キャメロン城潜入作戦〜B班〜
僕達B班はレインさんに率いられ姉さん達の去った逆側を進み始める。
僕とロイが先頭に立ち、アンさん、レインさん、タニアさんが中衛、イシスさん、サレナさんが殿だ。
僕達の任務は敵勢力の鎮圧…見敵必殺で城内を掻き回し敵勢力を釘付けにする事だ。
要するに派手に暴れて良いらしい。
元パーシアス公爵の屋敷で敵本陣とは言え派手に暴れるのは少し気が引けるけど、姉さんの考えた作戦に文句は言えない。
「マシュー、前方に五、後方から三。」
索敵用の風魔法を発動していたロイから声が掛かる。
細かい魔法の制御は僕よりロイの方が上手い。
「ん、分かった。サレナさん、後ろはお願いします。ロイ行くよ?」
僕とロイは目で合図を交わし前へ走り出す。
角を曲がると武装した五人の兵士が驚いた顔で僕達を見つめる。
隙だらけだ!僕は愛剣アロンダイトを横に振り一番前に居た人を切り捨てる。
ロイも一人倒したみたいだ。
続けて前進し袈裟斬りで二人目を斬り伏せると返り血が舞い上がる。
その瞬間一番後方に居た兵士が投げナイフで攻撃して来た。
うぉっ!危なかった…ギリギリで避けると火弾を発動して牽制するがするすると避けられた。
「こんな所に何故ガキが?しかも部下が一瞬でやられるとは…ガキでも容赦せんぞ!」
「僕はガキなんて名前じゃない、マシュー・ガーズ・アルデンだ。」
「ほう…アルデンだと?奴は一族郎党捕まった筈では?孫娘に囚われたと聞いたが何故アルデン姓の者が…?」
「決まって居るだろう!その孫娘はリリアナ・アルデン・センティス、僕の姉だ。」
「ククク…なるほどな、マシューとやら一騎討ちをしようではないか。どうだ、受けるか?」
何故急に一騎討ちを提案して来たのだろうか?僕が受けたとしてどんなメリットがある?考えろ!考えるんだ!
「どうした?怖気付いたか?」
「怖気付いてなんか居ない!一騎討ちを受けて僕に何のメリットが有る!それならば全員で倒した方が被害は少ない筈だ!」
「ああ、そう言えば名乗っていなかったな。俺はバルッセ公国第四騎士団団長グリム・トルーパーだ。この領都を大公より預かっている。お前が倒したのがうちの有望株と副長でな。正直その年でそれ程の腕前ならスカウトしたいが無理だろ?んで、どうする?やるか?それともお友達と一緒に掛かって来るか?」
第四騎士団長?預かっている?指揮官じゃないか。相手は格上だ。本当なら姉さんが相手する予定で僕が戦っても勝率は良くて一割…どうする?
「マシュー、一旦後退するべきだ!」
ロイが冷静な判断を下す。
だが、僕はそれを断った。
「ロイごめん。レインさん達と合流してくれ。あまりに遅すぎる!トルーパー卿、一騎討ちの申し出受けよう!」
「マシュー!」
「頼む。行ってくれ!」
ロイから声が上がるが気にしない。今は目の前の敵に集中するべきだ。
「へへっ!上等じゃねえか、坊主!いや、マシューよ。」
トルーパー卿の声と共にロイが曲がり角を駆ける音が耳端に聞こえた。
ありがとう、ロイ。
「行くぞ!!」
僕は気合を入れアロンダイトを握り直した。
明日も投稿します!




