表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/232

お嬢様は王都に入りました

翌日。

昼より少し前に私達は無事王都へ着いた。


若い護衛の騎士が深酒したらしく道中馬上でリバースしながら来たというお約束以外は…



「あー腰痛い…」


私は門番が検閲している列に並びながら馬の手綱を握り南門前へ並んでいる。列はかなり長く百人は並んでるだろう。


アムスティア王国では安全の為に貴族でも例外なく列に並び身分証明してから王都に入るという昔からの習わしがある。


要するに貴族専用の門などはないのだ。


だけど緊急用の門もあってそれは北西側北東側南西側南東側の四ヶ所だ。

別に緊急じゃないわけだしゆっくり待つのもありだろう。


その待ち時間で乗馬により凝り固まった腰を伸ばしていた。


「大丈夫ですか?」


「うーん、ちょっときついかも」


二日間馬に揺られっぱなしだったので凝り固まった腰を伸ばしているとイレーネが心配そうに様子を伺ってきた。


あー治癒魔法とか使えたらなぁ…

書物を読んだ限りでは治癒魔法持ちの人間は教会にしか居ない。一万人に一人という確率だ。

アムスティアの人口は大体百万人、百人が治癒魔法を使えることになる。


平民の子供でも適正があると修行させると称して多額の金と引き換えに教会がスカウトに来る。

というかほとんど拉致に近い。

寧ろ村長やその地区の長が金欲しさに捧げる程だ。


それだけ治癒魔法には価値があり、使える人によって差はあるものの便利なのは確実だろう。


私が書物で読んだのは聖なる光を患部に当て傷の治りを早くすると書いてあった。

だが私は順調に魔法を覚えてきた中の経験則で抜け道があるのを知っている。

要はイメージで幾らでも創造できるのだ。


私には治癒魔法が使えるという確信があった。


早速この待ち時間で試してみよう。



まずは魔力を練ってみる。

自分の体内に流れる血を想像してそれをお臍に集めるイメージで。

更に周囲に漂う薄く弱い魔力を吸収し体内の魔力と混ぜ合わせる。


これが中々難しい。



少し時間は掛かったが何とか成功。

それを掌に集め患部に当てる。

今回の場合は腰と太股だろうか。

魔力を帯びた掌が淡く紫に輝いている。


まずは腰。

痛みを和らげる様にじっくりと時間を掛け癒していく。

段々温かさが伝わっていき痛みが薄れていく。


よし、成功だ!

もう一度魔力を練り直し今度は直接太股に掛けてみる。他から見たら太股が紫に光ってる怪しい少女にしか見えないだろう。

だが今は実験中、余計な事は考えないようにしよう。

私は試したい事があったので呟いてみた。


「【癒しのヒールライト】」


徐々に痛みが消えていく。

やはり魔法を詠唱すれば力が増していくのだろう。

先程は無詠唱だったが、痛みが和らぐのが早い。

成功だ。



「お嬢様!今のは?!」


「ごめん、イレーネ。このことは誰にも言わないでね?」


「わ、わかりました!この事は決して他言しません!」


誰かに言われたら私は教会に捕まってしまう。

そんな将来はごめんだ。

だから口止めをしておく。

ジョセフら騎士は前に並んでいるため見ていたのはイレーネとジェシカくらいだろう。


ジェシカは既に私より後ろに並んでいる傭兵だろう姿をした人に口止め料として銀貨を支払っているのが端目に見えた。


流石は有能なジェシカだ、後で治癒魔法を使ってあげよう。


こうして私は回復魔法を覚え、王都へと入ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