クーロン王家
王城に到着するとパーティ会場とは反対の方に案内詐される。どうやら先に王家の面々とご対談、ということらしい。うへぇ…まぁ、良いけどさ。気苦労が多くて疲れるんだよねぇ。まぁ感謝されるだけなら良いんだけど無理難題とか押し付けられたら堪ったものじゃない。その時は丁重にお断りしよう。
「こっちですわ!」
メイリーの引く手に釣られ私は後を追い掛ける。家令のゴードンは常に微笑みながらも体をブレさせずに早歩きで私の一歩後ろを磁石みたいに着いて来る。何これ、軽くホラーなんですけど!?じゃなくて も何か武芸を嗜んでるっぽいな。手合わせ…とか、お願いできないかな?
「ゴードンさん、もしかして何か武芸をやっていたりしますか?」
「はい、剣に槍、弓、徒手空拳などを少々。まぁ護身の域を出ませんがな。仕事柄、要人警護をしますので。」
「おぉー!もし良かったら手合わせ、出来ませんか?」
「ほっほ、わたくしなんぞセンティス伯爵様の足元にも及ばないでしょうな。ですが…わたくしも武を志す者、是非ともお願いしたいですな。」
「いきなり手合わせを願うなんて考えが蛮族ですわ!ですけどゴードンはとーっても強いのですわよ!クロッカスの師であり、元王国騎士団長なのですわ!」
「引退して長いですが、まだまだ若い方には退けを取りませぬぞ!」
ファッ?!元騎士団長?それじゃ強いのは当たり前…なのか。というかクロッカスの師っていうのも頷ける。彼自身決して弱くない(普通の武器で五分五分か私が少し上くらいだ)し、ゴードンさんの持つ闘気というか常に魔力を全身に纏わせて不意打ちに対処する為だろう魔力鎧は私の放てる最大限の魔法に一撃なら耐えそうまである。
「じゃあ明日の朝にでも如何でしょうか?今夜は部屋を用意して頂いているので夜明けの…そうですね、朝食前などどうでしょう。もちろんゴードンさんの都合に合わせますが。」
私自身かなり手合わせしたい欲が強いので少しがっつくのは仕方ないだろう。ゴードンさんは苦笑しながらも、手隙になる昼頃ならばと快諾してくれた。
そうこうしている内に奥まった場所にある部屋の前に到着する。クーロン王家の私室、つまりメイリーの家族がここで私を(正確にはナーナも含まれていたのかも知れない)待っているのだろう。メイリーが軽くノックして扉を開くと中央に三十代後半くらいの男女が、その周りにメイリー似の女性が二人に、メイリーをそのまま幼くした少女が一人の合計五人がソファに座り語らっていた。メイリーも含まれるけど皆際だって美形揃いだ。
「リリアナ様、こちらが私の両親と姉妹達ですわ。あれ?何を驚かれていますの?」
私の驚きはメイリーと同世代の少女が二人…メイリーが三つ子だったことだ。指摘され直ぐに気を持ち直すと私は頭を下げ礼をする。私が膝を着くのはアムスティア王国国王レオンハルト陛下のみだ。え?私が忠誠心持ってるのかって?失礼な!これでも一国に仕える伯爵なんだからそれくらいはありますよ、プンプン!私の領地って下手したら王都より発展してて人口も増えてきてるし、下手したら王国の総戦力を軽く凌駕してるし一国を攻め落とすくらいならチョロいと思うけど、そこに他意はありませんっ。えぇ、多分きっとメイビー。。。
「お初にお目に掛かります。アムスティア王国伯爵位を拝命しているリリアナ・アルデン・センティスと言います。略式の礼にて失礼致します。」
「うむ、よい。余がクーロン国王ゴライアス四世だ。此度は我が娘メイリーを助けて頂き非常に感謝している。それだけでなく小国連合を弱体化し、剰えその土地までも我が王国に併呑させてもらった。これで心置き無くガルム帝国と魔王軍に集中出来る。そして我が国の英雄クロッカスとその部隊を魔王軍の策略から救ってくれた事についても感謝している。どうだ?我が国に仕える気はないか?侯爵位と小国連合の土地を丸々くれてやるぞ?」
にやりと笑うゴライアス国王。あー…ジョセフが若い兵を稽古する時こんな顔してたなぁ…冗談ぽく言ってるけど、ガチなヤツっぽい。…うん、丁重に断ろう。
「いえ、本国に帰る途中の道中、偶々の事で御座います。士官のお話もありがたいですが、何分我が忠誠はアムスティア国王レオンハルト陛下にあります。申し訳ありませんが辞退させていただきます。」
