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お嬢様の婚約者候補が来訪しました

私は今少し困っていた。


ひっきりなしに五歳~六歳児を連れた貴族が毎日のように私を訪れる。


少しでも心証を良くしようとするためか宝石や花束を渡されてはそれを突き返す日々。


私を褒め称える文言はもはや呪いの言葉にしか聞こえない。


そう、婚約者問題である。


そんな日々に辟易して私は父に約束を取り付けた。


私が学園を卒業するまで婚約者を決めないこと。


その条件として、


何らかの功績を残すこと


五百億リールを稼ぐこと


である。


元々立派な祖父母に集って甘い汁を吸おうとしている有象無象ばかりである。


これで遠ざけることが出来るのなら願ったり叶ったりだ。



父がその前に暴走し婚約者を連れてきたのならば私は家を出ると宣言している。


お菓子などの収益がかなり手に入っているから普通の生活ならやっていける。


しかし、祖父母との約束があり十歳までは家に居るという条件付きだが…


「お嬢様、ご当主さまが応接室からお呼びです。」


夏も過ぎ去り涼しくなってきた頃、私の部屋にメイドさんが来た。


またか…


「あの…行かれなくても…?」


全裸にシーツだけ纏ったイレーネがそう呟く。



チッ…折角の楽しみを邪魔しやがって…!


あのちょび髭種馬…下らない理由だったら木刀で殴ってやろうかしら…。



ぷんぷん…!


「少し行ってくるわ。それまで服を着て待っててね。」


ほっぺにキスをしてイレーネから離れ、応接室に向かった。



「リリアナです。お呼びですか?父上」


応接室をノックして中に入るとそこには父に似た男の人と男の子が居た。



「おお、リリアナ。この人は私の従兄弟でジョージだ。それとその子供のマグメル。」


中に入ってそうそう、ぎょっとしていた私に父が二人を紹介する。


この種馬は約束を守ることも出来ないのだろうか?


「初めましてトニオの娘、リリアナです。以後お見知りおきを」


「ベープ侯爵家ジョージの息子、マグメルです…!あの、えっと…!」


教わった挨拶をすると父もジョージも嬉しそうに頷いた。


マグメルはもじもじとしだした。


五歳くらいの金髪おかっぱ。

顔はまぁ可愛らしくはあるが、私の好みではない。

というか私の好みは女性だ。


「このジョージは侯爵家の当主でな。是非リリアナとマグメル君を婚約させてくれないかと相談を持ち掛けてくれたんだ。」


私は父をにらむ。目線を反らされた。


こいつは娘との約束も守れないのか。


このちょび髭が…!!


怒りを通り越して呆れた。


私の楽しいメイドさんとの生活も終わってしまう…


だが、ここで屈してなるものか!


「父上、その話はまだ早いと決めたではありませんか!約束の反故と受け取ります。ですので五年後には家を出させていただきます。今すぐと行きたい所ですが、祖父母との約束があるので我慢します。この後剣術の稽古があるので私はこれで。ベープ侯爵様、マグメル様失礼致します。」


父に約束が破棄されたことを伝え私は十歳で家を出ることにした。


これは前々から決めていたことだ。


「あ、おいリリアナーー」


私はそのまま部屋を飛び出した。



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