リリアナの抱擁、マリアンヌの決意
「マリアンヌ、入るよ?」
「どなたです…の?ハッ!リリアナ様?ちょ、ちょっとお待ち下さいまし!今着替えますので…!」
マリアンヌの天幕を訪れるとマリアンヌは慌てた様子で首だけ出し答えた。
暫く待っていると白のワンピースに身を包んだマリアンヌが天幕を開け中に通してくれた。
夕食後だったらしく、食べ残されたままの食事がテーブルに並べられている。
あまり食欲も無さそうだ。
「体調の方は…あまり良くなさそうだね。少しは落ち着いたかな?」
「ええ、リリアナ様が助けに来てくれたこと、心より感謝してます…!本当にありがとうございました!」
「ううん、見付けるのが遅くなってごめんね。もっと注意深くマリアンヌ達を気にするべきだった。私のミスだよ。」
「そんなことは…!」
「怖かったでしょう?こんなにも震えて…」
尚も食い下がるマリアンヌに近付き抱き締める。
あぁ、そうか…普段邪険に扱っているのにこうしてマリアンヌの体温を感じていると、私の大切なものリストの中にマリアンヌも入っていたのが分かる。
そうか、私マリアンヌのこと…ーーー
「リ、リリアナ様…!」
「正直言ってマリアンヌを連れて行くのは私は反対。ううん、心配なの。私の心の平穏のために王都で過ごして居て欲しい。」
「私、それでもリリアナ様の側に居たいです…!ダメ…ですか?」
微かに震える体とその温もりを肌に感じた。
「聞いて、マリアンヌ?これ以上貴女に辛い思いはさせられない。帰るなら今のうちよ?大陸を渡ったら最低でも半年は親御さんに会えない。貴女は優しい子だから私を気遣って着いて来てくれたんだろうけど、これ以上は無理しちゃダメ…それでも着いて来ると言うのなら…」
「言うのならば?」
少し怯えた様子のマリアンヌが聞き返してくる。
あまりにも怯えているのが面白おかしくて自然と吐息が出てしまう。
「私の側を決して離れてはダメ。答えは三日以内に出して?」
「リリアナ様!一生お供します!」
「だから三日以内にって言ったのに…しょうがない子ね…フフ…」
私はマリアンヌの髪を優しく撫ぜる。
恍惚としたマリアンヌを連れ私は自分の天幕へと戻った。
あー、レインとの約束破っちゃったか…まぁ予想は出来てたけど。
どうやって機嫌を取ろうか…?




