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親友との絆

お久しぶりでございます。


恥ずかしながら帰って参りました。


不定期ではありますがこれから更新を再開して参ります。


ご迷惑をお掛けし申し訳ありません、

そして待ってくださっていた読者の皆様、

また宜しくお願いします。

一週間が経過した。


民衆への食糧の配給、統治者の選定、瓦礫の撤去や壊れた家屋の建て直しなど諸々事をやっているとあっという間に時間が経ってしまった。


そのため大陸移動の予定は延びに延び、今日から三日後…つまり十日も延びたのだが、皆待ち遠しいようだ。


斥候としてジョセフと二十人を小型船にて先にバルッセ公国へ送ったが、目新しい情報は無く、渡航先の北大陸の玄関口の港町、オーロインにて情報集めしている。



私は午後の余暇をレインと将棋を指しながら紅茶を片手に優雅に過ごしていた。


「王手、ですわ。」


「ま、待っーー」


「待ったは無しですわ。さぁ、リリィの番ですわよ?」


「あうー…参りました…」


復興には人海戦術で軍を当てたのでみるみるうちに雨風を凌ぎ暮らせるまでは整っていた。


暇をもて余した私は将棋を異世界風にアレンジし作ってみたところ、レインが大ハマり。


何度も指すことに…


だが、それがいけなかった。


最初は私が連勝していたものの負けず嫌いで努力家のレインは私の打ち方を研究すると三回に一回は勝てるようになり、更にレポートまで書き上げると私に提出し、こう宣言した。


「この遊戯の大体を把握しましたわ。さぁ、ここから私の逆転劇の始まりですわよ?」


宣言通り私は進化したレインに一度も勝てなくなった。これで私の81敗目である…


「ね、ねぇレイン。そろそろ身体が動かしたくなってきたんだけど…どうかな?」


「そうですね、リリィにも余裕で勝てるようになりましたし、そろそろ勘弁してあげましょうか。ではあちらへ。」


うへー…少し調子にのり過ぎたかも…

でも許されたみたいだし、いっか。


へへん、武力なら私の方が高いし、レインに負けることはない。


それに私は頭を使うより動いている方が好きなのだ。


レインが木剣を構えると私は両手に木剣と丸盾を構えた。


二刀流というやつだ。


双剣は速度と手数で攻めるスタイルだが、もしかしたら私には合っているのかもしれない…

いや、ただの願望だけどさ。


「それじゃあ…いっくよー?!」


「いつでもどうぞ。」


私は姿勢を低くし、レインの足目掛けて双剣を連打する。が、レインと私では頭の出来が違うのか…

ここ数日上手く攻撃が当たらなくなってきていた。


「うへー…レインってば成長力の化け物…そのうち追い抜かれそうで怖いな…」


「フフッ…私だって成長期ですもの。数年後にはリリィに追い付いて見せますわ!それとリリィ、年頃の娘を捕まえて化け物は無いんじゃないですか…?」


「あ、ごめん!言葉の綾というか…ちょ、わっ!レインさん、怒ってらっしゃいます?」


私の頬数ミリ横をリリィの渾身の突きが通りすぎた。


あ、危なかった!

まともに喰らったら幾ら私でも気絶してしまうのではないだろうか?


最近、レインの成長が言葉通りヤバすぎる…!!


「怒ってませんよ?さぁ、今度は私から行きますよ?」


「ひぇー、やっぱり怒ってるー!!」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 


ゼェ…ハァ…と息を荒げ地面に寝転がる私とレイン。


あれから何本も試合を行い、本気を出さざるを得なくなりつつある段階までレインは武力が上がっていた。


二人で空を見上げていると一番星がキラキラと輝きを発しているのが見える。


遠くには二つの月が此方を見下ろす様に鎮座している。


「星、キレイだね。」


思わずそんな事を呟いてしまった。


「そうですわね。」


「レイン、強くなったね。」


「そんなことは無いですわ。けど、お世辞でも嬉しいです。私は私の目標であるリリィに追い付きたい…その一心でガムシャラに特訓して居るんですもの。」


「お世辞なんかじゃない!私の本心、だってレインは…!」


「リリィ、私は今、貴女の隣でこうして星を眺めて居れることがとても幸せです。」


「私もだよ。」


「この数年間、私はずっと貴女に憧れ、追い付きたいと願い、努力してきました。それこそ、魔法や剣技、果ては料理やお菓子作りも…ですが、私には何一つ才能が有りません。」


私は直感で気付いた。


あ、これ言葉の選別は少し違うけど、レインルートのラストシーンだ、と。


「そんなことないよ。」


「本当の事です。両親からは貴族の娘が剣を特訓するなど、はしたないと何度も怒られました。それでも私は憧れた貴女に近付きたいが為に深夜にこっそりと抜け出して特訓をしたりもしました。」


「ふふっ、レインらしいね。」


「そうでしょうか?」


「そうだよ。真面目で努力家で負けず嫌いな私の大好きなレインのまんまだよ?あれ、レイン?どうしたの?」


小さな嗚咽混じりの声が初夏の夜風に流れて溶けていた。


「わ…私は…リリィ…!今後も…貴女の隣に…立てますか?」


「私の右側はレインの居場所だよ。信頼も信用もしてる。これからは二人で成長していこう?」


私の口を付いたのはゲームでの主人公マシューのセリフ。


何故か言わなくてはいけない。そんな気がしたのだ。


「…はい!!」


レインは大きく頷くと握っていた手が更に強く握られた。


タハハ…少し痛い…けど、こんな痛みなら私は大歓迎だ。


そう、これからもレインと二人で困難を乗り越えていこう。


そして必ずユグドラちゃんを救ってみせると、決意を強固に思い直していると、夕食の準備が出来たとマシューが呼びに来て、泥だらけの私たちは身体を清めてから夕食を取る羽目になった。


それから三日の時があっという間に過ぎた。


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