マシューの矜恃
試験的に短文で更新しました。
もう一話更新します!
ロイが去った後僕は気合と共にアロンダイトを振り抜く。
トルーパー卿は避けもせず頬に浅く切り傷が付いたのみだった。
トルーパー卿は一瞬で間合いを詰め僕の腹に蹴りを入れる。
「カハッーー!」
モロに食らった僕は膝を突き息を整えようとするがトルーパー卿はそれさえも許してくれない様だ。
「オラァッ!さっきの威勢はどうしたマシュー!本気で来やがれ!」
トルーパー卿が威圧してくるがその手には乗らない。火弾を五つ作り出し打ち込む。
着弾すると煙が上がりトルーパー卿の姿を隠すがこれだけでバルッセ公国第四騎士団長を倒せる筈が無い。
僕は冷静に息を整えアロンダイトを構えた。
ーーー!来る!
僕は右、左、右と飛んでくる投げナイフを避けた。
「これを避けるたぁやるじゃないか!」
言葉と共に突っ込んでくるトルーパー卿。
左の袈裟斬りからの斬り返し、大上段からの振り下ろし…と連撃を打ち込んでくる。
避けるだけで精一杯で反撃する暇さえ無い。
「どうした?お前の実力はそんなものか?避けるのこそ上手いが反撃しねえとジリ貧だぞ?」
うるさい!そんなの分かってるんだ!
元々勝ち目の少ない一騎討ちだ。
それでも僕は望んで一騎討ちを受けた。
僕だって男だ、いつまでも姉さんの後ろを着いて回る子供じゃない!
今まで面倒臭そうにしながらも、丁寧に甲斐甲斐しく指導してくれた姉さんの気持ちに応えたい。
何より今の僕の実力が知りたい。
自分の強さを推し量れる機会が向こうからやって来たのだ。
勝ちたい、いや、絶対に勝つんだ!!
「舐める…なァ!!!」
アロンダイトが僕に答えるかの如く銀色に輝き出した。
トルーパー卿の剣を弾くと反動でトルーパー卿は来た方向の壁へと弾かれ、身を大きく蹌踉させた。
「うおぉぉぉぉお!!!」
僕は駆け出しその首へとアロンダイトを振るった。
気合一閃!僕の今まで積み重ねてきた剣技をこの一刀に全て乗せる!
「見事…だ」
言い残すと鮮血が吹き出しトルーパー卿は倒れ伏した。
「やった!勝て…あれ?」
僕はそのまま気を失った。




