お嬢様はさっさと功績を残すことを決めました
あれから二週間、私は何か自分でも出来る功績の作り方を模索していた。
何が出来るだろうか…
思い付いた限りではーー
1平民に読み書き算術を教える学校
2下着などを作る会社
3貧しい人向けの雇用
4病院
くらいだろうか…
1はすぐには無理だろうな。
建物の確保や教員の雇用など準備するものが多すぎる。
知識は貴族や富裕層の特権という先入観がある。
まずはそこから変えねば…
2はそろそろ手をつけないと将来私が困る。
うーん、3は私の(ほぼ私物化した)商会で雇い入れれば何とかなるよね。
今の私なら低賃金ではなく適正報酬も払えるし。
視野に入れておこう。
4は論外だ。そもそも治療は教会の主な収入源。
魔法を使える人は少ないが薬草の配合など秘匿している部分が多すぎる。
そもそも回復魔法なんて便利なものがない世界。
使えるのは精々百年に一度現れる聖女様くらいだろう。
けど、ちょっとした怪我は治せても病気までは治せないんだよね。どうしたもんか。
私は悩んだあげく、とりあえず下着の製造と貧困層の雇い入れから始めようかな。
1と4は後回しだ。
考えが纏まった私は爺やを呼びつけてまずは針子として働いてくれる女性を三人ほど探してもらった。
元々ここはギャルゲーの世界男女比は3:7
女性の方が圧倒的に多い。
一週間後、爺やに頼んでいた針子として働けそうな女性が私の前に緊張した面持ちで立っていた。
「マルーナです。よ、よろしくお願いします!」
「コルトーです」
「アリューです」
少し綺麗な服を着たマルーナという女性が口を開くのを皮切りに挨拶が始まった。私も挨拶を返す。
「アルデン伯爵家令嬢リリアナです。これからよろしくお願いします。」
私は頭を下げ挨拶する。爺やや他の三人があわあわしだした。ん?私何かやった?
「お嬢様、伯爵家の令嬢が平民に頭を下げるなぞ、あってはならんことですぞ?」
爺やはこの世界の常識を平然と言っただけだ。
貴族の考え方では間違ってはいない。
だけど私にも思うことはあった。
「いいえ、初対面とは言え仕事を依頼する立場なのはこちらです。真摯な態度でアルデン家の名に恥じぬ様接するのは当然のこと。爺や、口出しは無用です。」
日本生まれの私としては挨拶などは大切にしたい。
礼節を持って接するのは当然のこと。
私は強く爺やを呵責した。
「失礼致しました。この老い耄れめは邪魔の様ですので表に立っておきましょう。ジェシカ、イレーネ、お嬢様をしっかり支える様に!」
「「畏まりました、オースティン様!」」
爺やには何をするのかジェシカを伝って既に話している。
紳士的な人だけど女性の下着に関しては気まずい話題の様だ。
「それでは仕事の話に入りましょう。私は女性の下着の在り方に疑問を抱きました。そして思ったのです。こんなカボチャの様な大きなパンツはおかしいと…!正直言って可愛くない!同時に『もっと女性には美しくなる権利がある』と!皆さんには力を貸して欲しい。そして私と一緒に多くの女性を美しくしてみませんか?私たちは美の革命者となるのです!」
私が手書きで書いた図と、信頼出来る職人に頼み、作った試作に作った実物を見比べながら話を聞いているマルーナ達三人。
中々の食い付きようだ…!
私は見えないようにニヤリと笑った。
子供らしい面と熱く語る面を全面に押し出した結果。
この場に全員が私を羨望の眼差しを向けた。




