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子爵令嬢、募る思い


何時からでしょうか。


物心着いた時から男性との関わりを避けて生きてきました。


男性という生き物に嫌悪を本能的に感じています。



何時からでしょうか。


私の中でリリーさんが大きくなっているのに気づいたのは。



私には大切な友人が居ます。


その方の名前はリリアナ・リモーネ・アルデン。


幼少期からの友人です。


彼女を見ていると私の中で何かが暴れだし途端に苦しくなってしまいます。


彼女は凡庸な私とは違い次々と新たなものを生み出しその才能を遺憾なく発揮していきます。


今年の春にお会いしてから半年近くが過ぎました。


聞けば王都に旅行をしていると家のものから教えられました。


自然と胸を突く感情は寂しい、会いたい、という思いでした。


そんな時、隣国のガルム帝国が攻め寄せているという報が入ったのは突然です。


急いで領民を避難させ、最後は私と家族が残るばかり。


父と母、祖父母を連れ、私はアルデン伯爵領経由で王都へと向かいました。


アルデン領の南アーリンに辿り着いた私は祖父と父に連れられ、ジェネシス公爵様に挨拶へ向かいました。


楽しそうに話す祖父とジェネシス公爵様。


そんな中私の知る一つの単語がジェネシス公爵様の口から飛び出したのです。


「そういえばアルフィード子爵殿はアルデン伯爵と仲が良かったか。そこのレイン嬢と同い年のリリアナ嬢。彼女はとても面白いよ。」


リリアナ嬢…リリーさん?!


私はその言葉を聞いた瞬間、恥も外聞も礼儀さえも忘れジェネシス公爵様を問い質していた。


「リリーさん?!リリーさんは今どちらにおられるのですか?」


「コラ、レイン。ジェネシス閣下に失礼だろう!孫が申し訳ありません」


祖父が頭を下げるが私は公爵様を睨んだ。


私にとっては譲れない情報だ。


冷静になって考えてみれば私みたいな子爵令嬢が公爵家当主に食って掛かる様な真似をしたのは間違いでした。


絶対的な権力を持つ立場の人間からすれば私なんて路傍の石ころです。


それでも公爵様は私の頭に手を置き、優しく微笑んでくれました。



「構わんよ。リリアナ嬢とお友達なのかい。彼女は今このアーリンに居るよ。後で会いに行くといい。そうだな、少し彼女の偉業を話してやろう。どうせ王都へ行けば耳に入るだろうが友達の活躍は幾ら聞いても飽きんだろ?」


「是非お願いします!」



私は手招きされ恐縮しながら公爵様の膝の上に乗せられリリーさんのお話を聞きました。


リリーさんは戦争が起こると知ると、公爵様から避難先として領地を買ったり、その関係で王様から直々に爵位を貰い、あの教会から支援をしてもらい治療のための後方基地まで準備したといいます。


「流石リリーさんですわ!私なんかでは到底思い付かないことばかり…!」



「そうだろ?同じ年頃の娘を持つ私でも此処まで思い付かないさ。でもね、リリアナ嬢は言うんだよ。『全ては民のために』ってね」


私の想像も付かないことをリリーさんはいつもしている。


私の中でさらにリリーさんが大きくなっていった。


それと同時に私の中でリリーさんに会いたいという衝動が大きくなる。


私は柄にもなくうずうずと身体を踊らせ落ち着かなくなってしまった。


「閣下、ご報告が…ケリー!どうしたんだ、こんなところで?はっ、失礼しました」


そんな時天幕に来客が来た。


誰だろうと覗き込むとリリーさんのお父様、トニオさんでした。


トニオさんは私の父を見付けると嬉しそうに微笑んだがすぐに公爵様に報告に来たのだと思い出し恥ずかしそうにしていた。


「構わん、話せ」


「ハッ!ミシェイラ候軍8000が到着したとのこと。現在、アーリン北東一キロの場所に待機中とのことです。」


「分かった。どれ、今アルデン伯の娘について話していたところだ。卿も加わるか?旧交を深めるのも大事だろう」


「それではお言葉に甘えさせていた「お久しぶりでございます。リリーさんにお会いしたいのですがどちらに?」だき…へ?」


私は公爵様の膝から降り立つとトニオさんの元へ猛ダッシュ、リリーさんの居場所を聞いていた。


「あぁ、リリーかい?それならここを出て左四つめの「ありがとうございます、失礼させていただきます」天幕だよってもう、いないや…」


場所を聞くと私はリリーさんの天幕へと駆け出しました。


直ぐに目当ての場所へ辿り着くと私はどうしていいのか分からなくなり右往左往してしまいます。


いざ会えるとなると緊張してしまい何て声を掛ければ良いのか分からないのです。


そんな時後ろから息を切らせて追い掛けてきた父が私に追い付き、頭を撫でてくれました。


「会いたいけど何て声を掛ければ良いのか分からないのだろう?お前が会いたがっている事も知ってるさ。だがそれとこれとは話が違う。…全く勝手に飛び出して。公爵様は笑って許してくれたが二度とするんじゃないぞ?」


と、父は叱るでもなく優しく私に言いました。


たまらなく自分がしたことの愚かさを呪い父に謝りました。


「ごめんなさい…」


「大丈夫、でももうこんな事はしちゃダメだよ?さっ、僕も一緒に行ってあげるから中に入ろうリリアナちゃんとお話するんだろ?」


「はい!」



私は優しい父に感謝し、今出来る精一杯の笑顔を見せた。




オリヴィエパパンの使いっぱしり+話途中に割り込まれるトニオさん不憫…


レインパパ、イケメンすぎる


レインが難しい言葉遣いをしているのは仕様です。

貴族令嬢なら高等教育くらいは受けてるかなと…

でも流石に七歳でこれは…と思うのですが、その辺は暖かい目で見守ってください、すいません



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