お嬢様はお友達の家にお呼ばれされました
お茶会&お泊まり会…KNHK実行日。
遂に…遂にこの日が来た!私は昨晩のうちに念入りにお風呂で体を洗い、日の昇る前に起床した。
そして、シェフを叩き起こし、頼み込んでマフィン、プリン、フィナンシェ、マカロン、クッキーなど思い付く限りの甘味を作らせ、それを手土産にミシェイラ侯爵家の領地へと向かった。
ふふふ、既にKNHKは始まってるのだよ。
馬車で片道三時間。
王都に一日圏内の父上の領地は立地が良く、気候も落ち着いている。
貴族制ではあるが女性が継承することも認められており、一応私がこの領地を継ぐことになっている。
そういえば、屋敷から出たのは生まれて初めてだ。
案外簡単に出られたな。
まぁ、懇願すれば甘々な父上は大抵のことは許してくれるけど。
夏は暑すぎず、冬は寒すぎない。
中心に聳える王都のすぐ南側の領地でそのすぐ東がミシェイラ侯爵家の領地だ。
因みにマシューの実家ガーズ男爵家はうちのすぐ南、その隣にアンちゃん、レインちゃんという構図だ。ご近所さん最高ッッ!!
高まる胸を落ち着ける様、ジェシカの胸元に顔を埋め浅い深呼吸を繰り返す。
スー、ハー、スー、ハー
あー、石鹸の良い香り。
着くまでこのまま寝ちゃおうかな。
「お嬢様は甘えん坊ですね…フフッ」
と私の頭を撫でながらジェシカは微笑んだ。
あー、最高じゃあ…
今日は早起きしたから少し寝ます…
「…さま…お嬢様…着きましたよ?」
んぁ?何処に?
あ、タニアちゃん家か!やったー!遂に念願のタニアちゃん家に着いたんだ。
感動が込み上げてくる…うぅ…苦節五年…私は前世も含め友達の家に泊まった事がなければ遊びに行ったこともないのだ。
前世の18年間、ひたすら勉学に費やしてきた。
だが今は違う!今日、私は友達の家にお呼ばれし、宿泊するのだ!
待ってろよ、子猫ちゃん達ッ!
今会いに行くぜッ!デュフフフッ!
はっ!平常心、平常心。
キープ、スマァーイル!
「お嬢様、締まらない顔をしてますよ?お友達と会えるというお気持ちは察しますが、もう少し控えてください」
早速ジェシカに邪な心を見抜かれた。クッ…何故だ!




