マリアンヌ救出
上空から周囲を確認すると宵闇の一点に明かりが灯っていた。
セリーヌは…うん、もう少しで辿り着きそうだ。
私はそのまま明かりを目指して結界で移動を始める。
ロイ、モガ、パルメラは隠密行動に慣れたもので物音を立てず静かに移動をしている。
明かりの上空まで移動するとセリーヌもようやく追い付いてきた。
「お嬢様は何処に!お嬢様ぁー!!」
はぁ…こういう人種って後先考えずに行動して周りを巻き込んでいくんだよね…その癖に下手な地位や実力に自信が有る者ばかりだから手に負えない。
「睡眠」
私にはセリーヌなどどうなっても構わないのだが、マリアンヌはかなりセリーヌに懐いていた。
もしセリーヌが死んだりしたらマリアンヌがどうなることか…
あれ?どうして私はマリアンヌの心配をしているんだろう?
しつこく付き纏ってくるし、変態だし、魔法は下手だけど努力はしているけど私をもやもやさせるし、あぁーもう!
面倒だけどさっさとマリアンヌを救出しよう。それで全部お終いだ!
私は結界から飛び降り着地する。
一軒のボロ家が建っておりその周囲を数人の男が警戒している様だ。
何人か見たことのある顔だ、逃げ出した捕虜達で間違いないだろう。
突然空から落ちて来た私に男達は驚いているが、私は静寂の魔法を使い無理矢理黙らせた。
そのまま小屋の扉を蹴り砕くと中へ侵入した。
目に飛び込んできたのは泣きじゃくるマリアンヌ。
そして手足を縄で縛られたポロとジョーズだった。
十人以上の男が村娘と思われる少女に跨り腰を振り、酒を浴びる様に飲んでいた。下衆が…!
「誰だ、テメェは?!ガキ?おい、嬢ちゃん!此処は子供が来る様な場所じゃーー」
「黙れ、下郎。我が名はリリアナ・アルデン・センティス、貴様らに拐われた私の家臣を連れ戻しに来た。死にたければ剣を抜け。抜いた瞬間、地獄を見せてやろう。死にたくなければ武器を捨て大人しく投降せよ!」
「んなっ!リリアナっつったら敵の総大将か!?まさかこんなガキだとはな!舐めんじゃねえ、テメェら掛かれ!」
「抜いた…な?」
私は静かに声を上げると愛剣を抜き近くに居た数名の首を跳ねた。
飛びかかる鮮血を結界で跳ね返し、更に男共を押し潰す様に結界を発動した。
私の目に飛び込む半裸の男の一物に火弾を当て消滅させる。
二度と男としての尊厳を振るう事は無いだろう。
やがて全員同じ様な状態にすると手足を折りその場に捨て置いた。
マリアンヌに近付くと手足の縄を短剣で切り助け起こす。
恐ろしかっただろうにずっと泣いているマリアンヌの頭に手を置くと安心させる様に撫でる。
暫くすると泣き疲れたのかマリアンヌはすぅすぅと寝息を立て眠りに着いた。
マントをマリアンヌに掛けてやると、ポロ、ジョーズの縄を解き回復魔法を掛けてやる。
村娘らしき少女達にも回復魔法を掛け、そこらにあった布を手渡しひっくり返したテーブルを結界で覆うと中に大量の水を用意して身体を拭わせた。
私はマリアンヌを抱え、ポロ、ジョーズと小屋を出る。すると上空から声が聞こえる。
あ、パルメラ達を完全に忘れてた。
降ろしてやると事情を説明してロイ、ポロ、ジョーズを一度本陣へと帰らせて女性兵士だけの小隊を連れて来る様に頼んだ。
村娘達を保護しなくちゃいけないからね。
眠らせていたセリーヌを起こして増援が来るまで此処で待機かな。
ふわぁー。。。欠伸をしながらパルメラに後を任せると木に身体を預けて仮眠を取ることにした。




