・です。恐らく余裕を持って対処出来るかと」


「そうか、伝令ご苦労。直ぐに体を休ませ次の命令を待て」


「はっ!」


ふむ、とりあえずひと安心じゃの。


儂は酒を煽り束の間の一時を楽しむ。


少し酔ってきたか?



「閣下!」


「なんじゃ、騒がしい」


儂が良い気分で酒を飲んでいると先程とは違う男の声が響く。


その時地響きが起こる。


天幕の外が急に暗くなり始めた。


儂は酔いが一瞬で覚めるのを感じつつも直ぐに天幕から飛び出した。


「お命頂戴致す。祖国の恨みだ。あばよ、ジャンボーグ」


「き、貴様は…!」


儂は薄れ行く意識の中胸に突き立てられた剣を持つ男の顔をその目に焼き付けた。


ガルシエ公国の王子ヴェイル。


儂が指揮し、滅ぼした国の王子に討たれるとは……



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼




ふぅ…何とか上手く行った…


でもなんで本陣をがら空きにしてまで出兵したんだろう?


何か不都合があったのか、指揮官がよっぽどの無能なのか。



まぁ今は首だけになったこのおじさんのことはどうでも良いか。


作戦の概要はこうだ。

しばらく監視をしていると兵が大量に出兵したのでこれはチャンスとばかりにヴェイルが囮役を買って出た。


本人が足の早さには自信が有ると言うので絶対に逃げ切ることを条件にそれを許した。


本人は敵将の止めは俺に任せろと進言してきたのでそれを許可し、先程倒した斥候が持っていたドッグタグの様な個人名と部隊名が入った識別札を複数持ったヴェイルが敵兵を引き付けた頃合いを見て嘘と本当を織り混ぜた伝令をランゼが天幕へ伝えに行く。


報告はランゼに任せた。


話していて賢いのは分かったし、メガネ掛けてるから大丈夫と私の独断で許したが間違いではなかったらしい。


ランゼが戻り、しばらくすると私が潜伏していた場所へ無傷で戻ってきたので天幕に向かわせ、私が土魔法を使い天幕を囲い逃げ場を無くした所で出てきた敵将を討った。


状況と運に助けられた作戦だがこうも上手く嵌まるといっそ笑いたくなってしまう。


彼ら無しでは絶対に成功しなかったであろう。


その首を取ったヴェイルは現在高らかに閧の声を上げている。


「敵将ジャンボーグの首、リリアナ・アルデン・センティスが家臣、ヴェイル・ガルシエが討ち取ったり!繰り返すーー」


だけど、お願いだから何処から出してるのか分からない様な凄まじい大声で私の名前を叫ばないで欲しい。


恥ずかしいじゃん…



というか、ヴェイルの奴あんな高らかに大声出して狙われないのかな?


この後、打ち合わせでは直ぐに森に隠れて逃げる手はずだったのに滅茶苦茶だ。あーもう…



「ヴェイル…早く隠れないと…」


その時捕虜を見つけたランゼが戻ってきて口を開く。



ランゼが連れて来たのは皆女性ばかりだ、襤褸布を着せられ震えて目が虚ろになっている…惨いな…


私はランゼの話を聞きながら一人一人に治癒魔法を掛けた。


「大丈夫でございます、リリアナ様。敵将が討ち取られれば士気が下がり王国軍の有利となります。更に単独で敵将を討ち取った我らに仇なす者など現れる筈がありません。ジャンボーグは無能として有名、誰も仇討ちなどと考えることはありませぬ」


捕虜の女性たちは私の治癒魔法で少し心の傷が癒えたのかありがとうございますと何度も頭を下げお礼を言ってきた。


まだまだ心の傷は深そうだが、こればかりは時間がかかってしまう。


同じ女として最大の辱しめを受けたのだ、同情もしてしまう。


「ランゼがそう言うなら…でも、本当に大丈夫?」


「私とあの戦馬鹿が必ずお守り致します。更にリリアナ様の膨大な魔力があれば無敵でしょう。やはりリリアナ様は我が主に相応しいお方でございます。」


誉められちった…へへ。




メガネを小指でクイッをしたランゼは更に口を開く。


「もしリリアナ様があの時居られればボローネは別の運命を…いや、今更考えることではないな」


独り言だったみたいだけどしっかり聞こえてしまった。


ボローネとはランゼの祖国の事かな?世知辛いな…


相変わらずこの世界はギャルゲーの癖に厳しい。



6/11火曜日の更新は午後10時頃を予定しております

皆様にはご迷惑をお掛けします

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