お嬢様のランジェリーショップは軌道に乗りました
三ヶ月後。十二月になった。
雪までは降らないが悴むような寒さがアルデン領にも訪れる。
街で少し離れた場所に一軒家を借り入れ、制作に励んだ。
この三ヶ月で大分苦労したのはブラジャーのワイヤー部分とホックだった。
何度も試行錯誤した結果5ミリ程の針金で落ち着き、ホックはフロント式に決まった。
パンティの方は難なく製作が出来たのでほっとする。
元々針子として雇い入れただけあってマルーナ達は確かな腕を持っており細かな刺繍が得意らしい。
布を折り合わせて作ったメジャーを使い、女性がお互いの胸のトップとアンダーを測る…良いね!
まぁ製作段階で半裸の若い女性がお互いの胸を揉み合いながら真剣に悩む姿はごちそうさまでした!としか言えない。
大体統計でCくらいだったので二月までにA~Eの各サイズを量産し、それ以上の大きさにはオーダーメイドにするということになった。
実物見なきゃ分かんないしね。
その時は私もご相伴に与ろう…!ぐへへ
そして二月、ようやく開店の日を迎えた。
母上に完成品を渡すと凄く喜んでいた。
まだ24才だ、これの価値を知ったのだろうか父と深夜のプロレスごっこがより一層激しくなった。
暗くなったら寝る様な世界、深夜ではなく19時20時からおっ始めるのは勘弁して欲しい
母上の元へお茶会に来たご婦人方へ宣伝をしてもらい販売する事になったら是非に!と予約の声が殺到した。
この調子ならどんどん広まるだろう。
店舗はアルデン領都の大通りと外れに二つ構えた。
貴族と平民への配慮だ。
貴族には派手めな刺繍を凝らした商品を、平民には少し材質が下がるがフリルをあしらった可愛らしいものと分けた。
貧困層の女性も20人ほど雇い接客の指導をした。
マルーナと五人、コルトーに五人ずつ指導させて準備は万全。給与も平均より少し上+歩合制方式にした。
残りの10人はアリューに針子見習いとして付けた。どんどん量産してくれるはずだ。
これで店員達のやる気も上がるだろう。
制服も前世のデパート店員を意識した地味だが上品な感じのものを貸し与える。
お客にブランドイメージを植え付けるためだ
子供用のスポーツブラも作ったから買い物したご婦人方も娘のためにまたご来店してくれるはずだ。
人件費、材料費、労力費に少し上乗せした価格で売っているが飛ぶように売れている。
平民向けの店も徐々に人気が出てきたのかこれから人が増えるだろう。
安全面も考慮した。
女性ばかりの店なので少し離れた所に衛兵の屯所を配備しもしもの時に備える。
更にバックヤードに出入り口を設置し危険と判断した際はすぐに逃げられる様考慮した。
まだまだ売り始めたばかりだが経営は軌道に乗っている。
下着は消耗品だ、一定の期間でまた買ってくれる。
半月ほどして元々カボチャパンツを売っていた衣服店の店主などが抗議に来たが子供用の下着と男性用の図案を大金と引き替えに売ると大人しくなった。
これなら客層が被らない、私もほっこりだ。
これなら父も功績として認めてくれるだろう。
私はニンマリ笑って父の元へ向かった。




