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マルバラへの帰還

マルシェラちゃんの私室にて荷物を纏めた私達はマルシェラちゃんの《お友達》のシャドウリンクスのみぃちゃんに跨がってマルバラへと戻った。



シャドウリンクスとは闇系統の魔法が得意な大きな山猫で、階級はBランク相当。


中々の強さを誇る魔物である。


他の魔物は【あの方】の息が掛かっていると私が判断して置いてきた。


だがこのみぃちゃんは違う。


みぃちゃんはシャドウリンクスの希少種で毛並みが白く、孤立していた所をマルシェラちゃんが保護し、育てたという話を道中聞かされた。


なので、【あの方】の息が掛かっている可能性が低いと判断し、私自ら魔力を流し安全だと判断したため連れてきたのだ。


個体としては同種よりずば抜けていて、私の感覚ではAランクくらいは余裕であると思っている。


そんな魔物を操っているマルシェラちゃんの魔物使いスキルも大したものだ。


「なぁなぁ、リリー!町ってウチ久しぶりや!この格好変やないかなぁ?」


「そんなことないよ?とても似合ってる!」


パジャマから着替えたマルシェラちゃんは麦わら帽に桜色のワンピース。


長袖のシャツを羽織っていてとても似合っている。


はしゃぐ姿はリビーを彷彿とさせた。


「ホンマかなぁ?あぁー、どないしよ!テンション上がりすぎてウチ、可笑しくなってる!」


町が見えてきてテンション高いマルシェラちゃんを宥める。


「大丈夫、大丈夫。さっ、もうすぐ着くよ?一旦シャドウリンクスを停めて私が先に行くから少し待ってて?いきなり魔物に乗って現れると町の人がびっくりしちゃうから。」


「わかったわ、はよぉ来てね?」


「うん、行ってくるね!」


私はさっとシャドウリンクスから飛び降りると町へと駆け出した。


まだ残存していた魔物を切り捨てながら進んでいくと指揮を取っていたダリアを発見したので、近付いて声を掛ける。


「ダリア、ただいまー!」


「うぉっ?!新手か…じゃなくて、リリー!心配したんだよ?」


「ごめんごめん!スタンピードの大元が解決したから戻ってきたぁー。ーーー町は大丈夫そうだね?」


「あぁ、あんたが居なくなってからギルマスが躍起になってねぇ。駐屯してた騎士団長に協力要請をあっという間にしたと思ったら前線でバリバリ魔物を倒してたよ。」


「おぉー、ランゼやるじゃん!んで、そのランゼは?」


私は周囲を見渡すもランゼの姿は見当たらなかった。


「今は魔力切れで町ん中でぶっ倒れてるさね。顔を見してやったらどうだい?酷く心配してたさね!」


「んじゃー、ちょっと行ってくるー」


「あいよー、あんたが後ろから大物をバタバタ倒してくれたお蔭で残りは雑魚ばっかりさね。こっちは任せな。」


ダリアと別れ、あちこちにいる怪我人を治癒しながらランゼを探し、私は町の中へと入った。


ランゼは町の中央広場の天幕で寝ていて私は近付くと水の玉を寝ているランゼの頭で破裂させた。


「ーーッ!冷たッ!…ってお嬢様ですか…心配しましたよ?」


「んー、ごめん。ねぇ、ランゼ!魔物を連れて町に入るにはどうしたらいいかな?」


「いきなり何を?まぁ、そうですね。お嬢様ならダンジョンボスをテイムするくらいしそうですが…基本はギルドで販売している従魔用の首輪をしなければ町には入れませんね。」


「それ、ちょーだい!」


「え?いきなりですね…たしかギルドに在庫があったかな…かなり希少なものなんですが…」


「いいじゃん、そんくらい!ケチー!」


「はぁ…分かりました。後で門前にギルド員を遣わせますので、門前付近で待機していて下さい。」


「ランゼが話の分かる人で私は嬉しいよ!じゃあねッ!」


私は天幕を飛び出してマルシェラちゃんの待つ場所へ向かった。




「全くあの方は…本当に変わらない…!嬉しい様な悲しい様な…不思議な気持ちだ。」


ランゼの呟きは風に掻き消されたのだった。

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