お嬢様は女の子たちと遊びました
17人の子供を連れて空き部屋に移動し我が家の新しい家族、シャーリーと遊んだ。
トランプやジェンガのルールを教えつつグループで別れて遊んだ。
仔犬だが、シャーリーはやんちゃらしく子供達のドレスを噛んで引っ張ってははしゃいでいた。
「シャーリー、おいで」
今もドレスを引っ張られてる子供が泣きそうなのでオヤツを持ち助けに入る。
流石にお祝いしに来てくれてるのに泣かせて苦い思いをさせるのは嫌だから。
私はシャーリーを抱き抱えるとソファに座る。
隣にはレインちゃんと先程の茶髪の女の子…えっと、名前は確か…アデリナちゃんだっけ?
「アデリナちゃんも抱っこしてみる?」
「はい!うわぁ…可愛い!」
アデリナちゃんはシャーリーの頭を撫でながら嬉しそうにしている。
どうやら犬好きだが実家が男爵家で買う余裕すらないらしい。
話をしていて分かったことはアデリナちゃんの家は我がアルデン領の傘下で領内西側の村を三つほど統治している。
一緒に居た子達も似たような境遇で爵位が低いか文官、武官の子供達だという。
「アデリナ様、そろそろお帰りの時間でございます。玄関にてご家族がお待ちです。」
メイドさんの声に呼ばれアデリナちゃんはそろそろ帰る時間とのこと。窓から庭を見てみればすっかり日が暮れていた。
「リリアナ様、今日はお声掛け頂き有難う御座います。お陰でシャーリーを可愛がることが出来ました。」
少し寂しそうにアデリナちゃんはそう言った。私は手を取り目を見て声を掛ける。
「いつでもシャーリーに会いに来ていいからね?ついでに私と遊んでくれたら嬉しいな…!」
帰りの際私はアデリナちゃんにそう伝えた。少しおどけてみせるとアデリナちゃんと隣のレインちゃんが笑った。
今日レインちゃん達三人は泊りなので見送る側だ。
「是非遊びに来ます。もちろんリリアナ様に会うのが目的で、ですよ?」
「あははー、そう言ってくれると嬉しいな。リリーでいいよ?私もアディって呼んでいい?」
「はい、リリー様!勿論です。それでは名残惜しいですがそろそろ行きますね。お邪魔しました!」
うんうん、私と同年代なのにしっかりした受け答え。きちんと教育をうけている証拠だ。多分アデリナちゃん、ううん。アディの人柄もあるのだろう。
玄関までアディを送ると他の子もちらほら家族に連れられ帰っていく。私はホスト側なので彼らを見送る側である。少し疲れ始めたがやっとのことで他候爵家の人間が最後に帰ると残ったのはレインちゃん、アンちゃん、タニアちゃんの家族とマシューの実家ガーズ男爵家。今日は四家族がうちに泊まるのだ。色々な話し合いが行われるという。
マシューも家族と過ごせるのが嬉しいのかいつもよりにこにこしている。レインちゃんの様子を見るも今は何の影響もないみたいだ。
何故かたまにアツい視線を感じるのは勘違いかな?
しかも今日一日ずっとだ。多分人が沢山居たから私も疲れてるんだろう。
夕食は談笑を交えながらの楽しいものとなった。
大人はお酒を飲みつつ、子供は当たり前だがジュースだ。農村部では井戸の普及が追い付いておらず葡萄の皮が入った質の悪いワインを飲むらしい。
その方が安上がりだかららしい。
その辺も改善していきたいな。
何より子供のうちからお酒を飲むのは良くない。成育にも倫理的にも。
元日本人の私からすればだけどこの世界ではこれが普通なんだよね。
食後のデザートのアイスを食べ終えレインちゃん達を伴ってお風呂場に向かう。
ドレスを脱ぎ裸になって気付く…そういえば忘れてた…
私、タニアちゃん家で三人の裸を見て倒れたんだった…
レインちゃんが心配そうにこっちを見ている。
「?…どうかされたんですの?」
首を傾げそう問われる。
何この子?可愛い…!
「何でもないよ。さっ、お風呂入ろうか!」
「わーい、お風呂ー!リリーちゃん家のお風呂ってどんな感じなんだろー?」
「タニア、走ると危ない。転ぶよ?」
アンちゃんがタニアちゃんに注意を促すが聞く耳持たないと言った感じだ。
まぁ元気ならそれで良いけど。
その後何とか倒れずに入浴を済まし寝巻きに着替え軽い談笑を交えたトランプをしてそのまま眠りに着いた。




