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銀虎団を追え!!

おはようございます。テンカに忍術を習った翌日、私はお昼前に目を覚ます。

明日にはコッペリオンを発ち、クーロンへとクロッカス中隊と共に向かう。

体調を調整しとかないと寝坊は恥ずかしいぞ…受付併設の食堂へと移動するとボストンが私の姿を見つけ駆け寄って来る。


「ん?リリアナ様遅い起床で。お身だしなみを…お客人です。」


「うぃー…」


まだ眠気の残る頭で声を絞り出すと、私は宿裏の井戸で顔を洗い、そこではたと気づいた。忍び装束のままじゃん!寝巻き忘れてきたぁ!うーん…まぁ、いっか。客人だってボストンが言ってたし、さっさと着替えてこよ。

というかボストンの口調が変だった様な…



着替え終えた私はもう一度食堂へと行くと商人と思しき女性と話し込んでるボストンへと近付く。あれ?リモーネ商会の…なんて言ったっけ?えーと…


「あぁ!シュカさん!」


「おはようございます。リリアナ様!先日は当商会にてご購入有難うございます。」


「いえいえ、随分と待たせてしまった様でごめんね?昨夜色々あって…へくちっ!」


そう、本当に色々有った。滝行したり、壁走ったり、巨大猪倒したり…


「リリアナ様の様な高貴な身分のお方ですもの、多少待たされるのは構いませんわ。それより本日お伺いした用件ですが、ご注文頂いた馬車の納品に参りました。それから何点か旅に役立ちそうな魔道具も持ち寄りました!」


「おぉ、待ってたよ!ありがと、シュカさん!これで快適な旅が出来そう!」


「お嬢様、俺は…?」


「適当に暇潰してたら?ほらいつものように飲み歩いて来なよ!」


「そんなご無体な…」


「頭でも打った?少し変だよ?あぁ、シュカさん、私の部屋に移動しよっか?魔道具も見せて見せて!」


「はい、分かりました!」


私の部屋に移動した後、私はベッドに腰掛け、机を挟みシュカさんと対峙する。


「ではまずこちらーー」


シュカさんが持って来たアイテムはどれも良く考えられていて優れた性能のものだった。


例えばテント。魔物避けの香は常備で侵入者が半径二メートル以内に近付くと警戒音が鳴る優れ物。女性が多い私達には何かと重宝するだろう。お値段金貨一枚と銀貨三枚。


「買います!」


即金で支払い、マジックバッグの中に収納。次に見せてくれたのはおまるの様な物だ。


「旅先でのお花摘みは色々と不便がございますよね?ですが!これひとつで全て解決してしまうのです。」


下世話な話、旅先で一番困るのがお花摘み…つまりお手洗いだ。男ならその辺で済ませれば良い話だが女性はそうはいかない。これまでは私が土魔法で穴と壁を作りそこで用を足していた。


「消臭、消音、自動隔壁、自動洗浄、焼却などこれ一つで全て行ってくれるのです!お値段は金貨五枚となります。」


それは凄く助かる。金貨での取引が生じるので、念の為私の部屋に移動しておいて良かった。花も恥じらううら若き女性の口から出てはいけない言葉が飛び交う部屋で私はスッと提示された金貨五枚を差し出した。


「有難うございます!続きましてーー」


その後も昼食を挟みつつ商談は続いた。


馬用の自動で水が貯まる水桶、自動で加熱貯水するバスタブ、生ゴミや残滓などを処理してくれるゴミ箱。etc...etc...


その他に、人数が増えたので少し型の古い商業馬車をもう一台、牽引するゲイルホースを二頭追加で購入して総額金貨二十枚程を使い、げんなり顔の私。いや、必要経費であり、まだまだお金は有るんだけどね。


「お買い上げ有り難うございました。それと…これはまた別の相談なのですが…」


すわ、まだ毟り取る気か?と身構えたもののそうでは無くシュカさんは沈痛な面持ちで打ち明けた。


「その…先程、リリアナ様の騎士ボストン様からお聞きしたのですが、クーロンへと向かうのですよね?私用では有りますが、クーロンには実家があり、両親は既に天へと旅立ちましたが妹が居まして…手紙を送っても二か月程返事がなく心配で…宜しければ私も旅にご同行出来ませんでしょうか?」


ボストンが騎士?いや、それは後でボコすとして、同行かぁ…

まぁ十人超えてるし今更一人増えた所で別に構わないか。

あぁ…分かったボストンの奴、シュカさんの気を引く為に変な口調してたのか…

身分まで偽って…よし、決めた。ボコにしてやんよ!

