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お嬢様は賭けに勝利しました


教会


正式な名称は決まってないが地方では聖光教、聖女教と呼ばれている。


その歴史は古く、人類が魔法を使う様になってから111年が経ち、大陸諸国が群雄割拠した時代、一人の聖女と呼ばれる女性の手で組織されてきた。


代々聖女を旗印とし、時を重ねてきて近年までアムスティア周辺諸国で信仰されてきた。

それが今から二千年も前の話である。


その歴史はアムスティアよりも古いがそれはここで言及しなくても良いだろう。


教会が何故唯一無二の宗教足り得るか。


それは治癒魔法が関係する。治癒魔法なくば現在まで信仰されることはなかっただろう。


それも初代聖女リカーナのお陰と言っても過言ではない。


彼女が居なければ治癒魔法は現在まで残されて居なかっただろう。


彼女について少し語ろう。


彼女には13人の子供がいた。その者達が大陸に散らばり母の教えを説いたのが、教会の始まりだった。


その子孫、そのまた子孫が子に教えを説き、現代まで根付き治癒魔法と経済の発展を促している。


また13人居る枢機卿の中から一人を数年に一度、教皇に推薦する。連続で任期を継続することは滅多にない。


貴族の利権や賄賂など政治が複雑に絡んでくるがそれは私の知ったことではない。


閑話休題、私は治癒魔法を使える者100名を枢機卿に貸し与えてほしいと頼んだ。


各枢機卿は治癒術が使える魔術師や薬術師などが二百人~三百人程度を部下に持っている。



治癒術師は教会にとっての切り札…それを貸せと私は注文したのだ。


「治癒魔法を使える者をですか?」


「はい、アルデン領に後方基地を設けるのです。負傷した兵を一人でも多く生き長らえさせるための方策です。私は現場にて指揮を取る。全ては王国の無垢なる民の為でございます」


これは私の本音だ。

戦争のない国で生まれた私からすればこの世界は驚きの連続で文化も発展度も全く違う。


医療に関して言えば治癒魔法が先行しすぎて医学などが全く発展していない。


私の実家は医者だった。田舎の総合医療院でそれなりに繁盛をしていたが私の父は優しすぎたのだ。人を信頼しすぎるとも言える。


多数の人の保証人となり、家庭はほぼ修復不可能、父は蒸発し母と二人で弟の光太、妹の瑠花るかの面倒を見てきた。


私は医者の道には絶対進まないと決めていたが、父の手伝いをしていたためそれなりの知識はあり、この世界と前世との医療発展度に驚きを隠せないでいた。


この世界での私の目標…それは医学の発展と重要性を説くことである。


やっと目標が出来た。

学校も作りたい、やはり文字や算術、常識などを教える場は必要だろう。その為には力が居る。何者にも脅かされないほどの強力な力が。


そして選んだのがジェネシス公爵家と教会だった。もし私の策が成功すればこれから長い付き合いとなるだろう。


また話が横に逸れてしまった。私はゲース卿の目を真っ直ぐと見つめる。やがてため息を吐いたゲース卿は口を開く。


「それは構わないです。が、それを行うとして教会にはどの様な利益があるのでしょうか?」


ゲース卿は治癒術師を貸し出し私がどの様なメリットを提示するのか気になっている様だ。


まぁ、それは分かる。自分の主張ばかり述べ、代償を確約する事をしない者の何処に信用が置けるだろうか?


普通なら怒り叩き返すくらいの事をしてもおかしくない。だがゲース卿は我慢し、私にきちんと尋ねてきたのだ。


彼がそれを聞いてきた理由も分かっている。困惑しているのだ。



「教会には少なくない喜捨を、ゲース卿には…そうですね。更に次の教皇への推薦など如何でしょうか?」


教会とゲース卿個人に私は利益をもたらすと伝えた。



「なっ…!そ、それは有り難いことではありますが、その…よろしいのですか?」


「ええ、もちろんです。けど私は次期当主としての地位はありますがなんの力もない小娘です。が、非力な私には相応の人脈があります。私のお願いならば聞き届けてくれるはずです。たとえばジェネシス公爵やアルフィード子爵家、ミシェイラ侯爵家、ソラージュ侯爵家でしょうか」


「そ、そんなに…!」


ジェネシス家との親睦はもちろんこれからの課題としてレインちゃんやアンちゃん、タニアちゃんの実家の名前を出した。


領地も近いし父との仲も良好だ。事後報告したとしても咎められたりはしない。


さぁ、ゲース卿、首を縦に振るのだ!貴公に残された道はこれしかないのだぞ!フハハハハ


などと頭の中で悪役ごっこをしていた私はゲース卿の表情の機微に集中していた。


最初は相手が子供だと侮っていたのだろう。だが私の言葉が真剣だと分かると彼の私を見る目から軽薄さが消えていた。


「分かり…ました。今回のお話、お受けしましょう。よろしくおねがいします」


…落ちたな。


彼は少し項垂れながらも弱々しく笑った。私は満面の笑みを浮かべ手を差し出す。


「ええ、こちらこそよろしくお願いします。後日こちらから使いの者を送りますので本日はこれで失礼します」


「送らせましょう」


「ではお言葉に甘えて」


ゲース卿が扉の後ろに控えているであろう従者に声を掛け私たちは教会を後にした。

平成最後の投稿です。

しばらく戦争の話が続きますので百合展開をご所望の方には申し訳なく思います。


粗方の道筋は出来ているのですが何分知恵と文章力が足りないためご迷惑をお掛けします。


右往左往しながらも令和という新年号の時代も頑張りたいと思います。


平成はお世話になりました。令和でも応援よろしくお願いします!

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