強襲
明けましておめでとう御座います。
休載しておりました本編を本日より再開します。
とりあえず、五話ほど連投します( ・`д・´)キリッ
ジョセフとバルムンク卿がYUJYOを確かめ合って四日、私達は結界術により渡海を終え港町にて行軍の疲れを癒していた。
無尽蔵に近い魔力が有るとは言え、四日間の結界術行使は骨が折れたが、特に問題は無く、私は疲れた心をレイン達ヒロインズに癒された。
今夜はこの港町で休息し、明日の朝、公都に向かい北進する。
この港町は既にジョセフの部下が制圧しており公国軍の手の者は居ないので安心して休めるという物だ。
今夜はゆっくり休もう…おやすみなさい~!
翌日北進していると既に情報を手にしていたのか、四時間程進んだ所で一万の軍と接敵、開戦となった。
此方の手勢は17,000、一晩ゆっくり休んだとは言え疲れは見えるが、私という偶像を崇拝する事で狂信的な実力を発揮している。
普段が50だとするなら80と言った強さだろうか…特にセンティス騎士団の強さは異常と言って良い。
「敵将、討ち取ったー!」
私が本営でレイン達と紅茶を飲んでいるとジョセフが名乗りを上げてこの戦いは幕を閉じる。
捕虜が1200余り手に入ったのだが、管理が面倒だなぁ。
私は五百メートル四方の土壁を作るとそこに捕虜と百人ほどの部隊を残し、食料も十日間、最低限生き残れるくらいの量を残すとその地を後にした。
それから一週間、二日に一度くらいのペースで五千程の部隊と開戦を何度か行いつつ、私達は公都手前の平原へ到着した。
お誂え向きにも残った兵力を全部集めました、とばかりに此方の倍…約四万程が展開している。
「リリー、いよいよですわね…?」
「うん、ユグドラちゃんは必ず救ってみせる!でも、先ずは目の前に立ちはだかる敵からだね。」
私はユグドラちゃんが居るであろう城を睨み付けた。
待っててね?今迎えに行くよ…!
『諸君、これが最後の戦いになるだろう。ユグドラ嬢を救い我が国に火種を落とそうとした憎き公国を滅ぼさん!心してかかれ!』
「「「うおぉぉぉぉおおお!!」」」
士気は上々、景気付けにデカイの一発やっちゃいますか。
「【灼熱隕石】」
私が呪文を唱えると辺りは静まり返った。
それはーー一筋の流星だった。きらりと光るとその速度は増していき、直径五メートルにも満たない岩塊が敵兵の中心部へと落下した。
ーーズドォォォーーン
大きな音を立て大地を震わせるとクレーターが出来た。
これで敵兵の三分の一は減らした。真ん中に居たであろう敵将も排除出来ただろう。
「ジョセフ、後は任せたよ?ーージョセフ?」
口を開け呆けているジョセフに声を掛ける。
しっかりしろ、総大将副官!
「…あ、あぁ、呆気に取られてやした。お嬢の恐ろしさの片鱗をまざまざと見せ付けられて、空いた口が塞がらんかったですぜ…ーー全軍突撃!」
戸惑っている敵兵へと駆け出し、次々とその数を減らしていった。
さて、もう楽勝でしょ。
私は椅子に座り、勝利を確信して紅茶に口を付けた、その時。
ーー私の勘がザワついた。
慌てて紅茶をテーブルに置き立ち上がる。
「リリー、どうしましたの?」
ーー来る!
私は結界を幾重にも重ね、防御する。
パリーンと甲高い音を立て結界が何枚も砕け散った。
ーー不可視の攻撃。
一体誰が?
そんな疑問に答えるかの様に二人の男女が私の目の前に飛び込んできた。
片方は…ユグドラちゃん?!
「初めまして、かな?リリアナ・アルデン・センティス嬢とお見受けする。私はバルッセ帝国皇帝ヨハンだ。さぁユグドラ、挨拶は?」
「妻の…ユグドラ…です。初めまして、さようなら。」
少女から放たれたのは、決別の言葉と短剣だった。
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