身分詐称は大罪だ、地獄の三丁目ツアーにご招待しよう。


「分かった。詳細はこの後話すけど、明日の朝に旅立つけど、大丈夫?」


「ええ、既に仕事は終えており荷物などはマジックバッグに纏めておりますので。」


「じゃあ出来ればここの宿を取って欲しいな。お金は出すからさ。」


「そうなるだろうと、ボストン様に助言されたので既に支払いをしております。勝手をしてしまい申し訳ありません…」


「いやいや、助かるよ。ボストンも偶には役に立つじゃない。あー、もうこんな時間か、この後少し用事が有るんだよね…」


「では私はお暇させて頂きます。明日からも宜しくお願いしますね!」


シュカさんがとびきりの笑顔をして私の部屋を退出する。ボストンだったら心臓止まってたんじゃ無いかな?


「さて…ギルドに行きますか…!」


私は身支度を始めた。




懐中時計を見ると午後二時頃、私はギルドに到着した。

そのまま依頼掲示板を見ていると見知った顔が話し掛けて来る。


「リリィじゃない?これから依頼でも受けるつもり?もう昼過ぎよ?」


「あ、ドロシー!うん、ちょっと気になる事が有ってねー。もやもやするからスッキリさせておこうと思って。」


えーと…お、有った有った。


【銀虎団を追え!】 受注可能ランクD〜 報酬銀貨三枚〜

依頼者 コッペリオン衛兵隊

依頼内容

コッペリオンの街に義賊を名乗る不届き者、銀虎団が出没している。これを捕縛、又は討ち取って欲しい。幹部クラスには懸賞金が設定されているので別途支払われる。詳しくはギルド受付か衛兵隊詰め所にて説明を受けて欲しい。


「何?義賊?」


「そう、一昨日親切な衛兵さんと知り合ってね、その時教えて貰ったんだ。」


「ふぅーん、それ私も連れて行きなさいよ!シズとレイアが下の子達に訓練を付けてて暇なのよ。」


「訓練?」


「そう、旅に出るんだから自衛の術くらい習うべきだってシズが言い出してね?レイアも同調しだして、私は蚊帳の外。お陰で退屈なのよ。」


「ふーん、そうなんだ。じゃあ一緒に行く?」


「お願いするわ。」


「分かったー!あ、お姉さん!この依頼なんだけどーー」


そのままの流れで受付のお姉さんに依頼内容を確認した。


受けた話を要約すると被害は全部で四件。

これは衛兵から最新の情報を受け取っているので間違いないと言う。

また奇妙な事に

【驕る天に飢えた虎が地を駆け罰を与える】

というメッセージカードが犯行現場から発見されていると言う。

被害者は全員貴族、何処もそれなりに贅沢をしている貴族らしく、町民からの評判も悪く、受付のお姉さんも微妙な顔をしていた。そして銀虎団幹部の手配書ビンゴブックを見て私は驚いた。


「な、な、んなぁ!ナナリアぁッ?!」


そこには腕を組み不遜な顔をした祖国の第三王女の顔写真と名前が載っていたのである。


ナナリア•アムスティア、私の可愛い妹分だ。

二つ年下で今は十三才になるかならないかくらいの年である。

そんなナナリアが何故こんな異国の地で盗賊紛いの事をしているのか…これは解決せねばならない。


「どうしたの?突然叫んで…」


「あ…えっと、うん…ちょっと知り合いに似ている人が居てね、それでびっくりしただけだよ…」


「…?とりあえず、情報を集めましょうか?こういう奴らは貧民街に隠れてるって相場が決まってるのよ!」


「あ、はい…」


スタスタ先を行く頼もしい鳶色の羽根を生やした少女に続き、貧民街へと向かう。

途中、嫌な視線を感じたが、振り向くとその視線は消えた。

が、しばらくするとまた視線を感じる。


あー、これ…もしかしなくても、ナナリアかも…

ストーカー気質で素直になれないあの子の事だ、私が一人になるのを待っているのかも知れない。


「ドロシー、ごめん!少し外すね?ここで待っててくれる?」


「え?まぁ別に良いけど。じゃあその辺の人に聞き込みでもしてみるわ!」


「あまり遠くに行っちゃダメだよ?情報をあげるからって言われて変な人に付いて行っちゃダーー」


「ダァッー!何で私が子供扱いされる訳?!まだ貧民街の手前だし私はもう成人してるから大丈夫よ!」


「ごめんごめん…!じゃちょっと行って来るね!」


ドロシーと別れ、私は路地裏へと進んで行く。暫く待っていると一人の少女が姿を現した。


「リリィ…お姉ちゃん…?」


「そうだよ、ナナリア。久しぶり!背、伸びたね。剣の修行、今も続けてるのかな?あはは、そしたら今の私じゃ敵いそうにないね!」


「い…ぎでた…!やっばり…!!」


私の前に姿を現したのは私の知る姿より少し痩せこけ、粗末な革鎧に身を包んだ泣きじゃくるナナリア•アムスティアその人だった。

ナナリア再登場!!

この先もメインヒロインはちょこちょこ出てくる模様。

貴方のお気に入りのメインヒロインはいつ出て来るだろうか…感想頂ければ登場するかも?!(露骨な感想稼ぎ


二百話では記念SSを書こうかなと考えているのでそちらも募集しています!宜しければ感想欄にどうぞ!

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