お嬢様はアイスを作りました
「ふふふんふーん」
イレーネを可愛がった後、私はご機嫌に食堂へ向かった。
お腹空いたなぁ。こう暑いと食欲も失せてしまう。
時刻は昼下がりくらいか。
氷像は記念にそのまま顔を削り取り庭に放置してきた。
この暑さならすぐに溶けるはずだ。
軽い昼食を取った後、折角氷魔法があるんだからアイスを試作しようと考えたのだ。
「えーっと…確かリンゴジュースとブドウジュースがあったような…」
冷暗所の床収納に昨日作ったやつが残ってたはずだ。
床収納は私が氷を作り出し敷き詰め、冷やしてるからまだ飲めるはず。
簡易冷蔵庫代わりである。
何故か私が作り出した氷は溶けにくいのでたまに交換すれば排水の事を気にせずに使えるのが便利。
屋敷の料理人達も大助かりである。
まぁ、溶けてもまた凍らせるか、集めて球体にして庭に放置すればいいのだが。
私はジュースのグラスに注ぎ手頃な長さの木の棒を入れて凍らせた。
おっやつーおやつー!
そういや六年ぶりのアイスだなー!
えへへ、少し懐かしいな。
いただきまー…
ガキンと音が鳴り私の乳歯は弾かれた。
痛い…
どうやら凍らせ方の調節を間違えた様だ。
次は失敗しないんだから…!
もう一回!
今度は凍らせ過ぎない様に徐々に徐々に…
おっ良い感じ…!
ちょっと味見をしてみようかな。
うん…!美味しい…けど、何か足りない…
うーんなんだろ?
あ、そっか!甘さだ!
私は解決策を思い出すと早速鍋を取り出す。
そこに大量の砂糖を弱火で水で溶かしシロップを作る。
あー、魔法って便利だなぁ…!火力調節も思い通りだし。
けど前世の方が楽っちゃ楽だよね。
ガスコンロとか冷蔵庫とかあるし!
カラメルにまでするつもりはなく焦がさないよう注意し、瓶に移して冷却。
それをジュースに混ぜながらシロップの分量を調整し、味見しては水でうがいし確かめる。
うーん、大さじ二杯くらいが私的には丁度いいかな。
念のため分量を分けといて正解だった。
私は全てをボウルに移し味を統一させる。
そこで味見…甘過ぎる。少しジュースを足して調整。
おっ!このくらいで妥協しようかな。
私はジェシカ達残ってるメイドを全員呼び出すとシャーベットを分け与えた。
皆食べたことない食感にびっくりしてたけど美味しそうにしてたから良いかな。
その夜トイレに駆け込むメイドが急増した。
冷たいものは程々にしないと…やらかしました…




