突然の別れ
「カハッ…姉さん!マリアンヌさん!」
意識を取り戻した僕は姉さん達を探して視線をさ迷わせる。
居た!マリアンヌさんが姉さんを抱え、必死に回復魔法を掛けている。
自らを省みず懸命に処置するその姿は正に聖女だと僕は場違いな感想を頭の中で思い浮かべて直ぐに払拭し、マリアンヌさんの元へ駆け出した。
ファルシオンが途中倒れていたが、僕は「ごめん」と一言呟いてその脇を通り過ぎた。
ファルシオンはヒヒンと力なく鳴き、まるで私のことは良いから行ってあげなさいと僕の背を押すように嘶いた。
「マリアンヌさん…?姉さん!?」
「ガハッ…ハァハァ…」
姉さんが息を吹き返した。
マリアンヌさんは…呪文過剰詠唱状態に陥ったのか、それとも体が自己防衛状態になったのか意識を失った。
「マ…シュー?」
「姉さん!僕は側にいるよ!」
「【広域回復】ハァハァ…あんたはマリアンヌ…を抱えて…ここを離れなさい…!私が決着を付ける…!」
「そんな…!僕はまだ戦えーー」
「良いから…行きなさい!お姉ちゃん…を困らせ…たいの?」
「姉さん…」
姉さんはゆっくりと立ち上がる。
ヨハンの自爆を近距離で食らって、死の淵から這い上がっても尚、姉さんは戦うと口にした。
僕は自分の無力さを呪う。
それでも、今は姉さんの指示に従おう。
「分かったよ、姉さん!僕はここからーー」
「おいおい、俺様がそれを許すと思うか?甘い、甘すぎるぜ!嬢ちゃんよぉ!」
「うる…さい、邪魔…するなァ!」
姉さんはフラフラとよろめきながらもゴッサムを力のみで押し返した。
「ハッハッハァー!良いねぇ、良いねぇ!嬢ちゃん、俺様をもっと楽しませてくれよぉ?」
僕はマリアンヌを抱え傷の癒えたファルシオンへと跨がる。
姉さん…ごめん…ありがとう…!
僕は強くなる。姉さんとゴッサムを凌駕するほどの力を手にする。
だから今、此処から逃げる事はわるい事じゃない。何より姉さんがそれを望んでいるんだ。
僕は瞳に堪えた涙を強引に腕で拭うとファルシオンの腹を蹴ったその瞬間ーー
「ーーッ!リリアナ様ぁ!嫌ぁー!!」
僕の胸元で意識を失ったマリアンヌさんが突然覚醒し、手足をばたつかせ暴れる。
マリアンヌさんの叫びと共に姉さんとゴッサムの姿が突然消えた。
「リリ…アナ様…?何処へ行かれましたの…?」
僕が聞きたい位だよ。
姉さん、何処へ行ってしまったんだ。
筆が乗って八話も投稿しちまったぜ。
続きは今週末に投稿します。
暫く水、日曜日更新します。
その後また期間が空くかもですが、生暖かい目で見守ってくだせぇ
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