「むぅ…そうか。ならば他に欲しい物はあるか?余の出来得る範囲でならば願いを叶えてやろう。」
「そうですね。……それについては少しお時間を頂けないでしょうか?」
少し考えたが、直ぐには思い付く筈がない。一旦保留にしたいな。
「もちろん今すぐにとは言わん。先ずは今夜ゆっくりと旅の疲れを癒すといい。三日後には国に帰ると聞いているがそれまでに言ってくれれば構わん。…さて、そろそろ余は準備があるので失礼する。今宵の宴でまた会おうぞ。」
「フフフ、失礼しますわね。小さな英雄さん!」
イソイソと出て行くゴライアス国王と王妃を見送るとメイリーが私を抱き上げる。すると似た顔のお姉さん二人と妹らしき少女も一緒に私を抱き上げた。というか腕やら足を引っ張られ半ば取り合いの様な形になっている。
「すごいすごーい!こんなにちっちゃくて私より幼いのに父上に怯える所かきちんと返事するなんて。ねぇ、メイリーお姉様!私もアムスティアに行きたいッ!リリアナちゃんに興味あるの!」
「ダメよ、ロナリー。貴方は再来月ジーン公子の元へ嫁ぐのよ?将来の女王としてここは私が後学の為…」
「お待ちになって、アメリー姉様!それこそ問題でしょう!姉様はお城に閉じこもってお勉強をしないといけないわ!だから可愛い妹のメイリーのお世話は妹であり姉の私、クレミーに任せて!」
「ちょっと三人共!リリアナ様に対して失礼ですわよ?ほら、いつもの様に蛮族っぽく返して下さいな!」
「グヘヘ、お嬢ちゃん達そんな乱暴にしたら乱暴しちゃうぞ?」
メイリーのリクエストに答えてなるべく低い声でそう告げるとメイリー以外の三人の手が離れる。不思議と私を見つめる視線が冷たく感じたのはきっと気のせいだろう。
「オ、オホン!リリアナさんが変人なのは今に始まった事では無いですわ!さぁ招待客の皆様もお待ちしておりますでしょうし、そろそろ下へと参りしょう?ね?姉上方!」
「そ、そうね!メイリーの仰る通りだわ!それに先程アムスティア王国の王妹御一行が城に到着したと報告があったの!大切なお客様をお待ちさせるのは心苦しいわ!」
「あー、ねえねえ。メイリーさんや。あのね、さっき私が乗って来た飛空艇なんだけどさ…」
マシュー達が来た事も一応報告しておいた方が良いよね?一応ユグドラちゃんって公爵家の当主だし、他にも上級貴族の令嬢が十人…黙ってた方がヤバいかも。(私、ナーナ、マリアンヌを抜いた数)
「ん?それがどうか致しましたの?確かリリアナさんの弟さんが迎えに来たとか。」
「あーやっぱり知らないよね?えーと、その同行者に上級貴族の子女が全員で十一名。その中には公爵家の当主もいるんだよねー。一応報告しておこうかと。」
「……?……はァア?!何故それを先に伝えませんの!ーーーそこの貴方、直ぐに木漏れ日の祝い亭に連絡を!アムスティア王国からのお客様達を直ぐにお呼びして!」
「あ、待ってメイリー!私から連絡してみる!突然行ったら騒ぎを起こしそうな人が居るから先に伝えておくべきかな。」(マシューとか、モガとか、ユグドラちゃんとか…あ、レインも原作ではヤンキーって言われてるだけ有って納得がいかないと暴れそうだな。)
「へあ?!」
「マシュー聞こえる?ーーそう、皆に伝えといて。直ぐに迎えが行く筈。正装に着替えて指示に従って王城まで来なさい。着いたら連絡する様に…以上!ーーふぅ、これで大丈夫だと思うよ?」
「何ですの、その魔道具は?!!もうッ!ダブル驚きですわ!!」
あはは…またやらかしたっぽい?
大変遅くなりました…纏った休みが取れましたので投稿します。次回は来週末投稿出来るかと…頑張ります…!
最近寝る前に淫夢動画を見るのが細やかな楽しみです…
一応クーロン王家の姫さま達纏め出しときます。
アメリー 三つ子の長女 次期女王 婚約者は帝国の第三王子だったが情勢が安定せず白紙になった 自分に厳しく他者に甘い性格 元騎士団所属
クメリー 三つ子の次女 自由人 夜な夜な城を抜け出ては下町で飲み歩いてる為情報通 百合っ気あり
メイリー 三つ子の三女 ですわの子
ロナリー 末っ子 唯一婚約者が居る勝ち組 好奇心旺盛




