準名誉子爵、砦を築城する
今話にてお嬢様の知られざる秘密が…?!
軍議が行われた天幕から出た私は早速ジェシカとジョセフ、更に実家の兵士十名ばかりを連れアルデン領アーリンとガーズ男爵領北側の中間へ移動した。
予め提出していた作戦案のポイントに辿り着くとぐるりと魔法の土壁を建築し始めた。
穴を三メートルほど掘って、堀を作り、高さ十メートル厚さ三メートルもある壁だ、そう簡単には抜かれまい。
範囲一キロほどをロの字で囲んだそれはもはや並大抵の破壊槌などでは壊せないだろう。
おっと、出入口を忘れていた…
とりあえず縦横三メートルほどを確保しといてここは後で兵士に伝令を遣わせ跳ね橋を架けて貰って巻き上げ式にし、内部の許可無く入れないようにしよう。
まぁ、それはまた戦後にするとして今回の戦争は私や他の魔術師で出入口を埋めてしまおう。
階段を取り付け壁の上に弓や魔法で攻撃するための陣地を構築、その後私は平原の整地に取り掛かった。
やばい…魔力が空になる前に防壁を完成させてしまった…
まだ夕方に差し掛かる前だ。
ジェシカやジョセフなどは付き合いが長いのでこの程度では驚かないが、他の者達は驚き過ぎて腰を抜かす者まで現れた。
軍事に携わるだけあり私の魔力量がおかしいと思っているのだろう。
というか前回私の領地となったセンティス領で上下水道や防壁を作った時から魔力量がどんどんと刻一刻と異常に増え続けているのだ。
まぁ暴走するような事は無さそうなので放置しているが、ここで発散しておいた方が良いだろうと結論付ける。
幸いまだ余裕がある。
これは…いいや、独断で要塞まで建ててしまおう。
土魔法で巨大な正方形の塊を作りそこから水魔法と風魔法の組合せで削っていく。
ある程度形が整ったら硬化の魔法を施して内部に取り掛かる。
兵士の修練場や寝室、執務室や女性用の更衣室、あ、私だけが知ってる覗き穴とかも設置しようかしら…!?
それからそれから……
…
…
…
気付けばかなりの規模の要塞になってしまった…!
何と地上五階建て、地下二階建てだ。
夢中になって夜通し魔法を使っていたのにあっという間に回復してしまう。
出来たものは私的趣向を少し挟んでしまったので城は城でも日本の城郭の様な物だった…!
あぁ、やだやだ…
日本人が他に転生していたのならどこかで噂を聞き付けて私が歴女だったことがバレてしまう…
それだけは勘弁だ…
え?心配するところそこじゃない?
いや、だって重要じゃない!
信長×蘭丸とか政宗×幸村とか…きゃーーー!
まぁ、うん…
久々に私の中の何かに火が着いてしまったのだ。
徹夜のテンションってどうしてここまでハイになるんだろう?
前線の要塞だし、面倒な王国の建築法には引っ掛からないよね…?
まぁ、公爵がしばらく詰める訳だしそれなりに王宮の役人さんも妥協はしてくれるだろう。
見映えの良い天守に向かい土魔法で固めたベッドにシーツと羽毛布団を掛けただけの簡易ベッドで朝方に就寝…何と言う和洋折衷…!
とりあえず……
おやすみなさい。
おはようございます。
改めて冷静になると私とんでもないことしたよね。
うん、分かってる。
や り す ぎ た
胸の中が罪悪感で一杯なのだ。
そして北の城門予定の場所には公爵らが一晩で出来たこの一夜城(適当に名付けた割りに結構、的を射ている)の話を聞き付け来ているとの報告が届いた。
どうしよ…最初はこの世界にありふれた西洋的な城…ではなく砦を作る予定だったのだ。
が、徹夜テンション+前世への憧憬+有り余る魔力=現在の状態となってしまった。
なんでこんなものを作ってしまったんだ私は…
公爵達は現在城壁上にて警備を行っており公爵達に事情を説明しているとのこと。
どうやら既に一時間ほど待っているようだ。
起こしに来たジェシカも私が疲れていたのを察していたのか中々起きない私に強攻手段を行った。
頭から水を被せられたのだ。
飛び起き事情を説明され現在に至る。
へくちッ…!
は、早く着替えないと風邪を引いてしまう。
と、とりあえず公爵達を待たせる訳には行かない。
私は急いで北の城門予定地へ急いで向かい彼らを招き入れる。
というか壁が厚すぎて私以外の魔法使いにはどうにも出来ないのだ。
私は戦々恐々としながら公爵達の元へ向かった。
元は歴女という設定でした。
妄想好きなのはこれが原因となっています。
過去はBL、現在は百合に走るという暴挙…!
こんな主人公ですが、これからも温かくお見守り下さい。
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