お嬢様は三才になりました
三年の月日が経った。
ずっとベッドでゴロゴロするかうたた寝をする退屈な時間が一年以上続き、歩ける様になっても部屋からは出してもらえなかった。
三才になり、やっと自由に動ける様になった私は父の書斎や物置部屋を遊び場にしている。
沢山の古ぼけた書物や魔導書、補修の後が残る歴史的価値のある書面に一通り目を通したけど、未だに文字が読めない。
私は魔法に興味を抱いていた。
火や水、風などを意図的に使える不思議な力。
そんなものがあるなら自分も使ってみたい!
わくわくするじゃない!
私は知識、情報を入手することを日課にしていた。
舌っ足らずな口調でメイドや両親に聞いてみて分かったのは、
私の名前はリリアナ・リモーネ・アルデンで、父はトニオ・ジェフ・アルデン。
ここ、アムスティア王国の伯爵家らしい。
まだ一度も外には出たことがないから見聞きしただけでちゃんと教えてもらってない。
もう少し明確な情報が欲しい。
勉強は四歳になってから始まるらしいから少しわくわくしている。
アルデン家の長女で一人目の子として生まれた私はかなり期待されており少し憂鬱なのもある。
けど両親は優しくて大抵の願いは叶えてくれるからそれが救いかも。
「お嬢様、こんな所にいては御体に障りますよ?」
メイドのジェシカが物置で書物を漁っていた私を見付け連れ戻そうとしている。
チッ…見つかったか…。
「ごめんなさい…。」
「分かれば良いのです。さぁ、お部屋に戻りましょう」
私は素直に謝るとジェシカに抱き抱えあげられ物置部屋を後にした。
ジェシカの胸に顔を押し付ける。柔らかい…。
前世の記憶が尾を引き未だ父親以外の男性に気を許せない私は女性に走っていた。
おっさんみたい…
なんて自分で辟易しながらもトラウマが過り、悲しい思いをするくらいなら…と甘えてしまう。
あと四日もすれば私も四才。
伯爵令嬢として教育が始まる。
そうすればあの書斎や物置にある本を読むことが出来るかもしれない。